第28話「生かすか殺すか」
フロートから網に包まれたガラス玉を網ごと取り外して、のりたけさんに持たせる。
フロートの外側に行ってもトージの町のままだ。
早速桟橋イカダに括り付けた。
イカダはプレイヤーが10人は乗れるぐらいのスペースだ。
色とりどりの浮き輪が大量に括り付けられており、ちょっとやそっとじゃ沈まない。
エラで呼吸が出来るマーマンはイカダの動力として活動する。
泳ぐのも得意なので他の種族より素早く静かに移動出来る。
早速出発だ。
のりたけさんは先ほどと違う所を見つける為にイカダに、ソウルはイカダの動力として活動を開始した。
フロートをくぐり抜けて陸沿いに進めていく。
「……さっきと景色が違う」
のりたけが呟く。
しばらくして洞窟が見えてきた。
中からは灯りが漏れている。
「……突撃します、武器の準備を」
皆がアイテムボックスを使い武器と装備を身につける。
イカダが重たくなったが、まだ大丈夫だ。
洞窟目がけて本気の動力水泳を開始する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あー、最高だなぁ」
「彼奴らも馬鹿ですねぇ、拒否しなきゃこんな美味しい思いが出来たのに」
「んゔッんゔーーーーッ」
女を食い物にしようとする今の俺達はまさに低俗と言って良いものだろう。
そこに愛などはなく、ひたすら己の獣欲を満たす。
仰向けの女につけられた目隠し代わりの布には大量の涙と口から漏れた胃液が染み込んでいた。
「大変です!町に駅馬車から来た連中が4人!」
町の民家で見張りをさせていた部下が帰ってきた。
人数は4人。想像していたよりも少ない。
「きっと俺らみてぇな野蛮人から逃げて来たんだろうよ、笑えるぜ。
安心しろ、ここは外からじゃ入ってこれねぇんだからよ」
フィールドから目指そうにもトージから泳ごうにも、この場所にはトージの小舟じゃなければ来れない。
食料はまだあるし、魚も釣れるので問題は無い。
しっしっ、という動作で報告しに来た部下を追い払い、再び女を貪る。
「おい、サボってんじゃねぇぞ」
窒息でHPが削れてきていた為、僧侶に回復させる。
「ゲハッ、もゔ、やめゔ」
「誰が喋っていいっつった」
無理矢理ねじ込み、口を塞ぐ。
オーガの女からドワーフの幼女まで選り取り見取りだ。
キャットシーの女がいなくて良かった。
色々手強そうだ。
次の瞬間何かの気配を感じて咄嗟に横に出る。
その瞬間ズドンとハンマーが振り下ろされ、自分のいた場所に凹みができた。
「表にいた奴らは全員お縄についてもらったよ」
感情がない凍った声が洞窟に響く。
トージの町に閉じ込めといた奴らがいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
侵入したソウル達は見張りを眠らせて縄で縛り付けた。
「……このまま生かして、問題起きたらどうしましょうね。
やっぱり、殺すしかないんでしょうか」
まるまるさんが悲しげな顔をする。
デメリットの方が大きい気がした。
「……そうならない事を願ってます」
ソウルはそれもあり得ると事外に言って洞窟の奥へと進んだ。
曲がり角に隠れながら補助魔法の《ムリネ》を使って眠ったプレイヤーを捕縛していく。
しばらく進むとゲーム時代で住宅に置けた家具枠の壁と扉がソウル達を出迎える。
「……ん…ぅ…も……やめ………」
「誰が……喋って良い……た」
スキマから漏れ出て来る声は嫌悪感しか感じ取れない。
中を覗いたソウルはこめかみに血管を浮かべる。
これは殺しても良い奴だ。
一撃で仕留めるべくハンマーを振り下ろした。




