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第27話「妻の行方」



ソウルは何があったのかを詳しく聞く。


「ゲームの家で目が覚めて、住宅村を出てトージに向かったんだ、ゲホッ、そしたら男達が女の子に乱暴しててね……」


「止めようとしたり逃げようとしたら、捕まえられてここに」


「停泊してる小舟で、女性達を乗せて海に出たんだ!北のフィールド方面に!」


鯨の尻尾のような帆、そして船首にガラス玉がぶら下がっているのが特徴の小舟。


それは住宅村とトージの町を繋ぐ唯一の移動手段だ。


トージの町で小舟が無くなってしまった故に住宅村に取り残されてる人は必ずいるであろう。


それが今のトージの人の少なさなのだ。


「のりたけさん、トモエさんのいる場所わかる?」


「トージの町、らしい」


隅から隅まで探しても見つからない奥さん。


もうトージの町に隠れられそうな所はない。


ソウルが救出されたプレイヤーに問う。


「皆さん、一緒に探してくれますか?」


プレイヤー達はそれぞれの了解の意を表明する。


「ありがとうございます。

ではフィールドから探す人と、イカダが何かでトージの町からフィールド方面を目指す人に別れましょう」


ソウル、のりたけ、まるまるは町から、フィールドからはヘンゼルとグレーテルが捜索にあたる事になった。


「ソウルさん、泳いで見てきます」


のりたけさんが水着と浮き輪を装備して海に向かう。



「船になりそうな素材や装備をお持ちの方はいますか?」


「んーと、これ、前回のイベントの配布浮き輪」

「あ、それ持ってる」


このゲームは海で泳げるため夏のイベントでは浮き輪やシュノーケル、足ヒレなどが売られていたり配布されたりする。


浮き輪はイベントに参加すればもらえた為、ここにいるほぼ全員が持っていた。



「麻の紐あった、これで浮き輪同士を括り付けたらどうだ」


「清めの絹布があるんだけど、帆に出来る?」


しかし肝心の大きい木枠や土台は無い。



議論が停止したその時だった。



「……なぁ」


考え込んでいた一人のエルフの男性が問いかける。





「この桟橋、ボートに出来たり、するかな」





お前天才かよ。



男性陣の顔はそう物語っていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



大工と針子をサブにしているプレイヤーが一人と二人いたので彼らにイカダ作りの指揮を任せる。


ソウルはふと、のりたけの現在の場所を確認した。


「のりたけさんの現在地」


《カイガラ草原です》


「……え」


町の海を囲うように浮いているフロートから外に泳いで行ったのりたけさん。


何かあったのかとのりたけさんを呼び戻す。


「のりたけさん、そこはもうカイガラ草原です」


のりたけさんが海水をかき分ける音が聞こえる。


「ゲホッ、なんだって」


しばらくして何も無いフロートの向こうからのりたけさんが、浮き出てきた。


「……!」


まるで透明人間が姿を現したかのように錯覚する。


「のりたけさん!これ、フロートの上から外に流して見てください!」


おそらく浮くと思われる、丈夫な枝という職人素材だ。


フロートの内側にいるのりたけに向かって投げ、着水。しっかり浮いている。


のりたけが訳がわからないという顔をしながら枝をフロートの外に浮かせる。

フロートの上から枝を落とすと、見えなくなった。

びっくりするのりたけさん。


「のりたけさん!フロートの上から外に出てみてください!」


のりたけがフロートを跨ぐ直前、括り付けられたガラス玉のような何かが一瞬光る。


瞬きしたら見失いそうなぐらいの一瞬だ。









潜り抜け、透明になったのりたけの居場所は、トージの町であった。





お待たせしました。

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