第25話「陽はまた登る」
料理を作り終わった所にはるなんちゅが二階から降りてきた。
「にゃ、はるなんちゅ、おはようー」
「おはよう!あらん?どうしたのそれ?」
「今食料不足だから、これ預けておくのだ」
そう言ってはるなんちゅに取引で今日作ったお弁当六人分と
モンスターのフンと動物のフンをそれぞれ99×3ずつ渡す。
種はどこでも売っているので気にする必要はない。
「畑が無限に置けるようになってるみたいだから、たわしがいない間に作物を沢山育てて飢饉に備えて欲しいのだ」
はるなんちゅにモリブタバザーの食料事情について話す。
「あん、じゃあ昨日のご飯はすっごい豪華だったってことなのねん」
もっと食べておけばよかったかしらという顔をするはるなんちゅ。
「あと、たわしの今持ってる野菜と調味料も預けるのだ」
「ずっとアイテムボックス圧迫させる訳にいかないものねん。じゃあ早速冷蔵庫の代わりになる氷室付き冷蔵庫、作っとくわん」
おそらく新しくチームに入ったメンバーにも手伝ってもらう気満々だろう。
使えるものは何でも使って目標を達成する。
それがはるなんちゅだ。
「あと、かざむの事なのだが」
「うんうん、やっぱり1番気がかりよねん」
「かざむはサブ職業を持ってないけど、畑弄りが得意なのだ」
かざむは学校の授業の一環で植物を育てていた。
毎年、夏休み中の植物の様子を毎日観察して、花以外枯らした事がない。
肥料や水の量を調節し、クラスで1番の収穫量になったとたわしに自慢してきた。
小学校の園芸委員長にも選ばれ、今や種植えから収穫まで先生が畑の授業でお手本にしてくるぐらいだ。
たまに土に入れる前のミミズを見せつけてくるのはやめて欲しいが。
田植えだけは今年やるはずだったから未経験だ。
「その代わり頭脳労働は上手に出来ないからやってあげて欲しいのだ」
「了解よぅ、かざむちゃんを厄介払いするつもりは元から無いから安心してねん!」
はるなんちゅがたわしの1番懸念した事を補完してくれたので良かった。
「これで出かける時の心配は無くなったな!じゃあ、行ってきますなのだ!」
弁当をアイテムボックスに入れて出発する。
「あ、ノイムちゃん」
「にゃ?」
取引ではるなんちゅからよくわからないものが送られてくる。
「木で出来たパンツ?」
「下着の代わりよぅ、怖い思いしたらつける事。良いわねん?
取るときはアタシに言えば取れるからねん」
どうやら一度装備すると取れないアイテムのようだ。
「にゃ、ありがとうなのだはるなんちゅ」
「気をつけて行ってくるのよぅ!」
チームアジトの外に出て、自分の家の転移結晶を使う。
前回植えたライスローズとメガシャキレタス、ビックポテトから芽が出ていたので水を与える。
日の出がたわしの手と植物についた雫をキラリと照らしていた。
「ボーフゥの反対側がトージだな」
住宅村アリス地区から出たたわし。
ランブの町ではすっかりモンスターの死骸は見当たらない。
壁や地面についていたプレイヤーの血痕もうっすら跡はあるものの、綺麗に掃除されていた。
駅馬車案内所の前に初心者職人用の無料配布のモンスター素材がチラホラ見て取れた。
「素材剥ぎ取れたのだなぁ……お?」
ノイムが取ったのはファンシーキャットの不恰好な顔の皮、ドラゴンフライの少し損傷した羽。吸血バッタの甲殻であった。
「たわしの体なら着れそうだな!」
せっかく無料配布なのだから貰っておく。
アイテムボックスにしまい込むと、トージの町方面の駅馬車へ行く。
朝が早いからか人はおらず、既に一台の馬車が停まっていた。
乗せてもらうと馬車が出発する。
まだあまり明るくない空には、澄んだ太陽がたわしを見守っていた。




