第23話「僕らだけがいる町」
ソウルはトージの町に着いていた。
そして、その異様な光景に絶句していた。
同じ馬車に乗っていた乗客もだ。
魚人=ナンパ好きの図式が出来上がった所以、それはトージの町に存在するビーチにあった。
ゲーム時代、この町のビーチは暇なプレイヤーが集まり、チャットでお喋りをするだけの場所となっていた。
つまり、プレイヤーの溜まり場となっていたここは、出会いの場所でもあった。
ちょっと話してみて仲良くなったらフレンドになる。
中の性別と相手のキャラクターの性別が一致していた場合はそのまま恋仲になる事もあったものだ。
一部には好意を悪用して多数の女の子を手玉に取り泣かせるプレイヤーもいたが。
そしてその割合が最も高かった種族は、マッチョ枠のオーガでもなく、ヒョロガリ枠のエルフでもなく、イロモノ枠のキャットシーでもショタ枠のドワーフでもない。
細マッチョイケメン枠であるマーマンだ。
彼らがナンパしてお持ち帰りしていた美しいビーチは、その華やかな姿を変えていた。
海から流れ着いた片足分の足ヒレ、シュノーケル。
地面に転がったビーチパラソルと、破壊されたデッキチェア。
こじ開けたからなのか壊れた更衣室、そこに落ちていた、水着の金具。
ウォータ広場にあった水の神であるウォークレイクを模った石像は、台座が一部崩れていた。
しかし見渡す限り、プレイヤーは誰一人としていない。
一体この町で何があったと言うのだろうか。
「……俺はソウル、皆さんはどうしてこの町に?」
ドワーフの男性が口を開く。
「俺は、フレンドを探しに」
「私もです、けど。おかしいです、だって、フレンドの現在地にはビーチと表示されてるのに」
マーマンの女性はひどく動揺していた。
肝心のビーチに人はいない。
隠れられそうな所も全て暴かれており人影もなかった。
「ランブの町のような襲撃で、プレイヤーが負けたのかも……。
……僕は食べ物を求めて」
不安そうなキャットシー。
「それなら血痕が多少なり残ってると思うよ」
ソウルは不安を払拭するべくその言葉を否定した。
ランブの町ではプレイヤーから出た血痕も多く、水魔法で清掃しなければ血痕は残っていたのだ。
そこだけが、プレイヤーが生きているかもしれないという可能性。
まだ町の家屋を見ていない。
「探せばどこかにいるはずだ」
ドワーフの男性が願うように呟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここは何処なんだろう。
捕まえられてから目隠しをされて、どうなっているのか全くわからない。
声だけは聞こえる。
「こんな事、リアルじゃできないよなぁ」
「HPが無くならなければ死なないからな」
「んんーーー!!んーーー!!」
男達の声と、女の人の悲鳴。
誰か、助けて。




