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第19話「泣いた赤鬼」




「クソっ……グゾォ……っぐ……ぁぁぁあ……‼︎」


助けられなかった。



俺のせいで、オカマが死んだ。


モンスターのバリケードからは相変わらず血が流れる。



そしたらムクリと、魅了が解けたモンスターが俺の方に向かってくる。


他のモンスターもまた一匹、また一匹と。


このまま生きてオカマの事を苔玉に言うより、死んだ方が楽そうだ。



殺せよ。

俺はそう思い大地に寝転がり、最後の時を待った。


その時、上から降り注ぐ黒い雨を見て、もうプレイヤーの挽回は無理だと諦めた。


天国に行けんのかな、俺。

オカマは間違いなく行けるだろ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「動き出したよ!タクト!」


「やっとこいつら倒したのにあの野郎!」


鳥が再び動き出す。


投石組は無事だろうか。


背後にある黒い塊に不安感を覚える。


【《魅惑》のはるなんちゅ】


コロシアムではその最高レベルの魅力値で、魅了耐性を積んでいない奴を屠ってきた強者だ。


そいつが居るなら、ボーフゥは無事だろう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はるなんちゅ!!っ離して欲しいのだぁテロリスト!!待て!待つのだぁ!」


「危険ですノイムさん!行っちゃダメです!!

後、私はテロリストじゃないです!」


そうこうしてる間にも、豆粒ほどになったはるなんちゅの姿が黒い波に飲まれ、見えなくなる。


黒い塊がはるなんちゅを覆っていた。


「あの【《魅惑》のはるなんちゅ】がやられると思ってるんですかノイムさん‼︎ちゃんとあいつらの動きを見て下さい‼︎」


黒い生物が押しては返す波のようにバリケードと化した生物に激突している。


子犬はまだ操られているのか、黒い生物に斬りかかっている。


なら、はるなんちゅは生きているのだ。


そう信じるしかなかった。





「鳥が動き出したわよ!囮になってくれてる今しかチャンスはないわ!


投石開始!!」



怯んでいたプレイヤー達がセシィの指示で体制を立て直す。


絶え間無く漬物石を打ち出し、その内の一個が鳥の嘴に当たる。



鳥は煩わしいと言わんばかりに自身の翼から出る風圧で漬物石を吹き飛ばし始めた。


「投石やめ!」


これではダメだとセシィが投石をやめさせる。

鳥が再び進み始める。


「ワード!いける ?!」

「やっと俺の出番だな」

「……チャージは完了してるのだ!」


ワードの周囲に展開されていた魔法陣から氷が打ち出される。


尽きることの無いその氷は、まるでガトリングだ。


鳥の翼を凍らせにかかる。


鳥は幻惑状態になっていたのか、振り払う様子はない。


片側の翼が半分ほど凍りついた所で正気に戻り、風圧で氷を跳ね除けようとする。


「悪いなデカブツ!その氷は吹き飛ばないぜ!」


次々と体や翼に氷が突き刺さる。


「キュェエエエエエエエエ‼︎」


ワードの氷は針のように尖っていた。

新幹線のようにスピードを落とさず翼を凍らせていく。


鳥が風は無意味だと理解し、そのまま突っ込んでくる。


「投石再開!」


またもや鳥の体に漬物石が当たり、鳥が漬物石を吹き飛ばす。


しかしワードの氷だけは防げない。



鳥の両翼が氷漬けになるのに時間はかからなかった。


「投石しても吹き飛ばさなくなった!」


「このままやっちまえぇえ!」


さらに投石を続けようとしたその時、


鳥が丸まり、小さくなっていく。

オーラが消えて、巨大なカラスの姿が浮き彫りになる。



そしてその体からは、最初よりもずっと数が多いモンスターが滝のように降り注いでいた。


地面に広がる様はまさに津波。





ーーこんな量、はるなんちゅでも、流石に無理だ。


はるなんちゅの最後の言葉が頭を過ぎる。





「(考えろ、考えろたわし!このままじゃはるなんちゅが、皆が死んでしまう!!)」




追い付いた花火組が鳥に無け無しの一発を打ち込む。


黒いモンスターが鳥の代わりに消滅する。


しかしあまり数は減っていないように思えた。



そこに、光が見える。



「行くぞテロリスト!!」


「何処へですかぁ ?!」


ノイムは猫妖精テロリストを引きずってパチンコの場所まで移動する。


「たわしを飛ばして欲しいのだ!!」


大工達や投石組が驚く。

「何言ってんだ!落ちたらタダじゃすまねぇん」「この爆弾をあの鳥の体内に打ち込む!」


両腕で抱えなければならないほどの大きさの爆弾を見せる。

手持ち花火およそ200本分の火薬だ。あれでも一応生物なのだから息もするはず。


空気による燃焼と爆発、いくら強くても内臓から焼き尽くされればひとたまりもないだろう。

その分かなりのモンスターが消えるはずだ。




「たわし一人の命より!皆が生き残る選択肢をたわしは選ぶのだ!」





「……それなら、私もお願いします!」


テロリストが爆弾を持って志願する。


「っ……くそぉ!!乗りやがれ!!」

きっと彼らも、それを理解出来たのだろう。




パチンコを引き伸ばしてもらい、爆弾をアイテムボックスに収納し、たわしが先に乗り込む。


「テロリスト、皆、ちゃんと外れても大丈夫なように準備するから、生きるんだぞ!


さぁ、飛ばして欲しいのだ!」






たわしの体が猛スピードで、空に打ち出された。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「助けられたわん、ありがとうねん!」


「……は?」


目の前で死んだはずのオカマの声がした。


え?何、死後の世界?

痛くなかったんだけど?早くね?


「《スポットライト》!《おいろけアップ》!」


最初より三倍ほどに膨れ上がった巨大なバリケードが出来上がる。






生き、てた。



「ッ俺の涙、返せやオカマァァァア!!」


笑顔になりそうな顔を無理矢理怒りの表情に変え、武器を手に取り立ち上がる。


はるなんちゅにしか攻撃出来ないモンスターは、俺には目もくれず、バリケードを突き崩しにかかっている。


「パラディンの上位互換みてぇだな!」


この隙に、着地する直後を狙おうと滝の下に向かおうとしたその時。






苔玉が物凄いスピードで、空を飛んでいた。










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