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第18話「負け犬の遠吠え」




住宅村方面に舞い戻ったはるなんちゅ。


「こりゃ撃ち漏らしもするわねぇ……」


目の前には町に攻め入ろうとする黒い生物が横一列で突撃していた。


「子犬ちゃん、解除したげるから町に戻りなさいな。まだ間に合うわよぅ」

はるなんちゅが指を鳴らして魅了を解く。


「ヒッ……」


正気に戻った子犬は目の前にある脅威を見て尻尾を巻いて逃走する。


「……《スポットライト》‼︎」


陽が傾き始めた空から、どこからともなく光が現れ、はるなんちゅを包む。


黒い生物はターゲットを変えたかのようにはるなんちゅの方に方向を変えた。


「《タップダンス》‼︎」


《タップダンス》は旅芸人の専用スキルだ。素早さが上がり回避力が向上する。


「魅惑のはるなんちゅ、ね。まぁこんな最後でも、悪くないでしょう」



目の前から来る波は、死に引き摺り込む黒海だ。


「今回だけは美しく散らない、……見苦しく足掻いてやるわよ!《おいろけアップ》‼︎」


次の瞬間はるなんちゅを黒い波が飲み込む。




効果は半々といった所だろうか。


魅了出来た新しい黒ワンコ達を盾にして凌ぐ。

脱出出来たらしたいが、この黒いバリケードの外に出れば終わりだ。


なす術なく蹂躙され引き裂かれるであろう。


「っははっ……、なんで、今更震えるのよ……」


手が、足が、震える。

こんなの、住宅村出る時覚悟したじゃない。


「キシャァァァアアッ‼︎」


隙間から見えるモンスターの口が開き、黒い舌が剥き出しになる。


「嫌ねぇ、あんなグロテスクな口で、生きたまま、食べられるのは。」


涙で滲む視界。


そう呟きながら、さらに《スポットライト》を使用する。


バリケードを崩そうとする波が一層強くなる。





ごめんなさいねん、皆。








皆揃って、元の世界に帰りたかったわん。











「キャィィィン‼︎」


「死滅しろこの雑魚どもォォオオオオ‼︎」


モンスターが次々と切り捨てられる。


「オカマ‼︎誰が死んで良いっつったぁ‼︎」


黒いバリケードに群がるモンスターを切り捨てながら元子犬が元気に吠える。



「俺にだけ屈辱味合わせてテメェは勝ち逃げかよ‼︎」



切り捨てられすぐに亡骸となるモンスター。




「ふざけんなよ‼︎テメェはあの苔玉よりよっぽどムカつく‼︎」



まだバリケードは崩れていないから、オカマは生きてる。



「ッ苔玉の言う通りここがゲームじゃねぇって言うんだったら‼︎」



もう何回切り捨てたのだろう。

モンスターの死骸が増える。



「テメェだって死んだら終わりなんだろうがよぉ‼︎」



自分を戒めてくれる存在を何回邪魔だと切り捨ててきたのだろう。


まだ、足りない。





「ふざけんな!!ふざけんな!!」





いつもの自己中で、切り捨てようとして、人が死ぬ時が来るなんて考えた事もなかった。


あと一歩が遠い。





「苔玉になんて言えばいいんだよ‼︎」






あの苔玉は、オカマが死んだらどんな反応をするのか。


あと少し、あと少しなんだ。





「だから、だから‼︎」





初めて、人の為に動いてるのに。






モンスターが僅かな隙間から入り込んで、目の前でバリケードが崩れる。



中から、赤い海が広がる。






「返事ッ……しろよ……!






オカマぁぁあああ!!!」






負け犬の遠吠えが、住宅村に響き渡った。


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