第17話「テロリストと制圧軍」
「すみませんそこのドワ子さん!」
「にゃ?」
かざむを送り出した後、猫妖精の女の子から話しかけられたので振り返る。
「残像を簡単に成功させるほどの器用さをお持ちだとお見受けしました!どうか私に力を貸して下さい!」
「にゃ?何するのだ?」
器用さが必要なものとは一体。
「手持ち花火を爆弾に変えたいんです!報酬は出来上がった爆弾でどうでしょうか!」
《手持ち花火を爆弾に変える を受注しますか?》
「テ、テロリストーーッ‼︎白昼堂々と依頼したその心意気、惚れるぜ!」
《依頼を受注しました!》
ハッ、思わず受注してしまった!
まぁモンスターも迫ってきているし急いでやった方が良いだろう。
「中々刺激的な子ねぇ、嫌いじゃないわん!アタシもノイムちゃんについて行っていいかしらん?」
はるなんちゅが面白そうな顔をして参加したいと声を上げる。ついでにオーガを引き連れて。
「モンスターが来た時はるなんちゅがいれば何とかしてくれそうなのだ、一緒はダメかー?」
「ちょうど男……すいません何でもないです!力がある人の手を借りたかったんです!」
はるなんちゅの笑みが深くなった気配を感じて猫妖精の女の子が慌てて訂正する。
「はいじゃあ決まり!案内してちょうだい!」
こうして、テロリスト達による爆弾製作が始まった。
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「まずこの花火を慎重に全て開封して下さい」
「わかったのだ」
包装紙を剥がすとそこには火薬が鎮座していた。
「開封しただけで爆発しちゃってたのに…。えっと、はるなんちゅさん。この石をこのすり鉢ですり潰すのをお願いします」
「オッケー!アタシの子犬ちゃん?手伝ってねん?」
「勿論です……♡」
包装紙を剥がし終わったのと同じ時間にはるなんちゅ(とその子犬)も作業を終えていた。
オーガはバトルソルジャーなだけあって力があり、あっという間に石が粉状になる。
「んで、ここに溶けたロウソクのロウがあります」
彼女が持つ鍋には溶かしたロウが鎮座していた。
「まずはるなんちゅさんの……? 粉石をいれて、ノイムさんが火薬をいれて下さい」
ロウが溶ける温度なのだから爆発するだろうと思ったが、爆発しなかった。
「ロウは融点が低いので、低い温度でも液状になるんです。火薬は燃えずにひと粒ひと粒をロウが包みます。
ノイムさん、このまま混ぜて下さい」
練り練り、ロウがクッションになっているお陰か爆発はしない。
「それではこの紐をロウソクの様に入れましょう」
彼女は布の上に温度が下がり半個体になった
鍋の中身を一定量流す。はるなんちゅとノイムがロウソクの芯となっていた紐を一定間隔空けてその上に置き、猫妖精が出来た物体群の上へさらに鍋の中身をかけて紐を挟み込む。
ロウが固まる前にオーガがロールケーキが如く布を丸めて、紐を結び合せる。
それらを3個作って完成だ。
「ありがとうノイムさんはるなんちゅさん!報酬の爆弾です!」
「手際が良過ぎて本当にテロリストだったんじゃないかってヒヤヒヤしてるのだ」
「なんか犯罪の片棒担いだ気分ねん……」
はるなんちゅの分をやったのは殆どオーガである。
三人はフレーバーテキストを確認する。
手持ち花火(改)
一度分解され火薬の量が多くなった花火。
導火線に火がつくと非常に危険。
「花火って書いてあるけどもうこれ爆弾ですね…… 危険って書いてあるし……」
「まぁでもいざという時に使えそうなのだし、良いんじゃないだろうか!」
「とりあえずありがたくちょうだいするわねん!」
三人がちょうど工作活動を終えたその時。
悲鳴が上がった。
「鳥からなんか出て来たぞー!」
「近接戦闘が出来る奴は!」
「花火組で行っちまってるよ!」
急いで路地から住宅村出入り口に向かうノイム達。
鳥から降り注ぐ黒い塊、いや、四足歩行の何かが地上に降り立ち花火組に襲いかかっていた。
撃ち漏らしは数十匹。それらはボーフゥまでの出入り口に走りこもうとしていた。
肝心の鳥はどういう物理法則なのか空中でジッとしたままだ。翼を丸めて回復に専念している様にも見える。
その間にも黒い生物は大地を蹂躙せんと向かって来ていた。
「このままだと投石する前にやられちゃうのだ……!」
はるなんちゅが一歩前に出る。
「あいつらがアタシの魅力に理解出来るかわからないけど、やってみるしか無いわねん。
子犬ちゃん、担いで」
「はい!」
はるなんちゅがオーガの肩に乗る。
「はるなんちゅ!危険なのだ!」
はるなんちゅはノイムの意見を跳ね除ける。
「帰ってこれなかったらチーム、頼んだわよノイムちゃん!
子犬ちゃん!小さい奴らに突撃!」
「イエスマム!」
はるなんちゅ達は、住宅村に駆け出していった。




