第15話「内輪揉めと再会」
一方ボーフゥの町では、ノイムや他の義賊が《スピードチャージ》でプレイヤー達のチャージタイムやリキャストタイムを短縮していた。
「にゃー、皆、たわし今思ったのだけど皆で一人をチャージ…」
「たわしだってよ、うける」
意地の悪そうなオーガの男が悪意ある顔でノイムを嘲笑う。
「ちょっと、チャージしてくれてるのにその言い方は無いでしょうそこのあんた!」
隣でチャージされている魚人の女の人がやめさせようとする。
「普段レイドの役に立たねぇスキルしか無い義賊風情が調子乗ってるから忠告してやったんだよぉ」
バトルソルジャーの彼はニタニタ笑いながら不和を撒き散らす。
空気を乱すやつ、たわしは嫌いなのだ。
「にゃう?バトルソルジャーはレイドで脳死ゴリ押しして瀕死になっては仲間に蘇生してもらう職業なのだって聞いたぞ!
攻撃力はトップクラスだけど紙装甲なのだ!にゃっはっはっは!」
事外に単発の高火力でしかレイドに貢献出来ないと罵る。
「あぁ?ちっせぇ苔玉の癖にデカイ口叩いくんじゃねぇよぶりっ子!きめぇんだよ!」
あぁ、これはリアルキッズの反応だな。
煽り耐性が全くねぇや、すっかり乗せられて眉毛が釣り上がってるぞ!
ならば、ネタキャラの力とくと味わうがいい。
「誰がぶりっ子だって?!鰤になっても知らんぞ!ピチピチ!見よこの動き!たわしの《残像》が見えるかい?!」
頭をゆっくり上下させながら勾玉ポニーテールを魚っぽく見えるよう器用に振り回す。
「舐めてんのかてめぇええ!」
ポニーテールを掴まれ上に持ち上げられる。
どっかの策略家もビックリなぐらいの計画通り。
「にゃーぉ、いててて、釣られたのだぁ。
ピチピチ、なんてな!」
次の瞬間捕まえていたたわしがパッと消える。
たわしの器用さパラメーターは707。
義賊の中でもトップ10に入るぐらいの数値だ。《残像》は器用さが高い程成功する確率が上がる、全職業共通のスキルだ。
攻撃力も防御力もないただのハリボテだけどな!
「残像だ」
ネタキャラのいい所はふざけた会話で一部のスキルが発動出来るという所だろうか。
ゲーム時代ではコマンド入力だったため、まず出来ない戦法だ。
ドワーフの身体は脚力が凄い。びくっとなるだけで50センチは跳ねるのだから、意識してジャンプするだけで身長二メートル程のオーガの首に手が届く。
つまり。
「ここはゲームじゃなくて、現実なのだぞ」
ネットだからと自己中を振りかざしてブロックリストに入れられるだけじゃ済まないんだ。
そんな思いを込めて、たわしはオーガの背後で囁いた。
そのまま背中を持ち前の脚力で踏み台にしてさらに上に飛んでから着地する。
にゃんにゃんぱらり、にゃんぱらり。
オーガが地面と仲良しになった。こりゃ審査員の評価が低そうだ。
たわしは新体操のポーズで見事な着地!
決まった……!
「如何ですか審査員のはるなんちゅさん」
「煽りからの動き、着地は実に見事な物だと思うわん!ビューティフル!それに比べてこっちのオーガは本当に品がないわねん!」
たわしがは声がする方を見る。
弟がいた。それと変なお兄ちゃん……?
「はるなんちゅじゃないかぁ!」
チームのリーダーはるなんちゅが、そこにはいた。
「おっほっほ、まさかかざむちゃんのお姉さんがノイムちゃんだったとはねん!」
床ペロしていたオーガが起き上がってくる。
「このチビ!ブス!俺をコケにしやがってぇええ!」
「あらやだ、人の会話を妨害するなんて無粋な人ねん、イケナイ子。
静かにしてもらうわねん、《スポットライト》《おいろけアップ》」
《スポットライト》は対象のターゲットを使用者に向かせる旅芸人専用スキルだ。しばらくの間、対象は使用者意外に攻撃が出来ない。
この世界でプレイヤーを攻撃対象に出来るようになっているのは、ここは現実だという証明でもある。
ゲームでは、プレイヤーキルなんてコロシアムでしか出来なかったのだから。
「はい、こっちを見て……そう、いい子ねぇん!」
はるなんちゅが《スポットライト》でオーガの視線を自らに強制的に向かせる。
その瞬間、オーガの怒りが消滅する。
そして……。
「従順な子、アタシ大好きよぅ♡」
「俺も大好きです…♡」
はるなんちゅにヨシヨシされて犬のようにお座りするオーガがそこにいた。
「うわぁはるなんちゅエグすぎなのだ。この子トラウマになるぞ?」
オネエに魅了されるのはさぞかし屈辱的だろうなぁ…。
こうして、騒動はあっという間に沈静化されたのであった。
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「あん、そんな事よりかざむちゃん連れてきたわよう!」
「姉ちゃんー!死ぬかと思ったぁ!」
かざむがノイムに駆け寄ってくる。
「にゃーよしよし、よく頑張ったのだ!
あの鳥やっつけちゃうから、かざむはあそこの建物に避難するのだぞ?」
「姉ちゃん、無理しないでね!」
「もちろんなのだ!」
その時、大工から声がかかる。
「パチンコ、完成したぞ!」
「300メートルまで飛ぶ!」
「すぐに打てる!」
モンスターを見張っていたセシィが叫んだ。
「間に合ったわね!
モンスターがくるわよ!投石準備!」
その指示に従い、皆一斉に動き出した。




