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第13話「戦闘準備」




「ぐふぅ?!」


誰が来るのかと警戒していた矢先の事。

コウモリブタがノイムに向かって猛スピードで突っ込んで来る。


「姉ちゃん!ボーフゥに真っ黒ででっかい鳥が向かってる!住宅村出入り口に人を集めて!」


切羽詰まったかざむの声、何が起こっているのだろうか。


「にゃ?どゆこと?」


「良いから早く!!」

通話の向こうで羽音が聞こえる。どうやら追われてるらしい。

「わ、わかったのだ」


通話を切る。


その次の瞬間、住宅村の方で打ち上げ花火の音が聞こえて来た。


広い湿原に囲まれた住宅の家々の隙間から打ち上げ花火の光が漏れている。


「ヒメカツ、すぐに皆に呼びかけて!」

「イエス、マム!」


「俺は高火力呪文の詠唱を始める!タクトは皆をまとめて!」


「おう!」


「たわしはワードさんを補助スキルで強化するのだ!《スピードチャージ》!」


《スピードチャージ》は義賊と連携を組む人の呪文詠唱やクーリングタイムを短縮したりする補助スキルだ。


すでにランブの町の一件で慣れて来たのか、すぐに連携を開始した六人。





ヒメカツが新たにスキルを発動する。


「《スピリット・ボイス》!


皆ぁー!超巨大な鳥モンスターが飛来してくるよー!

戦える高レベルプレイヤーは住宅村出入り口に集まれー!

初心者や低レベルプレイヤーは頑丈な建物に避難してー!」


《スピリット・ボイス》は音攻撃スキルを強くする為のダンサー専用スキルであった。

ヒメカツはそれを拡散器代わりに使用して、より広範囲に声を届けるスキルとしての有用性をランブの町で見出していたのだ。



その声を聞いて悲鳴あげて避難する人、こちらへ向かって来る人、どうしようかと右往左往する人まで様々だった。


出入り口に総勢100人程のプレイヤーが集まってくる。


タクトが集まって来たプレイヤー達に話しかける。


「今から指揮を取る!ランブの町での出来事は既に知ってる人もいるかと思う!

ここはゲームじゃない!危ないと思ったらすぐに下がってくれ!僧侶は皆の中心に…」


指示の直後、住宅村の光が一際輝いた。


空に上がる緑色の龍が黒い物体を飲み込んでいる。


くらった後、黒い物体は目に見えてふらつく様子を見せた。


「あれって昇竜花火じゃないか⁈」

一部のプレイヤーが目を丸くして言う。


「にゃー?!昇竜花火そういう使い方しちゃうのー?!」


義賊のスキルで昇竜花火をモンスターから盗んだ事はあったが、かなりのレアアイテムだったので中々盗めず苦労した思い出が頭をよぎる。


何とも豪快な使い方だ。


「俺近接武器しか持ってないけど、打ち上げ花火なら持ってた!」


プレイヤー間でアイテムボックスから打ち上げ花火を取り出すプレイヤーが出て来た。


「間違ったアイテムの使い方だな!これとか役に立つか⁈」


そう言いながらタクトの前で人の頭程の巨大な漬物石を取り出すプレイヤー。


「サブ職のアイテムとして持ち歩いてたからか、アイテムボックスに入ってたんだ!

ゲームじゃないならパチンコ作れるんじゃねぇの!?」


それをタクトの隣で聞いたヒメカツが《スピリット・ボイス》で呼びかける。


「サブが大工さんの人ー!巨大なパチンコ作ってみてー!」


低レベルプレイヤーが建物から三人程出てくる。

ヒゲが生えた親方風のドワーフと、二人のオーガの男だ。


「大工レベル50!戦闘せずにサブだけやってたかいがあったぜ!」


「大工レベル43!」


「大工レベル40!メインのレベル低いから、なんかあった時の為に守ってくれ!」


パラディンが二人守備につく。


大工達が作業を開始した。



先程大工が出て来た同じ建物内から眼鏡をかけた女の魚人マーマンが出てくる。


「薬師レベル42です!幻惑草を粉末にしてみました!投げつける石に擦り込んでみませんか!」


幻惑草はアイテムとして使用するとモンスターのみに幻惑効果を付ける。

その代わりとても高価だ。ゲームでは粉末状に加工出来ず、一本丸々消費式だった。


ゲームじゃなくなった今、手動で粉末にすることで擦り込む事が可能となり、あまり量を使わず、複数回使えるようになったようだ。


「漬物石に擦り込んだらフレーバーテキストが変わったぞ!」


「花火持ってない近接武器の脳筋は手伝えー!」


それぞれがやるべき事を見つけ、それに誰かが乗る。


「打ち上げ花火を持ってるやつはありったけ鳥モンスターにぶつけてくれ!」


「「了解!」」




防衛戦が今、始まる。



ーーーーーーーーーーーー





「手持ち花火ならある……」


現場から少し離れた路地で、大量の手持ち花火を見つめる女の子の猫妖精キャットシー


「そうだ!いい事思いついた!」


楽しい事がとことん好きな猫妖精キャットシー特有の性質が滲んだ声をあげて、彼女は何かを作り始めた。




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