第8話 解体
すみません。旅行行ってたら、投稿するの忘れてました。
状況を整理しよう。私は、校長に、何か食べさせて欲しいと願った。すると、校長は、魔法陣を展開し、馬(死体)を召喚した。
っっって、馬そのものかよ!何何何、この鬼畜校長、私にこれを解体しろとかそんなハード要求する気なの?ってか、馬一頭て何人前の肉だよ!
っと、落ち着け、私。突然の事態だからといってそこまで慌てるな。
クールになるんだ、私。そうだ、無茶振りなんていつもあいつにされてきたろ?あの日々に比べれば、この程度どうってことはない。うん、自己暗示完了。
さて、では、飯のために頑張りますか。
「うむ、見事儂を満足させてくれよ?」
………校長、要するに自分もがっつり食べたいからこの量なのね。精霊に食事なんて必要なのかよなんて、気にしちゃ負けなんだろう。つまり、私はすでに負けている。
よく見ると、なんか、巨大な包丁とか、まな板、鍋、薪、野菜といった、しゃぶしゃぶ一式が馬の横に準備されていた。
ということで、まずは捌く。馬を。
やったことはないけど、あるわけないけど、一介の学生が経験あったら怖いけど、とりあえず、腹開いて、内臓出して、血抜きして、馬のうまい部分を選んで鍋に入れりゃいい。
ということで、肉体労働頑張る。
まず、馬の状態確認。腹の辺り触って、押してみる。柔らかいし、温かい。死後硬直はまだのよう。温かい。まだそう遠くには入っていないまず!何がって、馬の魂が。
まだ成仏してそう時間が経っていない模様。これなら、十分処理は間に合う。多分。
そこまで確認したら、もう捌くしかない。はあ、覚悟決めますか。やり方知らないけど。
「おや、知らなかったのか」
いや、逆に知ってるって思ってたのかこの校長。知ってるわけないじゃん。
「知ってるような人生歩んでいないので」
「そうか。では、レクチャーから始めようか」
「いや、そういうイージーモードあったんかい!」
ついノリで突っ込んでしまった。悪い癖だ。治さないと、そのうち、とんでもなく疲労してしまいそうだ。主に、周りのボケ役のせいで。
私の周りには、なぜかボケ役が集まるんだよなぁ……ホント、不思議だ。
「それは、お主の性格のせいだろうな」
……いやまあ、知ってましたけどね?私が原因だということは。でもさ、私は、普段通りに生活しているのに、相手は、それで惹かれてくるんだよ。どんなボケ役ホイホイだよ。
「天然でそれをしているのだから、タチが悪いのう、お主」
「余計なお世話です」
不貞腐れて答える。ていうか、話が脱線がしてしまった。
先ほどの校長曰く、レクチャーしてくれるということだった。
「早速、レクチャーの方をお願いします」
「お主、時々自己完結して話題転換をするのう」
若干呆れらたが、レクチャーはしてくれるようだ。感謝感謝。
「レクチャーとは言ったが、方法は極めて簡単じゃ。すぐに済むぞ」
……なんか、似たようなことがこないだもあった気がするんだよなぁ。あの、脳に直接付与されるあれ。
「って、自分、それで数時間意識失いましたよね?!絶対危ないやつですよね!」
確か、脳が一部耐えきれずに校長が治癒したとも言っていた。もうやだ!
「そう怯えるな。男は度胸ぞ」
「その度胸のために死んだりしたら元も子もありませんよ!」
「安心せい。今回は間違いなくしにはしない。ただひたすらに痛いだけじゃ」
「やっぱりダメじゃないかよ!」
痛いだけって……その痛いが、気絶するレベルなんですが。無理だろ、それ。もう味わいとか、絶対思えない。あれ、ドMさんでも辛いんじゃないか?
「さて、それではいくぞ」
「ちょっと待てーーーー!心の準備がまだ――」
* * * * *
……うん、私は、また止めきれずにあの魔法を食らって気絶していたようだ。幸いなのは、それほど時間が経っていないようなことと、痛みを感じる前に気絶できたことか。いや、しかし、気絶したことを幸いと感じてしまった時点で、私はもう既に少々毒されかけてきているようだ。
体を起こしながら、太陽を確認。まだギリギリ日は沈んでいない。
と、それはもうどうでもよくて。どうでもよくないんだけど、それ以上に優先順位高いことは別にある。
私の頭の中に、どんな知識が付与されているか、だ。これ、意外とわかりにくいのだ。その知識が、前から知っていたかのように、頭に付与されているからだ。違和感があまり感じないせいで、新たな知識がどれなのか、ぱっとはわからないのだ。
必死に、頭の中で、それまで私が知らなかったであろうことを探す。
どれだ、どれが未知の知識だ?今、初めて知り得た知識だ?
……あった。馬の、いや、動物全般の解体知識。
解体と聞くと結構スプラッターなイメージが湧いてくるが、どちらかというと、これは、流れ作業の方法が近いようだ。
要するに、馬吊るして、主要血管切って血ぃ抜いて、腸出して、皮はいで肉使えるところ出せばいいわけだ。
知識としては極めて薄っぺらい。しかし、なんとなく、体が感覚として覚えたようだ。今回は、脳ではなく、体に主に覚えこませた感じなのかな。
「まあ、そういうことじゃ」
そんなことできるなんて、便利だなぁ、その魔法。もう味わいたくないほど、デメリットが大きいけど。
とはいえ、一応、これで馬の解体が出来る。
さて、では、今度こそ、肉体労働頑張りますか。
「ああ、そういえば、校長、あんたは馬以外全部お願いします」
「人使いが荒いのう」
OK、これで肉以外は心配いらない。相当長生きしてるんだから、年の功ってことで問題なさそうだ。経験がないかもしれないかもと思わんでもないが、同郷の人に過去にあったことあるとのことだし、多分大丈夫だろう。経験なくても、あの服のことを考えるに、器用さと知識はありそうだし。
それにしても、馬一頭ってやっぱ重いなぁ。一体何kgあるのやら。持ち上げるなんて無理だ、これ。ということで、こんな時の便利技、魔法。
今回は、土系の魔法で持ち上げてみますか。
危険性もあまりなさそうだし、無詠唱で試してみる。
イメージ。馬を血抜きができるぐらいに吊り上げてみよう。
食事にたどり着けなかった……