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何がために君は死ぬ  作者: 小説中毒者
第1章 幼馴染
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第3話 邂逅

 まあ、鑑定を続けるしかないのである。

 情報収集しようにも、今は鑑定以外に方法がないのだから。

 結局他の植物も同じように鑑定していく。

 今度は、明らかにヤバげな、トリカブトもどき。これ、花咲いてるんだけど、つくづく、毒草っぽいなぁ……


  キバク草

品質:超最高級

状態:良好

特徴:爆薬の原料。特殊な加工をすると、衝撃を与えることで爆発する爆弾となる。草の状態だと衝撃を与えて爆発することはない。しかし、高火力の火魔法・雷魔法などで引火させることによって、大爆発を起こすことができる。

また、魔力のたまりやすいところに生えているキバク草ほど、品質は良い。最高級のキバク草は、時間をかけて加工させると、大樽1つで、城壁をも破る。しかし、今やこの加工を行える人物は数少ない。

伝説では、さらに上の品質があるとも言われ、それは、加工せずとも都市1つを爆砕させたとも言われる。


 予想ハズレ。っっっって、毒草ならぬ爆草かよ!とはいえ、物騒なことに変わりなし。

 ということで、次。

 カタクリもどき見てみましょう。あ、ちなみに、可愛らしい花が咲いている。

 

  ハッパ草

品質:超最高級

状態:良好

特徴:ポーションの原料。しかも、未加工でも、加工したものに比べると効果は劣るものの、HP上昇など、一部に特化させた加工品とは違い、その効果は万能。全ステータスが、一定時間上昇する。

また、魔力のたまりやすいところに生えているハッパ草ほど、品質は良い。最高級のハッパ草は、使用すれば10歳の筋力のない少年が騎士団長を破ったとさえ言われる。しかし、その分、反動も大きい。

伝説では、さらに上の品質があるとも言われ、それは、神殺しが行えるほどの力を得られるとも言われる。


 うん、可愛らしい花に反して、これもなかなか物騒だ。ていうか、

 ………………………………………………ここ、やっぱやばくない?

 いやいや、だって明らかにおかしいでしょ、これは。

 何、何なの?ここの植物等。いったい何回神殺ししてんの?

 頭のなかで(口にもちょっと出していた)毒づきながら、辺りを見渡す。ドーピング、爆薬、万能薬、猛毒。

 ……………まともな草ねぇっ!

 とりあえず、この辺りに生えている植物は、この4種が主のようだ。っていうか、どうせ他もおかしな性能を誇るものばかりに違いない。

 ここから見渡す限り、多分、地平線の彼方まで神殺ししちゃう植物が続くようだ。

 こんなものばかり見ていたら、気が狂いそう。とりあえず植物観察は切り上げる。

 他にすることといえば、まずは鑑定の性能を確かめることか。

 ということで、実験。どこまで効果があるのでしょうか。

 立ち上がり、足元の方から、鑑定をしていく。内容は流し読みだ。途中、神殺しの字がまたあった気がするが、全力でスルー。そうして、範囲を確認する。距離は目測だ。

 10m。完璧に神殺しの3文字が見える。

 20m。うん、まだ神殺しの字が視界に入る。

 30m。流石にもう背丈の低い植物は全く識別できない。とはいえ、鑑定は、自分が識別できているものなら有効のようだ。背丈がある大きめの植物なら識別でき、鑑定出来た。

 40m。私の視力は2.0以上なので、他より背丈が高ければ、まだまだ識別できる。鑑定も有効だ。

 50m。識別できるものは、まだ鑑定有効。

 結論。多分これ、本人が識別できれば鑑定基本できるっぽい。ということで、実験終了。

 さて、またもやることがなくなった。裸で運動はしたくないし。

 こんな時、いつもなら植物見て和むのだが、今自分の周囲にあるのはとてもじゃないが和めない危険物揃い。これ見て和むとか絶対無理。ということで美しき青空拝もうかと上を見て……やっとその存在を思い出す。そう、先ほどからずっと私の周りに日陰を作ってくれている存在、大木のことを。

 なんだろう、つい先ほどまでこんなにでかいのにその存在を忘れていたのに、一度気づいてしまえば、目が離せなくなる。無意識の内に、体が動き、その木の幹に触れていた。そして、単なる知的欲求のために、その大木を鑑定し……

………驚愕した。


  知恵の原木

品質:超最高級

状態:良好

樹齢:9999999999999999年12月30日


 そこまで読み終えたところで、私の頭に直接何かが入ってきた。

 なぜそうだとわかったか。理由は簡単。声がしたから、だ。

 テレパシー。つまりそういうものなんだろう。なぜわかるかって?そりゃ、今まで聞いたことのない方法で声が聞こえるんだ。そう考えるしかないだろう。

 とりあえずその何かとの会話のようなもの。正直言って私が人(?)との会話するのは実に一週間ぶりである。


『ふむ、異邦人よ。幾ら貴様がそのことを知りえなかったとはいえ、知性あるものを鑑定し、覗くとは、いささか無礼ではないだろうか?』


こんな言葉が頭に響いた。自分の考えとははっきり異なるものと区別できた。重々しい、長い人生経験を経た、老人のような印象を受けた。

 頭は、未体験のことでも、十分に冷めていた。なるほど、こんなんじゃ、あんなことを言われても仕方がないな、なんて自嘲気味に一瞬笑う。が、すぐにそれを消して、意識を会話に集中させる。

 返答はとりあえず下手に出る。そう決め、口に出して大木に話しかけてみる。状況的に、先ほどの声は、この大木だろう。


「申し訳ありません。確かに我が故郷においても、人の事情に深くふみ入るは無礼とされております。どうか、無知であったものの間違いとして、お許しいただけないでしょうか?」

 

 木に向かって話しかけているという、見様によってはなんとも残念な人に見えるだろう光景。自分でそう想像しながらも、真面目に話す。いや、ふざけてないからね?

 さて、穏便に話せればいいのだけど………


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