第2話 鑑定
同日投稿3話目。
もし、たとえだ、億に一つ、ここが異世界だとしても、なら、何故?私はここにいる?召喚されたにしては、それらしいものも、何もない。転生もしていない。神にも会ってない。召喚もの王道をいけば誰かここにいるはず。邪道系でも、周りに人がいないどころか、地平線の彼方まで、一面同じ景色。しかも私裸。どういうことだ?思考がループする。
手がかりなし。
「もう、良いか……」
思考放棄。だって、それが一番楽なんだもん。それに、全裸で、周囲に植物しかない状態って、餓死する未来しか見えん。って、それ、どんだけハードモードなんだよ!明らかに、チュートリアルが抜け落ちてるよ!
頭を抱えながら暴れる。これ、見苦しいよなぁ………
落ち着け、私。今暴れたところで意味なんてない。ということで、ぼーっと遠い目になる。姿勢は当然転がったまま。
意外と、裸だが、気持ちよく感じるものである。
しかし、何もしないとなると、それはそれで暇である。
いつもの癖で植物の観察を行う。この癖はなかなか抜けなかった。一番傍にあったウラハグサもどきをいじっていると、それの下に、何か見えた。目を凝らしてみると、視界に、文字が広がった。
ギゼン草
品質:超最高級
状態:良好
特徴:薬草。回復薬の原料として使われるが、そのままでも、加工したもの比べると効果はやや劣るものの、HP回復など、一部に特化させた加工品とは違い、その効果は万能。何にでも効く。
HPに限らず、抗がん剤といった病気、精神病にまで。 本当に何にでも大なり小なり効果がある。
ギアク草の特効薬としても知られている。また、魔力のたまりやすいところに生えているギゼン草ほど、品質は良い。最高級のギゼン草は、一部欠陥すらも直す。
伝説では、さらに上の品質があるとも言われ、それは、神をも癒し、死者蘇生すらできると言われている。
はい、きましたー。鑑定スキル。王道(定番)きたねー。わーすごいなー鑑定ってこんな風に見えるんだ~。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!
現実逃避を始めた。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!
元の世界にこんなものはなかったから、異世界と判断するには十分な要素である。
ていうか、ウラハグサもどき、葉っぱでも食って死者蘇生すんのかねぇ。うまくなさそう。
しばらくの間、頭を振りながら、転がりまわった。ちなみに、これ、たぶん、はたから見るといやいやというようにダダこねてる大人に見えるのかなぁ~。
………実際には、よく、女の子のおねだりみたいと言われたことがあるが。って、私女子じゃねぇよ!と今まで何度突っ込んできたことか……
ため息をつく。
「流石に現実逃避を続けても意味ないか」
ちょうど鑑定(と思われる)という、現在の状況にピッタリの能力があるのだ、使わない手はない。
そう切り替え、周囲の植物を同じように鑑定する。
この切り替えの早さは自慢の一つなのだ。
また自画自賛してますけど、何か?痛い子いうな!
そんなこと置いといて、話を続けると、植物の特徴を知ることによって、その土地の特徴を知ることは、できる、はずだ。自分、そこらへんは慣れている自信がある。
……また、自画自賛が入ってしまった。もう少し、謙虚にならねば。日本人のお家芸、過度の謙遜である。
また、思考脱線。もう余計なこと考えない方が良さそう。ということで、鑑定する。
まず、キビもどきを同じように鑑定する。
ギアク草
品質:超最高級
状態:良好
特徴:毒草。毒薬の原料として使われるが、そのままでも、加工したものに比べると効果は劣るものの、HP減少など、一部に特化させた加工品とは違い、その効果は万能。
神経毒、麻薬など、様々な種の毒をいっぺんに摂取したかのようなことになる。時間経過による回復はない。
また、魔力のたまりやすいところに生えているギアク草ほど、品質は良い。最高級のギアク草は、燃やした煙だけで人が殺せ、ドラゴンにすら聞くと言われる。さらに、ギアク草の毒には、ギゼン草の薬しか効かない。
伝説では、さらに上の品質があるとも言われ、それは、神にすら影響を及ぼすとさえ言われる。
うん?先ほどから品質という項目がおかしい気がするのだ。
超最高級って一体なんだ?なんか、最高級の時点で十分とんでもない威力の気がするのだが。それに超をつけた威力とはどんなものか?願わくはこの世界に神やドラゴンが溢れていて、それほど強くないことを祈るのみだ。そうじゃない可能性の方が高い気がするが。もし、ドラゴンとかがとんでもない化け物だったら、それを余裕で倒せてしまうって、ここ、地雷原なんて目じゃないレベルでやばい。
色々と思うところはある。すごくありすぎて頭パンクしそうだよチクショウ!
まずは感想を一言。
「ここは、説明通りなら、すごく魔力のたまりやすいところで、周りの植物はやばそうだ」
うん、結局何の解決にもなっていない。
とりあえずこれからどうしよう?
勢いでまだ行きます。
今後も読んでいただければ幸いです。