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何がために君は死ぬ  作者: 小説中毒者
第1章 幼馴染
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第14話 剣試

遅くなりました……少々、検定のための勉強をしていまして。

それはともかく、話名は雑ですが、字数はいつもよりも少し多めです。どうぞ。

 よくよく考えてみると、ゴブの足音、私の足音、いや、さらに言うと、地面からの音が一切なかった。そう、私が起きてから、一切、全く。

 しかし、音が無いわけではない。それは確かだろう。自分の声、棍棒が空気をきる音、布ずれ、そして何より、ゴブの首が折れる音。あれらはすべて聞き間違いではなかった。今この状態では自分の感覚以外に頼れそうなものはない。

 ならば、それらが合っていることを前提にするべきだ。

 とすると、やはり、地面だけが音を出さない、ということになる。

 原因は一体なんだ?

 ………………………………………植物、か?

 匂いは、あのギコウ草に消されたのだろうと想像がつく。そうでなければ、あの見るからに知能低くて獣臭そうなゴブの傍に行っても何の匂いもしなかったのはおかしい。

 匂いがそうして植物に消されたのであれば、音だって、ありうる。地面の音は、植物が踏まれることで最初に発生する。そして、クッションになるのも、当然植物たちだ。

 一体どんな原理なのか考えるのすら億劫だが、魔法に科学は通用しない。そういうことなのだろう。

 ていうか見渡してみると、先ほど戦闘を行って結構荒らしたはずなのに、全然足元の植物が倒れていない。

 これ、もう、私の知ってる植物じゃないね。性質がもう生物超えてるね。


「……………はあぁぁ………」


  うん、手当たり次第に鑑定をしていけばたぶん見つかるんだろなぁ……でも、なんでだろう。今は、知的好奇心や危機感よりも、虚しさが勝る。この世界、怖いなぁ、いろいろと。

 まあ、収穫としては、低ランクのモンスターなら、単騎で立ち向かってどうにかなりそうだということぐらいか……

それだって十分すぎる成果か。

 さて、どうするか。飯はないが、気力が失せた。今日はもう、何もしなくていいかな……

 何でもいいから、休みたい。

 ………………………………なんて言ったが、世界は私のことを愛してはくれてないようだ。

 匂いも音もないが、意識していたおかげで、先ほどよりも早く気付くことができた。



 ――また、殺気だ。



 おまけに、今回は、複数の殺気である。

 冷や汗たらり。もしかしなくても、私が大声出したせいで寄ってきてるんじゃないか、これ?

 だとすると、この場に居続けるのは危険そうだ。

 でも、ひとまず最優先は、ゴブを片付けるだな。

 ということで、さて、殺りますか。

 ――――――戦闘開始だ。

 意識を切り替える。今回は試しはなしだ。剣を使って片付ける。返り血は浴びないようにするが。

 ゴブ、7匹。装備は先ほどと同じようなもので、戦闘を行う上で、差はないよう。距離、50m。ゆっくり歩いてきている。警戒心丸出しだ。なんというか、歩兵の7人制の陣のようだ。知能はほとんど感じられない、本能の獣のようなくせに、陣形などを理解するのか?っと、そのあたりの思考も後回しでいいか。

 二本の剣を初めて抜く。日本刀ではないから、抜刀術が使えないので、ロマンは諦める。心地よい金属音と共に、一見ありふれた色の刀身が姿を現す。

 しかし、明らかにおかしい。鞘含めて西洋風の造りなのに、一体なぜ、こんなにも刀身が細いんだ?

 西洋の、ロングソードに代表されるような剣ってのは、ここまで刀身を細くしていないはずだ。これは、どちらかというと太刀に近い。

 太刀って、いいですよね。中二病というか、オタク心的に。って、問題はそこじゃないか。

 骨ごと斬ってしまうと、切れ味が落ちるか、折れそうで嫌だな。もう、信頼するしかないのか。校長の、世界からのはみ出し具合を。規格外さを。

 距離、20m。もう、走れば障害物ありでも10秒以内には衝突できる。

 とりあえず、二本を定番のぶらりと構えず持つ。んで、全身を脱力させ、呼吸を整える。そこまでしたら、いざ。

 体を前に傾け、走り出す。5秒かからなかったな。ゴブ、間合いに入る。



 ――――――斬る。




 とりあえず突っ込んでみると、ゴブがあまり素早く反応できていなかったので、真ん中から。 

 左手で正面1体を。そのままの勢いで回転しながらもう1体。血が、赤い血が、噴水とはいかずとも、勢いよく噴出す。右手は念のため防御用に空けておく。

 次、瞬間静止してから、再びダッシュ。左手で、相手が構えたボロいショートソードごと。再び鮮血。浴びたくないのですぐ動く。

 次、勢いを殺さずに素早く右手を跳ねさせて斜め前方の1体を。

 次、左手、返し刀の要領で敵にとっては後ろから。ようやく2体分の血が飛び散るので、再び移動。

 次、右手、大きく体を右後ろに向けながら、勢いよく後方2体を。

 7体全て斬った。その場から少々離れる。

 意識を切り替える。


 ――以上、戦闘終了。


 ………うん、OK、切り替え完了。

 いやー、戦闘って、疲れるね。微妙に注意して、返り血は全て避けた、というか浴びないようにしたけど。

 体感的に、10秒かからずに全動作が終わってしまった。これは、驚異的なことだ。

 ……いや、自画自賛じゃなくてね?自分の体こんなによく動くんだぜ、とかいう自慢じゃないからね?

 誰に言い訳してるんだろう、私。もう校長もいないのに。

 …………完全に、思考が横滑りを続けた。いけないいけない。一人でこんなことしてても残念なだけだ。また、切り替えよう。

 思考を、シリアスに。

 10秒かからずに、7体のゴブの首を切断する。これは、はっきり言って、武器的に無理だろう普通。

 まずそんな無茶、武器が持たない。折れる、絶対折れる。だって、それだけ素早く振れる程度の重さ、ということなんだもの。

 逆に、そんな無茶が可能な武器なら、重すぎて早く振ることができない。私の体格的に、双剣且つ思いなんて、振り回すのは不可能だ。

 しかも、そんなにスパッとは斬れるものじゃない。首ですら、余程上手くやらないと、武器ってのは引っかかって途中減速するもんだ。 

 だというのにこの剣。あの雑な斬り方で、抵抗すらほとんど感じなかった。

 とんでもない、というよりも、ありえない斬れ味だ。

 10mは距離をとったゴブの死体を眺める。………………うん、よく血が出でいるね。

 とまあグロい要素はおいといて、本当、綺麗な断面である。あまりしっかりと眺めたくはないが、少し見るだけでも、プロが刀で斬ったみたいに、スパッと斬れてることがわかる。

 おまけに、頭が飛んでいってない。乗っかったまま、倒れて、頭が転がっていってる慣性の法則に従っている。従うことができるぐらいに、剣が、引っかからずに、斬ってしまえたのだ。

 私、そこまで上手くはないんだけどなー。

 この剣のレベルは、よくわかった。ということで。

 さて、ここから移動するか。

 ………………なかなか、危ない予感がするんだよねー。やっぱり、さっきの叫び声で、周りから、なんか寄ってきてる気がする。

 全方位ではないようだから、そこは救いだけど、結構数がいそう。それに、この8体のゴブリン、多分、群れの一部なんだよね。

 移動というよりも、逃避行になりそうだなぁ、こりゃ…………


 

今後もやっぱり定期更新は無理かもです。すみません。

それでも、お読みいただければ幸いです。

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