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現代に残る湯屋。60分5万はくだらない高級風俗店だ。もちろん一見さんはお断り。選び抜かれた客しか来ることのできない現代に残る吉原そのものだ。この店の売り物である彼女達は、容姿端麗はもちろん言葉遣いや食事のマナーなど教育しつくされた風俗嬢とは思えない人ばかりだ。彼女達は当時の吉原と同様、身寄りがないものばかりだ。みんな住み込みで働き、稼いだ金で高級エステなどを楽しんでいた。28歳になる紫月もその1人だ。
紫月は幼い容姿に似合わず、美しい体つきをしていて芸能人の客もついていた。余計なことは話さず、話も上手ではないため1番人気とはほど遠かったものの、その美しい身なりから外国の官僚などからも指名がかかることもあった。
湯屋は女将がすべてを管理している。予約の電話から支払い、嬢たちの食事の世話まですべてだ。嬢の人数が少ない高級湯屋だからこそ出来ることで、彼女たちは女将を御母さんと呼び慕っていた。湯屋では高級旅館のような露天風呂つきの20畳の和室でサービスを行う。本場と呼ばれるセックスは厳禁で、それ以外ならサービス中は何をしてもいい。一見さんお断りの店ならでわの内容である。