表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界またはファンタジー恋愛

突然、隊長補佐に任命されました

作者: ほろにが

サラッと読んで頂ければ幸いです

アリアは深い溜息をついた


平凡な顔立中肉中背

特に美人でもないし、髪の色だっていたって平凡な花の?独身27歳

ただ周りの女子と少し違うのは騎士団の制服を着ているという点だけ

彼女は城下街のカフェで一人暗い表情を浮かべて表通りの行き交う人々をボーと眺めていた

注文したコーヒーはすでに冷めきっている


なんでこんな事になったのだろう…


考えても無駄とわかりつつ、ひとつひとつ記憶を蘇らせる

アリアは平民で将来の生活を安定させたく16歳の時、騎士団に入隊した

女性の騎士はさほど珍しくもなんともなく、治安の良いコノ国で何となく平凡に過ごし、いずれは誰かのお嫁さんになって子育てして…なんて夢をみながら何の野心もなく過ごしてきた

が、昨日オカシナ事がおきたのである


「アリア・サリアナ、第7部隊隊長補佐を命ずる」


アリアの上官から突然の異動命令が下されたのだ

しかも、第7部隊…隊長補佐!?

アリアがこの世の中に苦手な人物は誰かと聞かれたら即答する人物である

同じ平民で同時期入隊、安定を求めて入隊したアリアと違い、成り上がろうと努力してきた野心家

今では第7部隊隊長 グエン・リーガロ

短髪黒髪に鋭い眼孔、鍛えあげられたがっちりした体型

例えるなら筋肉ムキムキの黒豹といったイメージである

そんな彼が苦手な理由

騎士団に入隊してすぐ剣技模擬戦の訓練の時、アリアはくじ引きでたまたま対戦相手がグエンだった

騎士団入団テストに合格レベルスレスレの体力と戦闘能力のアリアに対し、すでに頭ひとつふたつ出ているであろうグエンとの模擬戦は誰もがグエン圧勝と思っていたのだが、何のまぐれかアリアがグエンに勝ってしまったのだ


床に仰向けに倒れているグエンの首数センチ横に突き刺さるアリアの剣


「あ・・・ごめん・・・」


グエンにまたがって引き攣り半笑いを浮べて謝っているアリアに対して、グエンは何か起きたのか信じられないといった表情を一瞬浮べて、その後すぐに怒顔になり額に青筋を立てアリアを睨む

アリアは目を逸らし見なかった事にしようと現実逃避をしてそそくさと逃げた

あれはまぐれ、いや事故だ

模擬戦開始の合図とともにグエンの気合いの入った剣の攻撃にアリアは当たったら痛そうなので、かわす(逃げる)と、足がからまってグエンの踏み込んだ足にひっかかり共に転倒

まあ、大体こんな感じです

グエンは「女に負けた」と一時笑い者にされたのは言うまでもない

それ以来、グエンはアリアを睨みつけ邪険に扱ってくるのでアリアもあまり関わらないように避けて過ごしてきたのだが・・・・


隊長補佐は基本隊長が推薦する事になっている

「きっとグエンは自分に嫌がらせをして騎士団辞めさせたいのだろうな」

まあ、生温く騎士をやっている女が許せないって奴も少なからずいるし

はぁーまだ結婚相手も見つけてないのになぁー

どんどん気分が沈んでいくアリアはもう一度深い溜息をつき、冷めたコーヒーを一気に飲み干してカフェをあとにした


現所属部隊に戻ると上官に今日は特に仕事がないから、異動の挨拶に行けと指示され重たい足どりで第7部隊隊長室に就任の挨拶に向かった

部屋の扉の前でコレから起きるであろう地獄?を想像してまた、深く溜息をつく

そして、弱々しくノックをした


・・・・


返信がない

留守かな?


もう一度ノックをしようか悩んだが正直留守なら留守で嫌な事が先延ばしに出来て嬉しいので扉が閉まっているのだけ確認して帰ろうとドアノブをそっと回し扉をゆっくり引く

すると、予想に反して扉が開く

あれ?鍵締め忘れ?

アリアはそっと扉の中を覗き込むと20畳ぐらいある隊長室に差し込む昼下がりの薄っすらとした太陽のあかりが窓から差し込み、それを背に置かれた大きなデスク


そして、ソファで淫らに絡み合う二人・・・・・・

はぃ?

アリアは一瞬意向回路が固まり状況把握が出来ない


黒髪の大柄な男性が下で上に覆いかぶさっている女性の衣服は乱れ熱く情熱的なくちづけをしている光景

アリアはかぁっと顔が熱くなり我に返った

これはまずい!

そっと扉をバレないように慎重に慎重にそれはもう全神経を使ってバレないように閉じ、突然のとんでもないものを見せられて顔を真っ赤にして元の隊に戻りアリア思った

上官に異動取消出来ないか相談しよう・・・


「駄目に決まってるだろう!!」


上官は何いってるんだ?こいつは?というように即答で却下されたがアリアは本当にあそこ(第7部隊隊長補佐)に行きたくなかったので食い下がってみた


「しかし・・・あそこに異動するぐらいなら、退団した方がマシかと・・・」


悔しいが本気でそう思いポロリと口にした言葉に上官はサァっと青ざめる


「な!なに馬鹿な事をいっているんだ!た、隊長補佐は出世だぞ!給料も今より良くなる!退団するなら異動後にしろ!!」


あからさまに焦り、動揺している上官を不思議に思いながらアリアはこれ以上言ってもダメだと諦めた

そうか・・・異動してから退団すればいいか

一回くらい高いが給料貰ってからでもいいか

結局、正式の異動日まで挨拶に行かなかった

あんな光景を見せられて行く気にならないし、辞めるんだしーと、思うと尚更行くに気にならなかったのだ



トントン


「入れ」


第7部隊隊長室の扉をノックすると、前回と違い低く通った声が扉の中から聞こえてきた


「失礼します」


大きなデスクで書類に目を通して視線を上げようとしないグエン隊長に感じが悪いなっと思いながらアリアは就任の挨拶をさっさと済ませた


「第4部隊から本日づけで配属になりましたアリア・サリアナです。よろしくお願いします」


深々と頭を下げた後、姿勢を正し少し冷めた目でグエンの胸元ぐらいを眺めた

出来れば視線を合わせたくない

グエンは手元の書類にサインをし、視線をあげてアリアの方をじっと見つめ


「なぜ、就任の挨拶に前もって来なかった。常識だろう、そんな事もわからないのか?」


鋭い眼光がアリアを戒めるように射抜く

表情は無表情というか、不機嫌だったと思うが顔を見ないようにしていたのでアリアには確認が出来なかった

挨拶に行きましたよ。でもお取込み中だったので帰りましたっと言ってやりたい・・・

そう考えながらもグッと我慢をし沈黙を保った


「・・・はぁ、まあ、いい。今後君の責任はすべて私が負う事になる。そのつもりで行動してくれ」


何か諦めのような、呆れたといった感じでまた次の書類に視線を戻した

そんなグエンの態度にバカにされたような屈辱をアリアは感じてた

同期なのに偉そうに・・・まぁ、実際グエンの方が隊長で偉いから文句も言えないが

とりあえず、ひと月分の給料は働かなくては


「グエン隊長、隊長補佐の職務は初めてですので、ご指導よろしくお願いします」


アリアは感情を押し殺し伺いを立てるとグエンは手元の資料にサインをして立ち上がり壁際にある書類棚から分厚い資料を3冊手に取りアリアに差し出した


「今日はコレに目を通しておけ。まだ補佐のデスクが届いてないのでそこのソファでいいだろう」


受け取った資料の重さに体が若干沈み、更にそこのソファを使えという指示でソファに視線をやると先日の光景が浮かび思わず眉間に皺が寄ってしまった

その表情にグエンは不機嫌な表情を浮かべ、アリアの持っている資料をひょいっと2冊取り上げた


「資料を読むぐらい誰にでも出来る仕事だ」


蔑んだ瞳でアリアを見て取り上げた分厚い資料をソファ前のテーブルに置いてデスクに戻り仕事を続けた

アリアはしぶしぶ小奇麗にしているソファに座り資料に目を通す

内容は部隊の配属勤務体制設備政治的なんちゃらかんちゃらなどなど・・・

う・・・眠い・・・

気候の良い季節で、ポカポカ眠くなる木漏れ日が窓から降りそそぎ、静まり帰った隊長室で紙をめくる音とサインをする音がするだけ

ただただ眠くなる

これは新手の拷問か!私を貶めるための罠か!

アリアは資料の文章を目で追いながら、頭の中で罵倒しまくってその日はなんとか終えた

が、次の日も次の日も何故か資料を読むようにと、どこから湧いてくるのか分厚い資料

転属4日目にしてアリアは睡魔との格闘の末・・・負けてしまった

ここ最近、夜あまり熟睡出来なかった上にポカポカ陽気の攻撃

アリアは脳みその回転がなくなり視界が狭くなり俯き固まった

グエンは一通り資料に目を通し終え、視線をアリアに向けると膝の上に資料を置き俯いて動かなくなったアリアに気が付く


「・・・・まさか・・・・・」


そっと音を立てないようデスクから立ち上がり、アリアに近づき下から覗き込むと目を閉じてすーすーと呼吸が聞こえる寝顔に目を丸くし動揺した

暫く考え込み、何か意を決した様にアリアの肩に手を伸ばす


ガチャ


「隊長、頼まれてた資料持って・・・・・」


突然扉が開き、資料を丸めて手に持った長身の若者が入って来た

グエンはアリアに伸ばしていた手を瞬時に引き下げ半歩下がり立ち上がる

その表情は動揺と困惑と怒りっといった感じだろうか


「レギアス・・・貴様・・・」


アリアが起きないように小声で入って来た若者を睨みつけるグエンに対し、レギアスと呼ばれた若者はニヤニヤしてグエンに近づいた

レギアス・ソレイナルは第7部隊副隊長を務める女癖の悪い事でも有名人だ

若く見られるが実はグレンよりも5つ年上の黒髪イケメン

そんな彼がグエンの耳元に顔を寄せ囁いた


「グエン隊長、寝ている彼女を襲っちゃダメですよ?」


その言葉に顔を赤くしてレギアスの胸元を掴み睨む


「部屋に入る時はノックをしろ!あと、襲ってない!!起こそうとしただけだ!」


その殺気交じりの声に寝ていたアリアがハッと目が覚める

自分の横で大男が二人取っ組み合てる?光景にアリアは状況が把握出来ないでいた

単純に寝ぼけているだけだが・・・・・

そんな彼女に笑顔を向けてレギアスは手を振る


「アリアちゃんだよね?俺は副隊長のレギアス、よろしく〜」


グエンは少し乱暴に掴んでいた服を離してレギアスの持ってきた資料をぶんどってデスクに戻った

その様子をレギアスがクスクスと笑う

アリアはやっと思考能力が復活して、もしかして寝ていたのグエン隊長にバレた?っと少し青ざめた


「レギアスもう用事がないのなら帰れ」

「隊長、そりゃないですよーせっかく愛しのアリアちゃんと話せるのにこのまま帰るなんてー」

「っ、貴様仕事をしろ!」


レギンスは怒鳴られしぶしぶ部屋を出て行こうとしたが、フッと思い出した様にアリアの元に戻った

そして、グエンに聞こえないぐらい小さな声で耳元で囁いた


「隊長、アリアちゃんが来るの楽しみしてたんだよ」


楽しみに?私に嫌がらせしたくってたまらなかったのか?

アリアはレギアスの言葉の意味がいまいち解らないっと首を傾げるとレギアスはアリアの耳元にチュっと軽くキスをする真似をした

その瞬間座っていたグエンがバッ立ち上がり殺す勢いでレギアスを睨む


「レギアス!!」

「はいはい、お邪魔しましたぁー」


ひょいひょいっと手を振って部屋を出て行くレギアスの後ろ姿を耳に手を当てアリアはしかめっ面をしながら眺めた

なるほど・・・・噂通りの女ったらしか・・・・


「・・・・アリア・サリアナはあんな奴が好みか」

「は?」


上官に対する態度としてはかなり失礼な返事をしてしまったが、椅子に座り直し少し小さくため息をついて手元の資料に目線を移したグエンがあまりに変な事を言っている


「耳元で囁かれたぐらいで赤面しているではないか」


いや確かに若干赤面しましたが、それで好みかどうかって・・・・・

アリアはグエンの言葉にどう返事をすればいいか考えていると


「あいつはやめておいた方がいい、いい奴だが結婚には向かない」


部下の結婚感にいちゃもんつけて、これは軽くパワハラではないかと思いながら生ぬるい返事を返す

「はぁ」

その後更にグレンは不機嫌になった


転属して数日は毎日資料を読まされ、補佐のデスクが届いたあとドサドサと書類を回され各部署に届けたり内容確認させられたり片づけたり・・・・・正直、隊長補佐がこんなに忙しいとは思っていなかったアリアは毎日グッタリして宿舎に帰っていた

これは一月分残業代を足した給料が楽しみだ


「アリア・サリアナ、この書類を至急4番隊に届けてくれ」


グレンからの指示に従って急いで4番隊に行くと赤い髪が印象的な4番隊長補佐のシズルが人懐っこい笑顔で迎えてくれた

シズルとは以前から面識があり、最近は同じ隊長補佐という事でちょくちょく話す機会が増えてきた


「アリア、お疲れさま。あーこの書類だねー」


隊長補佐歴4年の先輩はアリアが持ってきた書類に目を通してから、準備していたらしい別の書類と見比べ何が納得した様子でまた別の書類を手に取りアリアに差し出す

その流るような動作を眺めていたアリアは心の中で勝手にシズルは仕事がデキる男認定をした


「ありがとう、助かったよ。」


何だがよくわからないけどお礼を言ってヘラっと笑顔を見せるシズルにアリアは好感を持った

ここに私の春があるかもしれない・・・・


「いえ、あのシズルさんはその、彼女いますか?」

「ん?今はいないよー先日フラレちゃってさ」


お?これは・・・チャンス?

少しの期待を持って次の一手を打とうしたアリアだったが


「アリアはいいよなーラブラブなんだろ?」

「ラブラブ?なんで?」

「え?だってグエン隊長と婚約決まったって皆知ってるよーいいよなー」


なんだって?!

今からプッシュをかけようかと思っていたの相手に婚約おめでとうと言われアリアは呆然とした

その後、猛ダッシュでグレンが居るであろう隊長室に戻りノックもしないで扉をバンっと開けデスクに座っていたグエンに駆け寄る

あまりの勢いに目を丸くして驚きアリアを見つめるグエンの瞳をアリアが睨みつける


「グエン隊長!!私との婚約ってどうゆう事ですか!?」

「なんだ、その事か」

「はぁ?なんだとは、なんです!!私、婚約なんて知りません!」

「ああ、言ってないからな」


澄ました顔で答えるグエンにアリアは顔を真っ赤にして憤怒した

こいつはここまでして私に嫌がらせがしたいのか!!

グエンの婚約者なんてレッテルがついたら婚期なんて来るわけがない

そもそも、婚約なんてした覚えはまったくない!!


「婚約してません!無効です!今すぐ訂正し、周りに周知して下さい!!」

「・・・・結婚相手を探していたんだろう?」

「う・・まあ、探してはいましたが」

「将来有望で高給取り、見た目も自分で言うものなんだが悪くないと思っているが?安定した生活は保証出来る」

「精神的に安定出来るとは思えません」


今まで少なからずに隊長と敬っていた心を一切捨てたアリアは思った事即答した

その答えにさっきまで澄ましていたグエンの顔がピクりと動き何とも言えない表情になる


「・・・アリア・サリアナはどんな男なら良い」

「どんなって・・・その、あの、自分(私)を愛してくれる人・・・とか?」


愛と言う言葉を口にすると物凄く恥ずかしくなったアリアは下を向いて羞恥心に耐えていた

あーもう、グエンに何を言ってるんだろう

一月まで後8日あったが今日退団しよう・・・

アリアはドッと疲れが出てきて退団宣言をしようとグエンに視線を戻すと微か笑みを浮かべていた


「なら、問題ないな」

「はい?」

「式は半年後位で考えている」

「あの?」

「お互い平民だが、私の立場もあるのでそこそこの規模でないといけないだろうな」

「ちょっと?」

「新居はあてがあるので心配はいらない」

「おーい?」

「いつ子供が出来てもいいように環境を「ちょ、ちょっと/////!!!」


ムッとした顔でグエンが「なんだ?」と言葉を遮られた事に不快感を表したがアリアはそれにどころではない

目の前のグエンの言葉一つ一つにコレは幻聴?と現実逃避しそうな自分を何とか現実に引きずり戻す


「ぐ、グエン隊長。ハッキリ申し上げます」

「なんだ?」

「私はあなたの事が好きではありません」


ここは、キッパリハッキリ断るのが一番だと思ったアリアは真剣な顔でデスクにいるグエンに宣言した

そういえば、まともにグエンの顔を見たのは初めてかもしれない

整えられた短い黒髪にくっきりした目鼻立ち、恐らくイケメンなのだろうが鋭すぎる瞳で近寄りがたい雰囲気を出しているが

優良株・・・・そうかもしれない

しかしアリアにはシズルに感じた好感をグエンに感じられないのも事実

隊長室で女性と逢引?している事だって知っているから尚更だ

グエンはしばらくアリアを見つめ席を立ち距離を詰めてきた

アリアは少し後退ったものの虚勢を張って留まるとグエンがアリアの腰に片手を回しグイッと引き寄せる

そして、ゆっくり顔を近づけてきた

え?え?と何をされるのか戸惑っていたアリアはこれから触れるであろうモノが唇である事に気が付き、思いっきり右手でグエンの唇を覆い押し返す

普段から身体を鍛えている隊長にはアリアの抑える力など、ほとんど無力だが


「なななな、何しようと・・!!」

「・・・・」


アリアが抑えていた手から少し口を離し、顔を曇らせボソッっと呟いた


「・・・レギアスはこうすれは良いと言ってたのだが」


アリアは今キスされそうになった事に更に怒りが沸き上がり


「〜っ離して下さい!節操が無さ過ぎ!そうやって強引になんでも自分の思い通りになると思うな!!他に女がいるのにーあーもうっいいです!辞めます!!元々そのつもりだったし!だから、離して」


アリアは自分の腰に回った力強いグエンの手を外そうとしてもビクともしないのでジタバタ暴れるとグエンは


「辞めて家の事に専念するのは私としては助かるが」

「ちがーう!そういう意味じゃなくて!!」

「アリア・サリアナ、私もあなたの事が好きではない」

「・・・・はい?」


暴れていた身体をピタっと止めてアリアはかなり至近距離にあるグエンの顔を見た

もう何言ってんだこいつは?と目を細め顔を引き攣らせる


「美人でもないし、いつも適当でやる気がない使えない女だと思っている」


間違ってはいないが、流石に面と向かって言われると腹が立つ


「だが、他の奴には渡したくない」

「おっしゃってる意味が全くわかりません」

「安定を求めた結婚なら私で良いだろう?」

「確かに安定を求めてはいましたが、誰でもいいとは言ってません!ちゃんと恋愛もしたいです」

「だから、今、しようとしてるではないか」


至って真剣に何の悪気もなく自分が正しいという感じで自分を口説いている?グエンにアリアはもの凄く残念な奴を見る目で眺めてしまった

キャーグエン様素敵ー!と思う所なのだろうか・・・


「・・・私は誰とでもこういうキスをする人とは恋愛したくないです」


アリアは先日のアツーい抱擁シーンを頭に浮べて嫌みったらしく言うとグエンは不思議とばかりに首を少し傾けた


「女性は多少強引な方が好かれると聞いたが?」

「人それぞれだと思います、離して」

「私との婚約を受理するか」

「嫌です!」

「なら、離さないし辞めさせる訳にもいかない」

「なっ!!」


アリアが抗議しようとした一瞬の隙にグエンの顔が近づきアリアの唇を奪った


「ーん!!!」


ジタバタともがくアリアだが力強く腰をフォールドされているので簡単に唇も外れない

一時してグエンがそっと離し今まで見た事がない情熱的な瞳でアリアを見つめる


「私の側から離れることは許さない」


流石に色んな意味でゾクリっと感じでしまったアリアはとりあえず辞めないという約束で離して(開放して)もらった

その後も毎日の様にセクハラ?を受けたが恋愛してから婚約案をグエンは納得して婚約は解消?された

グエンは何年も前からアリアの事が気になりいつの間にか目で追うようになっていた

それをアリアは睨まれている、邪険にされていると思っていたのだが・・・

そんなある日、次期団長にグエンの名があがり、団長になってしまってはアリアを眺める時間も少なくなる上にアリアが結婚相手を探していると聞いたグエンは焦り、ほぼ私情で職権乱用してアリアを隊長補佐に任命した

グエンがアリアの事を相談した相手が悪かった

友でもあり副隊長のレギアス

結婚相手を探している事も婚約や強引に攻める事もレギアスがグエンに助言した

騎士として成り上がろうと必死に努力してきたグエンはモテるが女性を寄せ付けず恋愛にはとことん疎い

レギアスのいう事を真に受けたのだ

結局アリアはグエンが団長に就任する時まで隊長補佐をきっちりやりきり、懐は暖かくなったが精神的にかなり疲労も貯まった


そして、団長就任式の日

いち隊長として参列していたアリアは顔を引き攣らせていた

目の前に片膝を地面につけ見上げる正装したグエン団長

グエンが私に差し出している手には煌びやかな指輪が入ったケース

周りはザワつき視線が痛い、痛すぎます



最後まで読んで頂きありがとうございます!

何となく何処かで読んだ事がありそうなシーンですね〜を書きました

しばらく小説から離れていたので、自分の文才の無さを忘れていましたが・・・下手の横好きです(´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] その後、グエンは好きな人ができるんですか? 残念です。 しかも隊長の部屋でヤッてたのはグエンじゃなく別の人だった。 誤解が解けないと好きになれないですよね〜。 続編を書いて欲しいです。 でも…
[良い点] 話は面白いです。 [気になる点] 最後の方が雑に感じられました。 [一言] 結局、隊長室でヤッてたのはグエンさんなんですか?勝手に婚約結ぶほどに気になる女性が挨拶に来るかもしれない部屋で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ