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プロローグ
覚えてなくてもよいのです。
心を留め置く必要もありません。
だってこれはただの、わたしのわがままなのですから。
だから、だから貴方さまは自由に生きてください。
わたしが惹かれた、大好きな貴方さまのままで。
だけれどもし。
とおい未来で、貴方さまが困られたとき。
もしくは……さびしいと感じられたとき。
わたしの血は、必ず貴方さまをお支えいたします。
きっと、きっと。
わたしはただの「ひと」です。
けれどね、これはきっと……きっと叶います。
貴方様は言ってくださいました。
「ひと」というものは実のところとても強いと。
「ひと」の想いはすべてを生み出すことができるのだと。
わたしはだから、とてもしあわせです。
しあわせなのです。
……わたしの大好きな、あやかし様。