危機一髪
回収したアイテムを小骨が集めた道具を保管している部屋に放り込み、橋の欄干に座り骨達が戻ってくるのを待つ。
しばらくボーっとしていると、神殿から獣人の子供が3人走って出てきた。
子供達はじゃれ合いながらこっちに向かってきてる、退屈だったらしい。
小骨が神殿の方を指差しながら子供達の後ろを追いかけている、戻れ的なアピールだろうか?
子供達は俺の体にまとわり付き、押したり引いたりしてくる。
「落ちる!落ちる!」
と言いながら俺は、狐の獣人の耳をこっそり触りながら子供達の好きなようにさせていたら、2人が足を滑らせて川に落ちた。
落ちた2人に目をやると犬掻きしてた、なんかかわいい。
狐の獣人を肩に担いで川に飛び込む俺、水中で獣人を追い掛け回して遊んでいたら小骨が降って来た・・・
小骨が川底で手をパタパタ振っているが浮かんでこない。
子供たちと顔を見合わせた後、潜って小骨を背負って川から上がった。
子供達は満足したのか小骨を先頭におとなしく神殿に戻って行った。
もうすぐ夕方になろうとしていたその時、骨のHPゲージが1割ほど減り1のMPが減少を開始した。
橋の上から周りを見渡すと、村の入り口方向から10人前後の獣人が全力で走って来ていた。
先頭を走っていた熊に神殿に入るよう声を掛け、俺は骨達が居るであろう村の入り口方向へと走り出した。
しばらく走ると、後退しながら弓を撃つ1とやけに大きなアメリカバイソンみたいなモンスター(角がすげぇ長い)の攻撃を避けながらチマチマ攻撃している骨が視界に入った。
俺が走っている間に骨は魔法を使用したらしく、MPが底を尽き掛けており1のMPも3割位減っている。
バイソンは切り傷だらけだが致命傷になりそうなダメージは与えていない様だ。
この辺で足止めしないと神殿の扉くらい簡単に破壊しそうな感じだが、後どの位魔法が使えるか分からない。気絶したら死亡確定な状況に躊躇っていると、骨がバイソンの突進をかわし損ねて弾き飛ばされHPが半分以下まで減った。
「マイナーヒール」骨に単体回復スキルを掛ける。HPが7割の所まで回復。
「下僕強化」「下僕強化」骨と1に強化スキルを連続で掛ける。
あ、やばいクラクラする。
気絶は免れたものの、明らかにMPが足りない。後は骨達の戦闘を見守るしか出来そうに無いので、後ろに下がって座り込み(立ってるのが辛い)見学する。
骨は回避中心で避けられない攻撃を盾で受け流しているが、盾で受けるたびにHPが減っていく。
1は骨が回避しやすくなる様に、バイソンの攻撃モーションにあわせて矢を放っている。
骨のHPが3割を切り、1のMPがそろそろ限界に近付いている。
「ジリ貧だなぁ~負けるかな?」
と俺が呟いた時に、1が光の弦を消し弓を両手で槍のよう持ちバイソンに突撃していった。
バイソンの足の付根に1の弓(槍?)が深々と刺さったが、バイソンが首を下げ1を角で空中に放り投げた。
がら空きになったバイソンの首筋に骨が体当りし、剣が柄元までめり込んだのが見えたが、バイソンは骨を前足で蹴り飛ばし数歩よろめいた後に倒れた。
危ない所だった、骨はHPが残り1割を割り込み人間なら虫の息状態だ。
1も一撃でHPが残り2割まで減ってる(鎧着てないし)、バイソンの放り投げ後にもう一撃食らったら死んで(壊れ?)ただろう。
ここに長居して他の魔獣が寄ってきたら全滅してしまう。
「骨、1、武器を回収して神殿に戻るぞ」
骨と1が武器をバイソンから引っこ抜いたのを確認し、立ち上がって神殿の方を向くと獣人達が総出でこっちを見ていた。
「ホーンバイソンをスケルトン2体で倒すとは、やはりすごい力をお持ちですね」
とか熊が言ってるが、こっちはそれ所ではない。
「お前らも早く神殿に戻れ、俺もこいつ等ももう限界だこれ以上戦えないぞ?」
神殿に戻り獣人達に
「とりあえず、今日は扉を閉めて食堂か礼拝堂で休んでくれ、小骨夕食を出してやってくれ」
「魔法の使いすぎで疲れたから話は明日聞く、じゃそう言うことで!骨・1付いて来い」
と言って早々に2階の寝室に戻った。
「骨と1はここで待機」
と言い、俺は寝る体勢を取ってから「グループヒール」集団回復スキルを使い気絶した・・・