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骨とぼっちなVRMMO  作者: 空回りする歯車的な人
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ダンジョンの入り口

「ふぁ~・・・」


 夕食をとり一服した後、うたた寝から目を覚ますと辺りはすっかり暗くなっていた。

 神殿の屋上から月明かりを頼りに、村を見回す。

 所々に青い光が蠢いているのは、狼骨の目玉だろうか?

 バイソンがいつも居る川縁に蛍っぽい光が瞬いている。


「そういえば夜の村を歩いた事無いな、ちょっと蛍見物にでも行くか」


 独り言を呟いたつもりが、後ろから小骨に腕を掴まれビクッとなった。


「小骨も一緒に行く?」


 即座にうなずく小骨を連れて、バイソンの所までやってきた。

 小さい光が10匹ふわふわ飛んでるが、虫の本体が見えない。

 じっと目を凝らして光を見つめると俺方へと群がってきた。


「おぉ?何か寄って来たのに本体が見えない・・・」


 両手で光を包み込むように捕まえながら呟いたら、小骨が首を傾げながら俺の腕をつつき下の方を指差す。

 小骨の指先を見るとそこには小さな火トカゲちょろちょろと舌を出していた。


「ん?小骨の精霊?」


 コクリとうなずく小骨。

 小骨の前で手を開き、捕まえた光を開放する。


「これも精霊?」


 またコクリとうなずく小骨。


「え~と・・・光の精霊?」


 またまたコクリとうなずく小骨。


 確か神殿に有った精霊魔法の本には、精霊にお願い事をしてみよう的な事が書いてあったと思う。

 低LVの光の精霊魔法と言ったらあれでしょ、松明の代わりに使う奴でしょ。

 というわけで頼んでみた。


「よし!精霊さんちょっと周りを明るくしてもらえないか?」


 光の精霊達は一箇所に集まりスーと上空に上がった後、強烈な光を放ちながらゆっくり降りてきている。


「おお!照明弾みたいだ」


 システムメッセージが出てきた。

 光の精霊との契約に成功し、他の精霊との契約は出来なくなりました。


「え?」


 続いて照明スキルを取得した。

 キーワードを見た目から「照明弾」にしたのはいいけど、他の精霊と契約できないのはちょっと痛いか・・・

 そういえば骨とか小骨も一種類の精霊しか使ってないな。

 光の精霊、攻撃とか防御に使える魔法あるだろうか?

 とか一人で考え込んでたら、獣人達がログハウスかゾロゾロと出てきて降りてくる照明弾(光の精霊)を見上げ、川縁に居る俺を誰かが指差してヒソヒソと話した後にログハウスに入っていった。

 ・・・安眠妨害してしまった。

 もう元に戻っていいんだけど、どうやって解除しようかと考えていたら照明弾がパッとはじけて小さな光に戻り俺の周りに集まってきた。


「ん?考えるだけでいいのか、便利だな」


 小骨と辺りを散策した後、神殿に戻ってベットに潜り込み光の精霊の使い方を色々考えながら眠りに付いた。


 翌朝、外に出ると光の精霊の姿が見えないので呼びかけると小さな光がチカチカと舞う。

 それは注意して見てても気付き難いほどの小さな光だった。

「これじゃ気付かないわけだ」


 光の精霊と戯れていると、小骨が攻撃魔法を川の方へ放ったのでそちらに目をやると、南の町の初心者マップで見かけた鎧が川から這い上がろうとしている所だった。

「え?あいつなんでここに居るんだ?」

 川から這い上がりこっちに向かってくる鎧を見ながら呟くと小骨が上流の方を指差す。

 そこにはバイソンが這い上がろうとする鎧を川に放り投げる姿があり、骨達がその周囲を警戒していた。

「おう・・・なんてこった、取り合えずこっちに向かってくるあいつを始末するか」


 鎧は小骨の魔法を受けたにもかかわらず中々倒せなかったが、足が遅い上に攻撃モーションが分かりやすいのでダメージを受ける事無く倒す事ができた。

 魔法生命体にしようと死体を鑑定したら「壊れた魔甲騎士」と言うアイテム名で素材として使用できない事が分かった・・・使えない奴め!

 他に川から上がってくる鎧がいないか確認した後、骨達が陣取っている上流まで様子を見に行く事にした俺は鎧のモンスターが沸いている場所を発見した。


 神殿の水源になっている貯水池から落ちている滝の滝つぼに洞窟があり、そこから川に合流した後に村に這い上がって来る様だ。

 つまり、南の町で出没していた鎧はこのまま川を下って行って町の近くで川から這い上がった奴らだったのだろう。

 このまま放置すると村に被害が出るのは確実なので、洞窟を何とか封鎖する為にエイミーさんに鉄格子(後から入れるように扉付き)を作ってもらう事にして、完成までの間骨達を総動員して川辺を監視する事になった。

基本的には川に突き落として村の外に排出する作戦だったが、1日に数体の鎧を釣って俺の剣スキル上昇の相手をしてもらった。高耐久・遅いスピード・攻撃モーション大の鎧はスキル上げに丁度良かった。

エイミーさんがやけに頑丈そうな牢屋の鉄格子を作り終わったのは今回のログイン最終日だった、それまでにかなりの数の鎧が町の方へ流れていったが他のプレイヤーが何とかしてくれるだろう・・・たぶん。

鉄格子を設置して、やっと一息ついた所でログアウトとなった。

今回はやけに長い間戦い続けた様な気がする。


「もうちょっとのんびりしたい」

そう発言したら、エイミーさんにアンタが原因でしょうが!と怒られた。

ちなみに、宵の明星の人たちはログアウトの時間になっても帰ってこなかった・・・何してるんだろう?






 時は少しさかのぼり、主人公が鎧の処理にてんてこ舞いしている頃。

 東の町の王城離れにて。


 じゃじゃ馬姫(以下姫):「シオ!シオはいないの!」


 塩ラーメン(以下塩):「はいはい、ここに居ますよ?勉強する気になりましたか?」


 姫:「違うわ!」


 塩:「じゃあ、また冒険にでも行く気ですか?」


 姫:「あんな怖い思いをするのはもういやよ!じゃなくて!」


 塩:「何か別の用ですか?」


 姫:「私を嵌めて亡き者にしようとした黒幕が誰か調べてきなさい」


 塩:「え?それは話をちゃんと聞かない姫の事では?」


 姫:「なんですって!明らかに皆殺しの罠だったじゃない、報酬も用意するから調べてきなさい」


 塩:「・・・(確かに冒険者を皆殺しにする気満々のミッションだったけど、別に姫を狙ったんじゃないと思うんだよな)」


 姫:「なによ、嫌なの?」


 塩:「情報源に心当たりがあるので引き受けましょう」


 姫:「フフ、帰ってきたら砂漠の遺跡とオアシスに貴方をつれて行ってあげるわ」


 塩:「遺跡?(なんかのフラグ来たー)」


 姫:「王家直轄のオアシスの横に遺跡があるのよ、オアシスで水遊びして遺跡の地下で休憩するの」


 塩:「オアシスで水遊びって人は住んでないんですか?」


 姫:「転移門で行かないと場所を知ってても辿り着くのに20日位掛かるし、王家の直轄地保養地だから住民は居ないわね」


 塩:「直ぐに調査して戻ってきます!では」


 こうして塩ラーメンは新たなミッションを開始した。


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