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骨とぼっちなVRMMO  作者: 空回りする歯車的な人
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中の人&塩ラーメン

 - 中の人編 -


 課長(以下 課):領主さんのイベントがそろそろ始まるよ~


 主任(以下 主):討伐隊は脱落者無しですか?


 その他エンジニア(以下 エ):お、その討伐隊が狼に襲われてますよ


 課:あれ?先導役が逃げ出したぞ?


 主:6人先導役を追って行きましたね~


 エ:あ、残留組が食い散らかされてる


 主:イージーモードで強いモンスターは出ないんですよね?


 課:狼はこの森の中では弱い方だよ?数も減ってるし


 主:おや?領主さん達が森に入った途端にイージーモードが解除されましたね


 課:戦闘可能距離まで接近したから補正解除したな


 エ:領主さん戦う気ないっすね、敵を保護しながら移動してる


 課:まあ、討伐隊はともかく領主さんは事情を知らんしな


 主:領主さんと明星が別行動開始しましたね。そろそろドラゴン来ないかな


 課:ドラゴンが移動を開始。ちょっとでも傷つけたら・・・フフ、どうする領主さん


 エ:ドラゴンのデザインなんかおかしくないっすか?


 主:俺がデザインしたドラゴン幼体に何か?


 エ:トカゲじゃないっすか!せめて茶色くすれば良いのに


 主:たぶんお前がイメージしたのはカナヘビだろう、日本トカゲの方がいいだろ?


 課:領主さんが恐れおののく姿をアップにしてみるか、ポチッとな


 エ:何か様子がおかしくないっすか?


 課:領主さんは何故ドラゴンに向かって手を振っているんだ?


 主:・・・(トカゲ好きか?)


 エ:領主さんが手を出す暇もなくドラゴン墜落???


 課:何故かドラゴンを治療する領主さん・・・そこは倒しちゃうところだろう何故だ!


 主:・・・(俺のデザインが悪いのか?)


 エ:ドラゴンの行動ってこっちで制御したんでしたっけ?


 課:いや、討伐隊との接敵と同時に攻撃衝動をMAXまで上げて無差別攻撃するようにしただけ、親ドラゴンだと全滅確定だから子ドラゴンが適当に攻撃したら満足して巣に帰る様にしただけだ


 主:・・・(夜刀神だっつってんのにアホが親龍を西洋龍デザインにしやがったから、何とか子龍を日本風にした俺が悪いんじゃないな)


 エ:領主さんがここぞとばかりにドラゴンを撫で回してる。正直引くわ~


 課:起きたドラゴンが領主さんに攻撃だ!ガッツり噛み付いたぞ!


 主:ドラゴンは頭が良いので助けられた事を理解していて試してるんです。領主さんの対応次第で・・・


 課:よし!反撃しろ!そして親ドラゴンの逆襲フラグを!


 主:よく見てください、領主さん大喜びです。むしろご褒美です


 エ:・・・


 課:・・・お前は何故そんなに嬉しそうなんだ?


 ・

 ・

 ・


 主:何故か竜騎士が誕生しましたね・・・


 課:開放予定が半年は先のダンジョンが開放されたな・・・


 エ:ほっといていいんですか?あのダンジョンのモンスターやばくないっすか?ほっとくとフィールドに出てきますよ?


 課:これは事故で俺達の責任じゃない・・・と思う




 - 塩ラーメン編 -


 ゲーム開始後、イーストウォールと言う町で適当に狩をして過ごす日々を過ごしていた。

 そんなある日、町の魔法道具屋でお釣りを誤魔化そうとした店主と口論していた所に突然身なりの良い、いかにも執事然とした男が割り込んできた。


「冒険者殿は随分と教養があるようですな、近々当家で家庭教師の募集を行いますのでお受けになってはどうですかな?」


「随分上から目線をありがとう、セバスチャン」


「セバスチャン?」


「ああ、なんでもない」


 こうして運命は動き出した。

 とんとん拍子にじゃじゃ馬姫(王位継承権第3位のお姫様らしい)の家庭教師兼護衛として城住まいとなった。

 ※試験があったが殆どが小学校レベルの算数だったが1問だけ連立方程式が混じっていた。


 このじゃじゃ馬姫は曲者だった。

 常に護衛の騎士が付いているのに城を抜け出し(一般の騎士には存在さえ知られていない脱出路を使っているらしい)冒険者ごっこに興じている。

 しかも、イーストウォールでは見つかり易いと言う理由で転移門を使ってサウスフォートまで行くという徹底っぷりだ。

 国王は、危険の無い近場で騎士に守られながら遊んでいると思っているので口出ししない。

 ゲーム上の設定なのだろうと大して気にする事もなく日々を過ごしていたある日、じゃじゃ馬姫が護衛4人と自分を連れて冒険に行くと言い出した。

 行き先は秘密にされ到着してからのお楽しみなどと言っているが、騎士が4人もいれば大抵の事は平気だろうと気にもしていなかった。


 こうして、ネットで噂の獣人の村討伐ミッションになし崩しに参加するはめになった。

 イーストウォールでは獣人は城壁の外の貧民街に普通に暮らしている為、獣人をモンスターとは認識しないはずだ。

 仕事の内容を把握した時点でじゃじゃ馬姫に、獣人の村討伐の仕事を何故受けたのか聞いてみたら帰ってきた答えはこうだ。


「魔獣の討伐依頼を受けてるのよ?獣人のはず無いじゃない」


 このじゃじゃ馬姫は説明をちゃんと聞いてこなかったらしい。

 森の手前で引き返そうと説得したがダメだった。

 最悪の場合、じゃじゃ馬姫だけでもテレポートで脱出させれば良いだろう楽観視していた事もある。

 じゃじゃ馬姫が持っていた転送魔石を荷物ごと狼に奪われるまでは気楽な物だった。


 討伐対象である村の領主に助けられた後にも、身代金を払って解放して貰おうと言い出し自分に交渉役を押し付けてきたが領主にあっさり却下され怒っていた。

 正直、背景を考えれば皆殺しにされても何の不思議も無いが、領主とその仲間はこの討伐部隊を出した神殿の思惑等についての情報を持っていない様子だったのでむやみに人殺しはしないだろう。

 普通の日本人ならば・・・だが。

 モニター越しの従来のMMORPGならさっくり殺す場面でも、実際に話して触れるNPCはPCとなんら変わる事のない人間を殺す事に躊躇するはずだと思う。


 転移門に放り込まれる冒険者たちを見てガタガタ震えながら動こうとしないじゃじゃ馬姫を支え、大丈夫と声を掛けながら門を通過する。

 そこはじゃじゃ馬姫がいつも門を使って移動してくるごく見慣れた風景だったのだろう。

 門をくぐって景色を見たとたんに緊張の糸が切れ気を失った姫を抱きかかえながら、討伐隊が呆然としている間に安全な場所まで移動した。

この後、同行していた騎士の知り合いから金を借りイーストウォールに帰還した。

じゃじゃ馬姫は今回の事が相当堪えたのか、冒険者ごっこに興じる事はなくなった・・・


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