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骨とぼっちなVRMMO  作者: 空回りする歯車的な人
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ノヴァの苦労話

 今週もやってきましたログイン日。


 ノヴァ達6人のムービーは「悲惨」としか言いようが無かった。

 ムービーは3人が見張りをし、残り3人が休憩している所に爆発系魔法が炸裂し6人が吹っ飛ぶ所から始まった。


 画面が暗転し「何故彼らがこんな目に遭っているかちょっと過去を振り返ってみよう・・・」と言うナレーションが流れ、朝日を浴びながら彼らが冒険者ギルドから出てくるシーンへと繋がった。

 俺が道を歩いているのが映っていたが気にしない。フードで顔がわからないし。


 川沿いに森に入る6人が映り、画面が切り替わる


 一人が巨大ハエ取り草みたいな物にバックリ噛み付かれているのを5人が必死に助け様としている横から、人間を丸呑みできそうな大蛇が襲い掛かる。


 巨大なハチに追い回され森を逃げ惑う6人。既に川は見えず完全に迷っている様だ。


 上空視点から今日の移動という矢印が円を描く(密林しか映っていないマップだった)


 巨大な蜘蛛が糸を吐いてノヴァを捕獲、松明の火で糸を焼ききろうとしてノヴァ火達磨になるも何とか討伐


 ちょっとした広場みたいな所で1日休憩(獣人達が放棄した住処だ)襲い来る巨大ムカデ


 こんな感じで次々と戦闘シーンが流れ、冒頭の吹っ飛ぶシーンが再度流される。


 HPポーションを咥えて走る6人、追う魔獣(姿は影っぽく映されている)。


 逃げる6人を動く巨木が根っこで横薙ぎにする。


 捕獲しようと接近する巨木と追ってきた魔獣が鉢合わせ。


 モンスター同士が争う間に6人は逃走に成功。少しでも離れようと歩いていると木々の間に無数の光る目が・・・


 包囲の薄い所を強引に突破して少し進んだ所で森が切れ、村が見える。


「もう少しだ!頑張れ」と叫ぶノヴァが映し出された後、6人は村の中へと走り込みつつ画面が暗転


「彼らは目的地にたどり着き、新たな冒険の拠点を手に入れた」と言うナレーションが入り、夕日に照らされテントを張る6人の姿が映し出されていた。


 今回はノヴァ回だから俺は映さなかったようだ、通行人Aとして出てたけど俺しか気付かないだろうし。


 しかし、あの切り方だと村の中は安全圏みたいな誤解が生じる気がするけど運営の罠か?


 大変な思いをして村にたどり着いた連中を冷やかそうと、ログイン早々6人がいるはずの建築現場に行った俺は目が点になった。


 斧を片手でブンブン振り回しながら「フシャ~」と、怒った猫みたいな声を出すエイミーさんを骨が小脇に抱えているし、ノヴァとその仲間4名は魂の抜けたような虚ろな目でモフモフの虜と思っていた男の奇行を見つめていた。


「なぁ、ノヴァさんや」

「何かな?フェイさん」

「彼は生粋のケモナーだったんだね」

「その様だ・・・その様だ」口から魂が抜けるエフェクトが発生しそうな勢いだ


 一人の獣人(ラブラドール的♀)に、片膝ついて指輪が入った箱を開いて捧げるようにしているケモナーの姿がそこにあった。

 小骨が男と獣人を交互に見つめ時折り俺の方をチラッと見る。興味津々の様だ。


 俺達から浴びせられる様々な感情が篭った視線に耐えられなかったのか、ラブラドール獣人が


「ごめんなさい!」


 と叫びながら逃げ出した。


 崩れ落ちるケモナー。


 逃げながらケモナーをチラッチラッと見るラブラドール獣人。


「ほぅ、脈有りか」と小さく呟く俺。


 天を仰ぐノヴァと4人の男達。


「私のたれ耳とスレンダーしっぽ・・・」と愕然とするエイミーさん。


 俺の袖を引っ張りつつ俺の顔を見上げケモナーを指差す小骨。


 微妙な空気が流れていて今日は何も手につかないだろう、


「今日の所はこれで解散しよう。みんな一晩頭を冷やしたらどうだろう?」と俺が提案しその日は解散となった。


 ケモナーは動かなかったし、小骨は俺の袖を放さなかった。

 エイミーさんは骨に部屋まで運ばれて行き、骨はその後ケモナーを担いでテントまで運んでいった。


俺は、尻尾をフリフリしながら他の獣人に囲まれているラブラドール獣人を眺めながら


「さて、話でも聞きに行くか」と呟き


ノヴァ達のテントへと足を運んだ。


「まあ、あれだ。初めて会った相手に指輪を差し出されてもドン引きしない彼女はどんだけ大物なのかと言う事だ」と爆弾を放り込む俺


「止めてあげて、止めてあげて。お願いします」とメンバーの人


「冗談はさておき、この村に来た本当の目的は何かな?」


ノヴァ達は顔を見合わせた後、


「俺たちには決定的に足りない物がある」


「うん、前衛以外の全てが足りないな」盾持ち2人と両手剣4人とか無茶な構成だ。


「後衛職はまだ少数派だから折を見てスキルを取ればいいが、ヒーラーが居ないのは致命的だ」


「それでこの村に?」


「第一目標はアンタの勧誘だ」


「そりゃ無理だな。獣人達が来る前なら有りだったかもしれんが」


「そうだろうと思ってたよ、第二目標はスキル取得に必要な本を読ませて欲しい。もちろん金は払う」


「別にいいけど、たぶん回復スキル取るのは無理なんじゃないかな」


「何故?」


「信仰してる神様の特殊魔法扱いっぽいから、何神信仰?」


「無信仰、と言うより特定の神様は信仰してない状態かな?冒険者ギルドスタート組みは皆そうだったよ」


家の女神の信者になればいけるのか?と言うか信仰とはそう簡単に決められる物だろうか?

ちょっと悩んでいると、


「神殿でその神様に気に入られる物をお供えすると改宗できると言う情報を掴んでいる」


「へぇ、じゃあ甘いお菓子を家の神殿でお供えしてみたらどうだ?本に好物だと書いてあったぞ?」


ノヴァ達は一斉に荷物を開く、orzな感じの人が6人居る。何だろうこのむなしい感じ。

なんて声をかけようか考えていたら小骨が俺の袖を引っ張って自分を指差している。


「小骨、女神の好物作れんの?」と聞いたら頷いた。


振り返るとorzな人1ケモナーと5人の土下座がそこにあった。

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