エイミーさんの仕事場確保
まずは神殿まで行こうという事で道を歩いているとエイミーさんが
「あのデカイ蓑虫なに?」と聞いてきた。
「・・・あそこには熊さんが建てた獣人達の仮住まいがあったはずなんだけど」と俺
「領主様が出かけた翌日にあちこち壊れはじめて、壊れるたびに補修して貰ったら・・・」と狐の獣人(母)
「やっぱ壊れたのか、職人探した理由が判っていただけたところで早速どこから手をつけるか相談しましょう」
神殿の入り口に着いた所で小骨が奥から小走りでやってきて俺のマントを引っ張った。
「エイミーさんこの子が小骨です」
「・・・その子下さい」目にキラキラエフェクトが発生するエイミーさん
「小骨は俺の嫁です。あげません」ちょっと悪乗りしてみる俺
「そこを何とか・・・」
と、エイミーさんと初めてまとも?なコミュニケーションを取っていたら、小骨がすごいスピードで奥に走り去って行った。
「「あれ?」」
「ちょっと調子に乗りすぎたか?」
「ご機嫌損ねちゃったかな?」
後で様子を見に行けばいいか、と思いながらエイミーさんに村の中を一通り回ろうと提案すると、
「もふも・・・獣人の人に案内してもらえると嬉しいですね~早く仲良くなりたいし」
「ふむ、ちょっと待ってて」
外に出て、狐の獣人(子供)を探すと、獣人達の住居から顔を覗かせるいつもの子供達を発見した。
手招きすると、3人は走り寄ってきて俺の体をよじ登ろうとする。そのままエイミーさんの所まで連れて行き、
「よし、3人ともこのお姉さんの案内してあげてくれ、ちゃんと案内できたら町で買ってきたお菓子をやるからな~」
「「「わかった~」」」
元気に返事をする子供たち、キラキラの目で獣人の耳をロックオンするエイミーさん
これで夜までエイミーさんは子供達を解放しない事だろう。違った、村を見て回るだろう。
俺は、調理場に自分の荷物を持って行き小骨に声をかける。
「町で鍋とか食材買ってきたからここに置いとくよ、色々買ってきたから料理頼む」
と言って、小骨を見ると新しいフライパンを片手に掲げ俺のバックから香辛料とか砂糖とかを取り出しご機嫌な様子だった。
俺は、小骨に夜の料理を頼んだ後、竈から火の着いた炭を一欠け取り出し金属製の皿に乗っけて屋上に出て、買ってきた葉巻に火を着けた。
葉巻を1時間掛けて1本堪能する間、村の様子を観察する。
あちこちの畑で獣人達が収穫作業をしつつ、畑を耕しているのが見える。
川では子供の獣人が魚を捕まえている。骨と1が村を巡回し、バイソンは川辺でじっとしている。
エイミーさんが3人組を追い掛け回しているのも見える。
「ふ~平和な光景だ、おかしいな?VRMMOのはずなのに村作りシミュレーションゲームをしている気分だ。嫌いじゃないぜ!むしろ好物だ。」
相変わらず独り言を呟きながら、葉巻の火を炭の入った皿で消し食堂へ降りていった。
夕方、村を一回りしたエイミーさんと子供達と一緒に神殿の食堂で小骨が作ったリゾット(食材を色々買ってきたから早速使ってみたらしい)を食べながら建築作業をどうするか相談する。
エイミーさんはどうやら村を回る間にどこに建物を建てるかちゃんと考えていた、もふるのに夢中で今日は無理かと思ってたらちゃんと考えていた様だ。
しかし、生産用の機材特に作業台等を先に作らないと無理が有るので、先に自分がもらえる予定の土地に作業所を作りたいとの事だった。もちろんその辺は他のゲームで生産廃人経験の有る俺は判っているつもりなので、
「どこでも好きな所に作るといいよ、小骨~おかわり」
「じゃあ、この神殿の隣に作る事にしますね。私もおかわり、このリゾット美味しいね」
こうして作業場の設置場所が決まり食事が終わった後、子供たちにお菓子をあげて今日は寝る事にした。
エイミーさんに俺の寝室を使ってもらい、俺は1階の簡易宿泊部屋に寝る事にした。
翌朝、エイミーさんから木を切りに行きたいと申し出があったので、1とバイソンをお手伝い件護衛に付いて行かせた。(骨は村の巡回)
俺は、転移門を探して村を移動していた、転移門は橋から村の入り口方向にある焼け落ちた廃墟の裏側に有った。
試しに町の兵士がやっていたように転送魔石をセットしてみるが何も起きない。じっと眺めて鑑定してみる。
アイテム名:転移門 魔力枯渇状態
???
魔力が枯渇しているらしい、???は恐らく転送魔石が鑑定できないのと同じ理由で使用方法が見えないのだろう。
全体をくまなく調べると、転送魔石のデカイ版の様な石がセットされているのを発見した。
石に向かって魔力充填スキルを使用する。うっすらと光を放つ石だが、町に有ったやつはもっと光ってた気がする。
「定期的に魔力充填するか、急いで使う必要もないし・・・」
転送魔石を外そうとした時に、フェイの領地が記憶されましたと表示されていた。転移門にしばらく魔力充填を続ければ、町との行き来がかなり楽になる。使用料を稼がないと、何か名物になりそうな物無いかな?
と考えながら神殿に戻り、久しぶりに書庫に篭ることにした俺がいた。
夕方、エイミーさんがバイソンに木を運ばせながら帰ってきた。
「いや~良い木が多くて嬉しくなって多めに伐採しちゃいました。明日から作業台とか作りますね」
「バイソンがいてくれたおかげで、運ぶのも楽だった~」と言いながらバイソンの足の骨をナデナデしていた。
エイミーさんは骨系をかわいいと認識する人なんだな、と考えつつ今日も小骨作の料理を食べつくし一日が終わっていった。