エイミーさんのスキル上げ
まずは裁縫系のスキルで服を作ろう!
そんな事を考えながら、生産素材・施設・収集の為の道具を求め町を散策する私。
収集用の道具を販売している店は見つけたけど、素材類がまったく売っていないとかどうなのよ?
普通ゲームなら生産の初期初期素材くらい売ってそうな物だけど・・・
それに、各種加工設備も専門の工房にしか無くて設備を貸して欲しいと言ったら鼻で笑われた。
曰く、「素材を持ち込んで加工賃を払えば欲しい物を作ってやる」だそうだ。
布が欲しければコットンかウールを採集してきて手紡ぎするか、紡績工房に持ち込んで加工してもらうしかない。
まずは木工スキルを上げて生産用の設備を自作するのが良いかな?
そのうちアクセサリーも作りたいから金属加工も必要か~と考えた結果。
収集用の道具を一通り買い揃えて、端から素材を収集してからスキル上げに決定した。
採集系のミッションを探すために取り合えずログインした時に居た討伐者ギルドに行ってみる。
受付のお姉さんに仕事が無いか聞いてみると、討伐者ギルドは依頼という形では無く討伐した魔物のランクによって1匹いくら、と言う報酬が基本で採集系の仕事が欲しいなら冒険者ギルドへどうぞと言われた。
お姉さんに道を聞き、冒険者ギルドに行った私はボードに貼られた仕事の依頼書を見つけた。
大型動物の皮とか薬草の収集が多い中、木材のキャンプ伐採の仕事があった。
早速、受付に依頼書を持って受付に行くと、その場に居た親方を紹介されそのまま出発する事になった。
4頭立ての牛車に数名の作業員と共に揺られながら仕事の説明がされる、向かっているのは植林された森で、ベテランの樵が商品の木(杉っぽい木で葉に毒が有り草食動物や鳥を寄せ付けない)を切ってる間に、自然に生えてきた動物の餌になる木を片っ端から伐採するのが私の仕事だ、この木を放置すると動物が寄ってきて最終的に魔獣等の危険な生物が森に来る様になるから重要な仕事だと言われた。
伐採場所に到着後、すぐに作業に取り掛かる。チュートリアルで貰った片刃の斧を使って細い木を伐採する。最初の1本は倒すのに時間が掛かったけど、伐採スキルを入手し次の木に移ったときにはスキルが無い時と比べ物にならないスピードで伐採出来た。地道なスキル上げが苦にならないタイプの私はひたすら細い木を伐採し続けた。
夕方、明らかに熟練度が上がっている事を実感し、ニヤニヤしながら一寸大きく育った雑木を伐採している私をあきれた顔で眺める親方の姿があった。
焚き火を囲んで皆で夕食を食べている時に親方が、
「嬢ちゃんはスジがいいな、家の倅の嫁にならねぇか?」
と言い出した。NPCと結婚とかシュールな感じがする。
「家具とか作りたいので自分で材料調達できる様に修行中なんで・・・」
と言ってごまかすと、作業員達が親方の倅にゃ勿体ねぇとか高望みすんなとか言ってる。
このゲームのNPCすごく人間っぽい、高性能なAI使ってるんだなぁ~と感心してしまった。
翌朝から商品用の木を切らせて貰える事になったので、昨日とは比べ物にならない太めの木を一日掛けて伐採した。そういえば初日に貰った斧は昨日までちょっと重いと感じていたのに、今日は片手で持てそうな位にしか重さを感じない。熟練度と一緒に腕力も上がってるか、伐採で経験値が入ってLvアップしてるかだろう。
次の日の朝、私が伐採しまくった細い木を皆で集めて周り町へ戻った所で親方が、
「木材の卸し先の工房を紹介してやるよ、人通りの少ない所に有る工房だけど腕は確かだぜ。ガハハハ」
と上機嫌で私に声を掛けてきた。
ラッキー!木工スキルが取得できそうなフラグが立った。もちろん、
「えっ!本当ですか?ぜひお願いします」と回答した。
親方に連れられて工房に行き紹介してもらったが、親方は「じゃぁ頑張れよ!」と言い残しさっさと帰ってしまった。そう、そこは親方の息子の工房だった。
「嵌められた~あの狸オヤジめ!」とぶちぶち呟いていると
「あぁ、オヤジはたまに嫁にどうだと女の子を連れて来るんですよ、オヤジには内緒にしてるんですけど実は結婚の相手も決まってまして・・・」
「あ、でも、家具造りの練習をしたいなら歓迎しますよ。親父も貴女のおかげでいつもより多く木材が取れたと上機嫌でしたし。」
「椅子とか小物なら端材で作れますし、以前私が作った設計書も有るので良かったら参考にどうぞ」
親方の息子は不機嫌そうな私にビビリながらもそんな提案をしてきた。もちろん、
「じゃあ、しばらく厄介になります。よろしくお願いします」と上機嫌に答えた。
「夜はここには居ないので、日のある間ならいつ来て貰っても構いませんよ」と息子。
当然、次の日の朝に工房へ赴き設計書を元に端材から小型の椅子を作った。1個作ったら木工スキルを取得したので、端材から作れそうな小物類を中心にスキル上げを続けた。
3日目からは午前中に冒険者ギルドで仕事を探し(羊毛とか木綿とかの有る場所の情報が採取依頼に混じってないかの確認も行っていた)、いいのが無ければ工房へ行くことにした。
そんなある日、冒険者ギルドの掲示板の前で仕事を探していたら「魔の森で採集・・・」みたいな会話が聞こえて来たので、掲示板を見るふりをしながら聞き耳を立てる。
要約すると以下のような感じらしい。
チュートリアルで神官を案内していた4人組が獣人の村の発見者(依頼で薬草を採集している時に発見)で、あの村は人数が増えすぎた村を2つに分ける為に雄の獣人が新しい村を作っている最中と言う情報を入手。そこへ神殿の神官団を誘導し戦わせている間に、元の村にいる獣人の女子供を捕まえて奴隷として売り払って一攫千金と言う企みだったらしい。
危険に敏感な獣人達が通った後の道は森の中でも比較的安全と言われているらしいが、あの4人は最近やっと初心者から脱却した程度のLvで獣人以外のモンスターと出会えば命は無い。森の奥に行くことを知った古参の冒険者は止めたらしいが、4人は聞く耳を持たなかったようだ。
遺体が川を流れて来た事から、偶にいる強めの獣人と戦闘になり負けたのではないかと言うのが噂している人達の結論だった。
「モフモフを虐げるから罰が当たったのよ!」と呟いてから、その日は仕事探しをやめて工房へと足を向けた。
結局、毎日工房へ通い詰めログアウトまで1時間の表示が出てた頃には品質を気にしなければ、大概のものは作成出来る様になっていた。
低品質だとすぐに壊れるらしいので後は何処かに拠点を借りてひたすら伐採→加工を繰り返せば品質面もクリア出来る様になるはず。いい調子だ!
ちなみに生産レシピは親方の息子作の物は全て覚えた(一度完成品を作ったり、設計書を読んで構造を理解するとスキル熟練度が足りていれば加工用のガイドが表示される)
次ログインしたら、まず金策をしないと残金が怪しくなってきた~と考えながら宿屋に戻ってベットに潜り込みログアウトに備えた。