閑話 最後の王子による手記
詰まったので、とりあえずお茶濁しの閑話です。
セリーナが聖女と呼ばれるようになった理由です。
[2011/11/19]ミスを修正
ここに記すのは私ベイシス・クリストフ・ラブリオールが見聞きしたものであり、真実である。
+++ † +++
魔王をセリーナが倒してから一週間。城の中は相変わらず退屈でやることもなかったそんなある日のことだった。
たまたま、私の父であり国王であるグロリアス・ババルドス・ラブリオールの部屋の前を通りかかった。
父の部屋には他にも何人かいるらしく、話し声が聞こえた。その声は、宰相や大臣・国の中でも有数の貴族たちのものだった。
そして、私は何となく嫌な感じがしたのでその話の盗み聞きをした。その話は私をひどく激怒させるものだった。
簡潔に言おう。彼らは最初から私に近づくセリーナを魔王を討伐して帰ってきたら殺すつもりであったと。そう言っていたのだ。そして、その手間もなく済んで良かったと。そして、自分たちの国が魔王を倒すという大きな手柄をあげたことで他の国からたんまりと謝礼金を受け取り、それをどう分配するかを話し合っていたのである。
私は自分の耳が真実を聞いているのか不安になった。自分の父がまさか自分が好意をよせていた存在に対し、そんなことをしようとしていたのだ。疑いたくもなる。
考えてみれば他にもおかしな点があった。
魔王を倒したのが私ということになっていたことだ。私はセリーナより先に魔王の元へたどり着きはしたが倒された。そのあと、セリーナが来て魔王を一撃をもって倒し、その後、魔王ともども消えてゆくのを見ている。
その時に私に魔王が語った言葉。そして、その消えた魔王が残した日記に書かれていた真実と理想を思い出す。
最初は魔王の言っていたことと日記に書かれたことに疑いを持っていた。だが、この父と国の重鎮たちの会話を聞く限り真実なのだろうと思えてくる。
魔王の語った言葉と日記に書かれてきたことをまとめるとこうなる。
グロリアス・ババルドス・ラブリオールは世界で人間を最高の種とおき、その他すべての種族を奴隷もしくは下等種とし、人間のみが繁栄する帝国を作り、世界を征服するつもりだと。そして、それを止めるために立ち上がり、すべての種とすべての人間を下らない闘争から守るために戦っていたと。
考えてみれば、魔王が襲ってくるのはラブリオール王国のみで他の国で魔王の軍勢が押し寄せただのという話は一切聞かなかった。(同調した一部の魔族が勝手に押し寄せたのは聞いてはいたが、魔王軍ではなかった)
だからこそ私はどうしたらいいのかわからなかった。そのため、このことをセリーナの妹サフィ(本名セフィリア・T・アインスフィア)に相談した。すると彼女はとんでもないことを言い出した。
「ならみんな殺して、国を乗っ取ちゃえば?お姉ちゃんを苦しめようとした奴らに容赦なんて絶対にしちゃダメ」
そんなことを言っていた。ついでに、
「貴方がお姉ちゃんのしたことを言いたいのなら、あいつらがいたら出来ないものだからこそ、乗っ取っちゃうのが一番だと思うな?」
そう言ったのである。
その通りだと思った。だから私は決断した。
父をこの手で打ち取りセリーナのしたことを世界に示そうと。
そのためには、まずは戦力が必要だ。魔王討伐の際についてきた騎士たちは私の部下だ。せんりょくとしては、サフィの魔力もある。それに、亜人や魔族の人たちにも協力を得よう。皆が安心して暮らせる国を作るためにと頼み。
+++ † +++
この手記の一週間後、ラブリオール王国の首都ハイゼンベルグは一日にして陥落。それは魔族や亜人それに人間が一人の王子の世界を変えるという思想に共感し、危険な思想を持つ一つの国とその国王並びに重鎮達を倒すという目的を果たすためであった。
そして、その王子は聖女の妹と結婚し、スフィア王国を建国し、すべての種族が安心し暮らせる国を建国したのである。
この後、スフィア王国の王となったベイはセリーナが成し遂げたことを書いた本を書き、それは後の世まで伝わる聖女の伝説となった。
「零話の魔王ゼノンとセリーナの話はそんなんじゃなかった」という人がいると思います。が、あれは後の世に書かれた衝撃の事実の部分を抜き聖女セリーナが一撃で倒した。という、都合良く改変されたのちの世に語られている物語ってことにしてください。ちなみにその関係上魔王様ものすごく悪者です。




