閑話 裏の戦い
将軍と王子の一騎打ちの裏で行われていたお茶会があった。
「マリアさんといいましたか。どうぞお座り下さい」
「ありがとうございますです」
ここは、王都≪メアスフィア≫の城の中庭。魔王軍の参謀マリアージュ・マルティアスとカシミア王国王女ミア・シア・カシミアがそこにいた。
「この度は、こちらの将軍のわがままを聞いていただいてありがとうございますです」
「いえいえ、こちらもこのままでは危険でしたので」
給仕役として来ていたメイドのクリスはこのとき感じたことをこう話す。
『最初の話し合いから、それはもう気を抜いたら殺してやると言わんばかりの薄気味悪いくらいに怖い笑顔でした。しかも、お二人ともが……』
2人ともが座り、一息ついたところで話を切り出したのはマリアだった。
「それにしても結界内に入れてしまっていいんですか?」
「ええ、何かできるものならしてもらって結構よ。まあ、そんなことしたら次の瞬間には串刺しだけど」
「物騒ですね~。それじゃあ、大人しくしますです」
一口二口を紅茶を口に運んでいく。とても味や香りなど楽しむ余裕なんてないし、クリスもクリスとてやることをやらなければならないので逃げたくても逃げられない。
「決着がつくまでは大人しくするのでそこまで警戒しないでほしいのです」
「そう」
再び沈黙が場を支配した。
喋ることを許されないメイドとしてはさっさと終わらしてほしいが、どうも一期打ちが終わらないと解放されないらしい。
(セフィちゃんもセフィちゃんで私が困ってるところを遠見の魔法を使って見て、楽しんでるんだろうな~……)
実際にセフィリアは見て笑っていました。
数時間経ち、結果が二人に伝えられた。
「将軍の負けですか……」
「やった、さすがルークね♪」
しかし、マリアは悔しい顔などしていなかった。その顔は仕方なさそうな顔だった。
(まあ、あの怪我でしたし、最初から勝てないことは将軍も分っていたと思うのです。というか、負けることを前提にしていたのかもしれないのです。それに、マスタークラインのあの言葉……)
「仕方ないですね。では、帰ります」
「いいわよ。ここにいなさい。将軍さんとやらもここに運ばれるらしいわ。治るまでいなさいな」
こうして、息苦しい裏の戦いは終わった。




