第参話 ≪黒の庭園≫とセリーナの体
説明の回です
ほとんど進展しません。
思い出せたのはゼノンを倒し、消える寸前に封印をかけられたところまで。それ以降のことは一切覚えていない。というよりも封印されていたのだから覚えてるほうがおかしいのかな。
そう思い直すとセリーナは城を出た。空は暗く、夜になっているようだ。
ここは、魔王ゼノンの住んでいた城の外。この場所はこの城が立つずっと前より最悪の地と呼ばれていた。魔王の城が建ってからここは魔王の城を守る庭園として≪黒の庭園≫と呼ばれるようになった。
≪黒の庭園≫は冒険者ギルドが定めている魔物のランクがA以上しかいない危険地帯で、立ち入るものは「その命を覚悟せよ」と言われているまさに最悪の地である。
人間が滅多に立ち入らないこの地の植物には希少価値の強いものも多いため、冒険者がそれを求めて立ち入ることもあるが無傷で帰れることは絶対になく、生きて帰ってこれる確率もまた一割以下という極悪の地なのである。
そんなところを鎧も何も装備していないセリーナが歩いていれば魔物たちにとってはかっこうの餌にしか見えない。
なのにもかかわらず彼らはセリーナを襲わない。襲うはずがない。襲えば自分たちが死ぬことが分かっている以上襲えないのである。
普通の場所で育った魔物と違い多くの強力な魔物が跋扈する≪黒の庭園≫で生き抜くためには自分の力を過信せず、相手の力を見極めることに特化しているためである。
そんなことは露も知らず≪黒の庭園≫を血塗れの白いワンピースだけを着て歩いている。
今、彼女が考えていることは先ほどの魔王の城での戦闘中に感じた違和感である。
「さっきの呪文は一体何なんだろうな?」
セリーナは先ほどの戦闘で司祭が使った呪文が自分の知っているものとは全く違うものだった。
彼女が知っている魔法とは基本的に概念を固定、発動させるための呪文自体が短く発動まで時間が余りかからないが術者本人の魔力や実力が顕著に出るもので発動は出来ても威力が全く出なかったりするのだ。
しかし、さっきの司祭が使っていた呪文は明らかにおかしかった。あの司祭から大きな魔力は感じられなかったのに発動した魔法の威力はすごいものだった。自分の知ってる魔法ならばあの司祭にあのレベルの魔法は発動できないはずである。
だからこそ、この世界は自分のいた世界なのか?いた世界だとしてあの封印から何年たっている?
そんな疑問が浮かぶのだが確かめようがない。だからこそ無理に【空間転移】を使って岩の中にでも転移してしまえば死んでしまいかねない。
そんなことより一番の疑問は自分の体がどうなってしまったのかだ。
あの時、ゼノンを倒すために使った呪文は破滅の呪文である。
この呪文は使用された人物を破滅、つまり死亡させるものだ。しかし、この呪文は前提条件として莫大な量の魔力を持っていなければそもそも発動できない上に、副作用で使用者本人の生命力等をいくらか持って行く。
(私の場合、戦闘後に話ができるくらいの時間があったからわかる。生命力はさほど持って行かれてない。何を持って行かれたのだろう)
彼女の場合は種族的問題もあったのかほとんど生命力を持っていかれていない。その代わり何かと身長を持って行かれた。
そのため、彼女の身長は縮みただでさえ低かった身長がさらに低くなり、十歳くらいの子供に見える。
(身体能力に関しては一切落ちてなかった。じゃあやっぱり不死性を持って行かれたかな)
彼女の種族は真祖。しかし、人間から成り上がった(・・・・・・)真祖である。
そのため、彼女はそう考えたのである。真祖としての特性、吸血鬼としての特性であるその不死性が持って行かれたのだと。
(不死の特性か。つまり下手したら死んじゃうってことだよね…)
彼女は真祖になったその時から、ずっと無理な戦いを続けてきている。それを強制して直していかなければ今後は死んでしまう。
そう考えて、セリーナは憂鬱になる。自分の今やるべきことはわからないけど、何をするにしても不死っていうものはそれほど便利だったのだ。
(とりあえず近くの村まで行って着替えを買わないとさすがに気持ち悪いな…。地図も買ってここがどこなのかの確認とかもしたいな)
そう考えセリーナは足を速めた。
まずは、一区切りです。
はっきりいってこれでようやくプロローグが終わった感じなのかな?
まずは、お礼を。
自分ではよくわかりませんが正直文章が稚拙に思えて仕方ありません。
しかし、そんな文章にも関わらずお気に入り登録をしてくれた方が2人も。
ありがとうございます。
もっと精進しますので、生温かいめで見守ってくれるとうれしいです^^




