第捌話 向かうは総合教育機関≪アカデミー≫。しかし、金はあらず、食事もままならず。
[2011/10/22]変換ミスを修正
そんなこんなで準備は終わり、総合教育機関≪アカデミー≫に入学するために王都に向かうこととなった。
「では、ありがとうございました」
セリーナは深々と頭を下げた。
「いやいや。こちらこそ。また縁があったらぜひ寄ってくれ」
「分かりました。ではさようなら」
そう言って、セリーナは荷物を持って総合教育機関≪アカデミー≫に向けて出発した。
ちなみに、現在の街道は五百年前と違いかなり変わってしまっていて一人ではたどり着けないとのことだったので、ビルレッティとファリアナと共に行くことになった。
+++ † +++
「お金がない…」
何日か経って今は、街道をかなり進みいくつかの町を越えたところにいた。
しかし、彼女らは、今ものすごいピンチに陥っていた。つまり、お金がないのである。
「まさか、スられるなんて…。うっかりだったよ…」
お金はまとめてビルレッティが管理していたのだが、先日町でスられていたことに気付かず現在は街道の真ん中で呆けている状態だ。
「ビルゥゥ…。おなか減ったよぉ」
そんなことを言っているのはファリアナである。それなりにいいとこのお嬢さんなので我慢があまりきかないらしい。
そんなこんなで今彼女らはお金なしで次の町まで行かなければならないのに、食料を買うのを忘れたという悲劇の真っ最中である。
「あの、魔物の肉を食べれば良いんじゃないですか?幸い少し外れれば魔物の多く生息する森のようですし」
セリーナは二人に提案するが、
「魔物の肉かい?あんなもの食ったことないから、正直食いたくないね。まあ、贅沢言ってる場合じゃないしそうすべきなんだろうけどね」
「そうね。食べたくないけどこのまま食べないで飢え死にするよりいいかも…」
そんなこんなで魔物狩りに出かけることとなった。
街道から少し外れた森。多くの森はたくさんの生物が存在し豊かである。それゆえに魔物も数多く危険地帯として有名である。そこまでのランクの魔物はいないのであるが…。
「ええ。現在、動物どころか魔物一匹すら会えません…」
どういうことなのか、森に入ってこのかた一切の生物と会えないのである。豊かな森にしては不自然なほど静かである。
その現状に3人はどうするのか決めあぐねていた。
「どうなってるの?これ。普通何らかの虫だっているもんじゃないの?」
「だねぇ。これは異常だよ。食事は諦めて全速力で近くの町まで行って現状知らせるかね?」
ビルレッティとファリアナは相談しつつセリーナに意見を求める。
「セリーナはどうした方がいいと思う?このまま進む?それともビルの言った通り全速力で近くの町まで行って現状知らせる?」
「正直なところ『全速力で近くの町まで行って現状知らせる』の方がいいと思うんですが、さすがに近くに人が来てたりすることを考えると探索したほうがいいと思います。それにさっきから探知をかけてますが生命反応はないわけじゃないんですよ。だから、多分大型の何かがいて命令系統を作っているんじゃないでしょうか?」
「だね。じゃあ、私はギルドに連絡鳥を飛ばすよ。最後の一匹だし使いたくはなかったけど、仕方ないね」
そう言うとビルレッティは馬車のほうへ向かって行った。
「じゃあ、ビルが戻ってきたら探索開始ね」
「ええ。では、それまでに探知を森全体まで一度かけちゃいますね」
そう言うとセリーナは魔法を全力で起動した。
数分後、ビルレッティが帰ってきたので探索を開始した。
「調べた限りここの奥にある洞窟が怪しかったです。なのでそこに向かおうと思うんですがお二人はどうします?」
セリーナは二人に意見を聞いた。すると、
「じゃあ。二手に分かれようかね。その洞窟はセリーナが、その周辺を私たちが探索しようかね。何かあったら大声で互いに助けを求めるってことで」
そういい、二手に分かれ探索を本格的に再開した。
洞窟の前に着き、二人と別れたセリーナは真っ暗な洞窟を進んでいた。
「暗いですね…。まあ、私は吸血鬼ですしこのくらいの暗闇はむしろ好みですが」
独り言を漏らしながら進む。
どうやら、この洞窟に何かがいるのは間違いないとセリーナは確信した。
先ほどからいたるところで見受けられる何かの動物の骨や飛び散った血から、その何かは外の森を支配しているのもわかった。
だからこそ、分かっていて一人で来た。ここにいるのは分かっていたし、ビルレッティも分かっていたからこそあんな提案をしたのだろう。
血の匂いが充満して気持ち悪いが、気にしている場合ではない。いつ、この洞窟に住む森の支配者が襲ってくるとも限らない。
そしてその時が来た。
「わおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉんんっっっ!!!」
出てたのは白銀に輝く毛並みを持った大きな狼型の獣だった。
「ちょっとちょっと!これは予想外かな。なんでこんなのがこんなとこにいるわけ?庭園にいる種でしょこれ?」
そこにいたのは≪黒の庭園≫にいる魔物でもA+ランクに分類される最強クラスの獣のボスだった。しかも、ここにいたのはその中でも凶暴で名前を付けられたものだった。
「魔狼フェンリル…。デビルハウンドの最強種…」
魔狼フェンリル。≪黒の庭園≫にて群れをなし他の魔獣を襲う凶暴種デビルハウンドのボス的存在。今までもたくさんの冒険者が挑んだがデビルハウンドを殲滅できてもこのフェンリルだけは倒せず逃げ帰ってきているという話もある。ちなみにデビルハウンドは黒の毛並みを持っているのでフェンリルは一目瞭然だ。しかも、単独で名前付きの魔物であるためランクはSランクに分類されている。
「貴様。どのような理由があってここに来た?」
フェンリルが突然喋りだし問いかけてきた。
「え?喋れたの?」
「質問に答えよ。我に用があるのか?」
「いえ、別にこれといた用はありませんね。まあ、森の様子が明らかにおかしかったので探索に来た感じですけど…」
セリーナは理由を話した。
「そうか。どのようなことになっているのだ?」
「森の動物がほとんどいませんね。魔物すら…。あなたがやったんじゃないの、フェンリル?」
「我がやっているのではないだろうな。我はここに傷を癒しに来るだけである。来るときに森が少し静かだとは思っておったがそんなことになっておったか。それにこの洞窟が少し血なまぐさく感じておった」
「じゃあ、他にこんなことをやってる奴がいると?」
「ああ、そのようだ。我はこの森によく来るのでな、むやみに殺したりはせん」
セリーナはフェンリルとの会話で彼がやったのではないと確信はしたが、
「じゃあ、この惨状はいったい何が?」
「さあな。我にもわからぬよ」
「そいつもきっとこの洞窟にいるんだよね?」
「ああいるだろうな。我に近づくことはせんようだし我より弱いのであろうな」
フェンリルより強い種なんてほとんどいないと思うセリーナだったが口には出さず話を続ける。
「そう。まあ、現状を打破するにはこんなことをしてるやつを倒さないとダメみたいだし頑張ってみるしかないかな」
「そうか。ところでそなた名はなんという?」
「本名はセリーナ・A・アインスフィア。聖女って呼ばれてるその人だよ」
セリーナがフェンリルの問いに答えるとフェンリルは固まった。
「どうしたの?」
「まさか生きておったのか…。我的にはうれしい限りだがの…。これで我が友との約束も果たせるゆえ」
突然止まったフェンリルは平伏し、セリーナに提案をした。
「我が友ゼアノートとの約束だ。我と契約を頼む」
「ええっと。それはどいうことなのかな?」
セリーナはフェンリルに言われたことをすぐに理解できなかった。
契約とは魔物などと行える召喚魔法のための契約である。
召喚魔法は契約をしたものを召喚できるただそれだけの魔法なのだが、精霊魔法と違い召喚に魔力をほとんど使用せずにできる。そのため、多くの冒険者が契約をしようとしたが基本的に自分と同等、もしくは自分以上のものと契約しないとさほど役に立たないのであまり広まらなかった。
ちなみに、契約を行っている魔物はそのほとんどが名前付きであり、それくらいでなければ契約しても意味をあまりなさないのである。
なお、契約と一種の服従でもある。そのため、多くの魔物は契約をしないし、失敗して魔物に食い殺された例もあった。
なのに、名前付きの有名なあのフェンリルが契約してくれといったのだ。驚くに決まっている。
「我が友ゼアノートと約束していてな。『もしも、我が主がゼノンを打倒しえたときけいやくしてもらえんか?彼女には今後も大きな力が必要となるゆえな』とな」
「あいつがそんなことを…。いいわ、契約しましょうか」
こうしてセリーナは心強い味方を手に入れた。
ちなみに契約した魔物は存在を昇華し霊獣として扱われるので基本的には天界に行くこともできるし、主人のもとにいることもできる。
そんなわけで、良い食事とお金を手に入れるためにセリーナは小型化したフェンリルと共に謎の森の支配者を探して奥に進んでいった。
ものすごくグダグダです。
次回はまともな戦闘描写を書けるかな?
洞窟の奥にいる魔物何にしよう…




