①かつての場所
数度の大黒蟻との戦いを経て、第二層へと降り立った俺達は、問題なく休憩所へと辿り着く。
俺にとっては、あの日以来となる。
「よし。少し早いが、一旦小休止としよう」
シランドが声を出し、周囲を頷かせた。俺自身の体力には、まだ十分な余裕があるが、後ろではロロが若干息を切らしている。恐らく、その辺りが休憩の根拠だろう。
シランドは慣れた動きで、周囲に置かれている鍋の中で一番マシなものを拾い上げると、ダッカ―が自分の荷物から枯れ枝の束を取り出した。
「水と携帯食は、出し合いでいいか?」
「あ、あぁ。それで構わない」
パーティ同士の合流は初めてで、細かい約束事については詳しくない。先輩としてここは彼等に奢って欲しいと思いつつも、それを口にする事を止めておく。
「じゃぁ、ボクが火付けをしますね」
火おこしの材料も無料ではない。ロロはダッカ―が器用に組んだ枝山の隙間に魔導杖を向けると、小さく詠唱を呟いて火種を生み出した。
着火した枝は次々と隣の枝を巻き込んで燃え始め、木々の隙間から新しい空気をどんどんと吸い込んでいく。炎の大きさに合わせてダッカ―がさらに枝を追加すると、水が入った鍋の下を支える程の威力となった。
「へぇ、うまいもんだ」
シランドがロロの魔法を純粋に褒める。
魔法の知識のない俺には、何がすごいのか分からない。
「ありがとうございます。威力は出せませんが、炎の調整は得意な方なんです」
彼の性格には珍しく、ロロは自分の事を具体的に話す。
言われてみれば、彼の魔法を見たのはこれが初めてだった。
「威力が高い方が便利じゃないのか?」
素直な疑問を吐いてみる。




