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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第八章 初級冒険者、下層に潜る
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①かつての場所

 数度の大黒蟻との戦いを経て、第二層へと降り立った俺達は、問題なく休憩所へと辿り着く。

 俺にとっては、あの日以来となる。


「よし。少し早いが、一旦小休止としよう」

 シランドが声を出し、周囲を頷かせた。俺自身の体力には、まだ十分な余裕があるが、後ろではロロが若干息を切らしている。恐らく、その辺りが休憩の根拠だろう。

 シランドは慣れた動きで、周囲に置かれている鍋の中で一番マシなものを拾い上げると、ダッカ―が自分の荷物から枯れ枝の束を取り出した。


「水と携帯食は、出し合いでいいか?」

「あ、あぁ。それで構わない」

 パーティ同士の合流は初めてで、細かい約束事については詳しくない。先輩としてここは彼等に奢って欲しいと思いつつも、それを口にする事を止めておく。

「じゃぁ、ボクが火付けをしますね」

 火おこしの材料も無料(タダ)ではない。ロロはダッカ―が器用に組んだ枝山の隙間に魔導杖を向けると、小さく詠唱を呟いて火種を生み出した。

 着火した枝は次々と隣の枝を巻き込んで燃え始め、木々の隙間から新しい空気をどんどんと吸い込んでいく。炎の大きさに合わせてダッカ―がさらに枝を追加すると、水が入った鍋の下を支える程の威力となった。


「へぇ、うまいもんだ」

 シランドがロロの魔法を純粋に褒める。

 魔法の知識のない俺には、何がすごいのか分からない。

「ありがとうございます。威力は出せませんが、炎の調整は得意な方なんです」

 彼の性格には珍しく、ロロは自分の事を具体的に話す。

 言われてみれば、彼の魔法を見たのはこれが初めてだった。

「威力が高い方が便利じゃないのか?」

 素直な疑問を吐いてみる。

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