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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第七章 初級冒険者、特訓を始める
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⑩二層へのチャンス

 ギルドの定期依頼を解約しても違約金は発生しない。いつ終わるか分からない採掘を待つよりかはと、俺は決断する。

「仕方がない。今日は大黒蟻の素材で—――」「お、そうだ!」

 目的を素材収集に切り替えて、少しでも稼ごうとした瞬間。目の前の中年冒険者が声を上げた。

「お前等、今から俺達と下に潜って、鉱石を掘りに行かないか?」

「舌って………だだだ、第二層にですか!?」

 ロロは素っ頓狂に驚いたが、俺にとっては渡りに船だった。

 中年冒険者が親指で背後の仲間を指す。

「見ての通り、こっちは盗賊と弓手の二人だ。本当はもう一人、回復役の仲間がいるんだが、今日は体調不良で出られなくてな………金は稼ぎたいが無理は出来ないってことで、今回の採掘を受けてきたんだがが」

 中年冒険者が俺達を上から下へと視線を流す。

「見た所、お前達は戦士に魔法使い。編成としては悪くないと思うぞ?」

「確かに、悪くはない」

 取り敢えず頷き、俺は顎に指を置いて考えを巡らせる。

 異なるパーティの臨時編成は、現場で良くある話。互いに採掘依頼という事もあり、達成に向けての効率は悪くない。何よりも、今まで行きたくて仕方がなかった第二層への挑戦が叶う。

 加えて彼の口ぶりから、第二層の状況は心得ていると考えられるし、ある意味冒険解説職(チュートリアラ―)を帯同していると考える事が出来る。


「分かった。互いの報酬に関与しないという条件なら、構わない」

 後出しで、こちらの報酬の何割かを寄越せと先輩面されても困る。

「構わないぞ? 流石に後輩から金を毟る程、大人気ない事はしねぇよ」

 中年の男は肩をすくめて首を左右に振る。

 そして細い腕を伸ばしてきた。

「俺は盗賊のシランド、後ろの弓手はダッカ―だ。等級は二人共青銅級(ブロンズ)だ」

「ダッカ―、ダ。ヨロシク」

 後ろにいた褐色肌の大男が小さく手を上げる。背中に弓と矢筒を背負っていなければ、ただのスキンヘッド重戦士にしか見えない。

 言い忘れたとシランドが苦笑する。

「あぁ、気にしないでくれ、こいつは南の国にある少数部族の出身でな。訛りが強くて聞き取りづらいだろうが、勘弁してやってくれ」

 言い慣れた説明に、彼が後頭部を掻きながら最後は小さく笑って見せた。

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