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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第七章 初級冒険者、特訓を始める
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⑨先輩冒険者の答え合わせ

「これじゃぁ、人が掃けるまで待つしかありませんね」

「いや、それも難しいんじゃねぇか?」

 いくつかの冒険者達が適当な岩に腰かけ、火を焚き、先んじて休憩に入っている。恐らく既に掘っている冒険者と独自に話がついているのだろう。彼らを出し抜き、勝手に壁に立てば、彼等から何を言われるか分からない。


「何だお前等、今来たのか?」

 背後から男の声がかかる。

 振り返ると中年の冒険者だった。当然、知り合いでもない。

 さらに言えば、アリアスでも見た事がない。


(ホワイト)、か。残念だが、日を改めた方が良いと思うぜ?」

 こちらの首に下げていた冒険者証を見た男が、顎に生えた無精髭をなぞりながら『残念だったな』と、軽く笑う。

「えぇと、どういう事でしょうか? 僕はここが初めてでして」

 ロロが体格や身長に負けた男を見上げ、やや怯えながら尋ねる。

 初めてという言葉に、男は後ろにいた別の男と目を合わせると、ロロの肩を何度か軽く叩いた。

「そうかそうか! よりによって今日が初めてか。そりゃぁ、ついていなかったな」

 実は、と男が説明を始める。

「今日の朝から鉱石の買取額が上がったのさ」

「上がった? 何かあったのか?」

 相手の等級が、一つ上の青銅級(ブロンズ)である事を確認した上で、俺も会話に加わった。


「何だ、知らないのか?」

 男が肩をすくめる。

「何でも隣街のグーリンスで、領主が大量の鉱物を購入するとの触れが出たらしい。その情報が隣街から流れて来た冒険者や商人からこの街(アリアス)に伝わり、初日から既にこの有様という訳だ」

 成程。

 朝の到着が遅れた俺にはなかった情報だった。彼等が言うには、相場の二割増は確実らしく、敢えて目線を下げて鉱物採掘の依頼を受ける冒険者が増えたという。

 ギルドの掲示板で残っていた依頼書の答えが、ここで繋がる。


「この様子じゃぁ、採掘を始められるのに数時間待ちになるだろうな。こっちも情報の裏取りと準備に時間がかかったせいで、今日は負け組だ。いやぁ、参った参った」

 負け組。

 他意はないのだろうが、その言葉に俺の胸が静かに疼く。

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