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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第七章 初級冒険者、特訓を始める
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⑧採掘場へ

「分かった。なら、パーティを組もう」

 俺は手を伸ばすが、途中でふと思い出し、口が止まる。

「………そういえば、まだ名前を聞いていなかったが」

「あ! すすす、すいません! 僕はロ………ロロといいます!」

 ロロと名乗った彼も手を伸ばし、短い握手を交わした。

「ろろろ………」

「ロロです! 二回です!」

 何と紛らわしい。

「リュウだ。あぁ、それと………鶴橋は持って来たか?」

 どこかで見たやり取りであった。


「あ! ま、まだ受付から借りていませんでした! 今すぐ借りて来るので、ちょ、ちょっと待っていて下さい!」

 踵を返し、急いで受付へと走って行くが、ロロは途中で前のめりに転倒していた。

 しかし、すぐに顔を上げて振り返る。

「………だ、大丈夫ですから!」

「何も言ってねぇよ」

 本当に大丈夫かと、俺は握り合った自分の手を眺めた。



――――――――――


「それにしても、凄いですね」

 洞窟の広間で、ロロが感心する。

「何がだ?」

 ここに来るまで、何度も褒められていた。俺は、打ち倒した四匹の大黒蟻の死骸から、最も高価な部位の一つである顎を剥ぎ取りながら、同じ言葉を返す。

「あ、あれだけいた大黒蟻を一人で倒すなんて………僕が魔法を使う必要もありませんでした」

 洞窟に入ってから、彼には俺の邪魔にならないようにと広間の入口や広間の壁に待機させていた。幸い、出現する魔物の数も想定内に収まっており、順調に採掘場へと近付けている。

 体力もまだ十二分に残っていた。帰りの鉱石はこちらが持つしかないが、大黒蟻の顎等、軽く、かつ比較的価値のある素材をロロに持ってもらう。そう考えながら、次の顎を取り外し始める。

「いや、魔法はここぞという時に温存しておいてくれ」

「わ、分かりました」

 それらしい理由を半分。本音は俺の戦いの中で彼が邪魔にならない位置にいさせる事だったが、彼は何も疑問に感じる事なく納得していた。



 順調に進む事、約一時間半。いつもよりも遅い到着となった。

「………参ったな」

 採掘場は、予想に反して多くの冒険者達で賑わっていた。

 一方のロロは、初めて到達した場所に視線を一周させ、目を輝かせている。

「こ、ここが採掘場ですか。でも、こんなに冒険者達が………いつもこんな感じなんですか?」

「いや、ここまで多いのは初めてだ」

 むしろ、閑散としている事の方が多い。これまで、二、三組の冒険者がいた事はあったが、十に近い数は見た事がなかった。既に壁と言う壁に冒険者が鶴嘴を打ち合い、場所によっては揉め事の声が聞こえてくる。

 いつも叩いている効率の良い壁は、悉く他の冒険者達に取られていた。

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