⑦魔法使いの少年
「………俺に何か用か?」
同じ等級の同業者だが、全身から自信の無さを醸し出している少年は、自分から声をかけてきたにもかかわらず、こちらの声一つで肩を上げて驚き、視線を泳がせ始めた。
「え、えっと、そのっ!」
必死に言葉を探しているのか、最初の一文字が出てこないようである。
「ぼ―――」「ぼ?」
「僕とパーティを組みませんかっ!?」
成程。
俺は概ね理解した。
魔導杖と旅人程度の軽装とほつれた外套。なけなしの金銭で僅かな登録料を支払って冒険者になったはいいが、魔法使いが単独で稼ぐには限界がある。ついに路銀も尽きたのか、勇気を出して前衛の冒険者に声を掛けたという流れなのだろう。
性格はともかく、どことなく親近感が僅か二に生まれてくる。
「俺は、これから西の洞窟で採掘をしようと思っているのだが?」
「あ、それなら僕も依頼の申請を済ませているので、大丈夫です!」
どうやら目的も同じらしい。
「ですが、僕一人ではどうしても採掘場まで辿り着けなくて」
「そりゃぁ、魔法使いだけじゃなぁ」
ギルドの定期依頼を失敗しても違約金は発生しない。だが、馬車や消耗品にかかる費用は確実に消費していく。
「俺が七、お前が三なら、組んでやってもいい」
「えぇ!?」
正直、俺一人でもこの依頼は十分に達成できる。そこに不要な冒険者が入っても、分け前と時間が減るだけである。
二人いれば持ち返れる鉱石も増えるだろうが、上から下まで貧相な体付きから、一袋背負えれば御の字である。
割り勘だと、こちらが損するだけである。冒険者は慈善事業ではない。
「ででででも、僕達は同じ等級じゃないですか。ここは平等に折半にしませんか?」
「俺は一人でもこの依頼を進められる。敵も倒せる。だが、俺がお前と組むと、俺はお前の身を守らなければならないという仕事が増えるだけなんだが?」
「ううぅ」
言い返せないのか、彼は俯いてしまった。
面倒くさい。俺は、意味もなく時間を奪われる事が嫌いだ。
そうとは口にする訳にもいかず、溜息だけを吐く。
「なら、お互いに持ち帰った分を報酬としてもいいぞ」
「分かりました………では、七対三でお願いします」
魔法使いが鉱石一杯の荷物を持ったまま動く事など出来る訳がない。彼もそこまで馬鹿ではなかったらしく、こちらの条件を飲んだ。




