⑬覚悟の先
ショーンの言う通り、一年足らずの冒険者の力量などたかが知れている。数年も生き残れば、それなりには上達するだろう。
だが、俺はいずれという時間を待てる程、余裕のある人間でも才能のある人間でもない。下手をすれば、一年以内に醜く死ぬ事だって十分にあり得る。
「いずれじゃダメなんだ。一日でも早く強くなりたい………です」
不慣れな敬語を纏わせる。
「何故だ?」
ショーンが尋ねた。
「何故、そこまで急いで強くなろうとする」
「………俺が昔やってしまった事を、二度と繰り返さない為に」
幼少の頃、冒険者ごっこで突いた洞窟。その代償として俺は親友を失い、その妹からも笑顔を奪ってしまった。挙句の果てに奴隷として目の前に現れた事は因果と呼ぶ他ない。
どこまで彼に伝わったのか分からない。だが、目の前の男は完全に足を止め、腕を組んだまま沈黙していた。
「本気か?」
「はい!」
即答した。しなければならないと思った。
だが、未だにショーンの表情は硬いままである。
「悪いが、俺は会って間もない人間の言葉を信じる程、甘くはない。お前がどこまで本気か、見させてもらう」
そして、明朝に装備一式を整えて自分の家まで来るようにと指示する。
「その試験に合格すれば、教えてくれるのか………ですか!?」
兆しが見えてきた事に、俺は顔を徐々に上げていた。
ショーンがその問いに頷く。
「だが、失敗すれば終わりだ。もう一度はない。それ所か、場合によってはお前にティリアを売る話もなかった事にする」
「………分かりました」
失敗の代償を告げられ、心臓が締め付けられるような苦しみに襲われつつも、必死に答えた。
覚悟を試されている。それだけは理解できた。




