表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第五章 初級冒険者、実力を知る
49/81

⑩判定

「そこまで!」

 直立して見届けていたマーガレッタ嬢が、模擬戦の終了を宣告する。

 そして振り返り、こちらに視線を送る。

「双方の見届け人。何か不審な点はありましたか?」

 不審な点どころか、二人の姿を追いかけるだけで手一杯だった。

「いいえ、御座いません」

 静かに立ち上がったコルティだけが明確に回答し、慌てて立ち会った俺はそれ以上何も動けず、口を小さく開けたまま何も言えなかった。

 その姿をやや困った顔で見ていたマーガレッタ嬢だったが、すぐに表情を切り替えて練習場へと振り返り直す。

「それでは、試験官。こちらでは違反がないと判断されたので、合否の判定をお願いします」

 全てはショーンに託された。

 彼は既にアルゼットの所まで歩き始めており、丁度手を伸ばして彼女を起き上がらせた所であった。


「か、完敗です。先生」

「いや、本当に強くなったな。特に最後に放った技は、物理と魔法でそれぞれ同時に発生させたものだろう? 対魔法、対物理の障壁で防いだとしても、必ずどちらかは相手に届く。あれを完全に防ぐ事は、難しいだろうな」

 アルゼットの肩に付いた汚れを払い終えると、ショーンは真っすぐ彼女に視線を送る。

「もう半年も修練を積めば、誰が見ても金半級(ハーフゴールド)に相応しい実力が身に付くだろう」

「はい。御指導、有難うございました」

 深々と、そしてゆっくりとアルゼットが頭を下げた。


 不合格。試験官の裁量により、再受験は半年以降と判断された。

 全てを終え、ショーンが肩をすくめて笑みを零す。

「他の試験官に頼めば、合格していてもおかしくなかったのに………身内に頼む時点で、つくづく不器用な奴だよ。うちの生徒は」

「良いんですよ。そうでもしないと、先生は私達と真面目に戦ってくれないんですから」

 体の負担が大分回ったのか、アルゼットは一瞬横へとふらつく。だが、すぐに足を出して転倒を防ぐと、そのまま練習場を去っていった。



「………すげぇ」

 俺の開いたままの口からは、その短い言葉しか出せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ