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Lost13 無名の青年が無名で終わる物語  作者: JHST
第四章 初級冒険者、幼馴染と再会する
36/38

⑨明確になる立場

「興冷めだな」

 ショーンが小さな溜息と一緒に言葉を零すと、俺は宙を舞っていた。


 視界が壁から天井、そしてテーブルへと一瞬で転ずる。彼の胸倉を握っていたはずの右手はいつの間にか外されると、逆にその手を中心に自分が回転させられ、そのままテーブルに向かって顔面を叩きつけられていた。

「が、がはっ!」

 痛みを通り越して、顔の痛覚がなくなり痺れへと移っていく。

 俺は右腕を天井に向けて掴まれたまま、上半身をテ-ブルに押し付けられていた、加えてショーンの左手が俺の左肩を押さえつけており、起き上がる事が不可能なまでに体の関節をきめられていた。

「実力も金もない人間が、何を吐こうが何も意味がない。お前は、まずそこから理解しろ」

「な、何だと?」

 これが奴の正体か。見降ろしてくるショーンの鋭い瞳に、俺は息苦しい中で精一杯反抗する。

 だが、まるで岩が背中に乗っているかのように、一向に体が動かない。


「くそっ、冒険解説職(チュートリアラ―)如きが! え、偉そうに!」

「ほぉ。いつから白級(ホワイト)如きのお前が、偉そうにモノが言える立場になったんだ?」

 何でこんな事に。

 俺は何も間違った事は言ってない。体は動かないが、怒りの感情だけは未だに体の中で燃え上がっている。

 だが、何も答えられない俺の表情を見ていたショーンは、溜息と舌打ちを順番に吐き出す。

「超過勤務もここまでくると最早、慈悲だな。いいだろう。頭と性格の悪いお前に、冒険解説職(チュートリアラ―)として、一番大事な事を教えてやる」

 体を固定させていたショーンの両手の力が一気に緩む。

 

 ここだと思った。


「てめぇこそ、いい加減に………ぶっ!」

 だが俺は、起き上がった瞬間を見計らったかのように殴り飛ばされる。そして、そのまま扉に叩き付けられ、背中を擦るように床へと座り込んだ。

 細腕の一振りだったが、彼の一撃はあの時の魔獣のように重たかった。

 意識ははっきりとしているが、体が全く動かない。

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