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Lost13 無名の青年が無名で終わる物語  作者: JHST
第四章 初級冒険者、幼馴染と再会する
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⑦奴隷

「は?」

 視界の中心に、呆れた表情のショーンが収まっている。

「は? じゃない。うちのメイドにいきなり何をする」

「うちのメイドって………あぁ、ここで働いているって事か」

 確かに、年端もいかない彼女が街で生きていく為には仕事が必要だ。口下手だが、昔から家事手伝いをさせられていた手前、使用人(メイド)という職業にも納得できる。


「………えっと、その」

 ティリアは上手く言えないのか、両手を胸の前で握りながら、視線を泳がせていた。

「コルティ。悪いが、ティリアを奥の部屋に」

「畏まりました」

 スカートを小さく摘まんで一礼したコルティが、ティリアの肩にそっと手を置くと、彼女を奥の部屋へと静かに誘導していく。


 扉が閉まるのを横目で見届けたショーンが、軽い咳払いと共にこちらに視線を戻してきた。

「………知り合いか?」

 彼の短い問いに、俺は一度だけ頷く。

「同じ村の出身で、小さい頃から一緒に遊んでいたんだ………それにしても、同じ街にいたのに、今まで全然気が付かなかったぜ」

 偶然も偶然。だが、これからいつでも会えると思うと、楽しみが増えるというものである。既に頭の中では一年分の思い出話が列をなし、喉元まで並んでいるかのようだった。

 それにしても疑問が尽きない。

「なぁ、ティリアとは一体いつ知り合ったんだ? しかも冒険解説職(チュートリアラ―)で、メイドが二人もいるなんて、めちゃくちゃ贅沢してるじゃないか」

 そんなに稼げる職業という印象は全くなかった。思えば、街中に庭付き二階建ての一軒家を構えている事だけでも凄いと、今更ながらに気付く。

 

 だが、目の前の男の表情は、こちらとは全くの逆だった。

「ティリアと会ったのは、大体二か月前だな」

「二か月前。じゃぁ、それまであいつは村にいたって事か」

「いや………故郷は半年前に出ていたと聞いている」

 おかしい。

 そうなると勘定が合わない。

「え? じゃぁその間、あいつはどこに?」

「………奴隷商人の檻の中だ」

 その言葉に、俺の中の熱が一気に零下へと落ちていった。


「奴隷? まさか、あんた………」

 奴隷、そして今は彼の家に仕える使用人。複数の情報()から導かれる答えが結びつき、線となっていく。

 ショーンは口元を隠すように、テーブルの上で手を組む。

「俺が、ティリアを買った」

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