⑥再会
ショーンが残った珈琲を飲み終えると、立ち上がった。
「さて、俺はそろそろ仕事でギルドに向かうが………お前さんはどうする?」
手持ちの資金なら、今日位は休む事が出来る。怪我も治りきっていない状況からも、休息は決して悪い事ではないと説明を受ける。
「俺は………」
正直迷っていた。
体が覚えている内に、再度同じ洞窟で稼いでおきたい積極的な自分と、完治していない事の危険性を訴える自分とが拮抗している。
その時、外の扉がゆっくりと開かれた。
「洗濯が終わり………ました」
少女の声。
扉の背後から漏れ出る逆光で顔までは分からなかったが、先程の猫メイドと同じ服装である事は分かった。
「あぁ、おかえり。ティリア」
「………ティリア?」
ショーンが繰り返した名前に、俺の記憶の引き出しから一人の人物が示される。
扉が閉まると光が細くなり、少女の顔が明確になっていく。白い肌に白と黒が混ざった長髪、身長の割に合わない痩せた体。
「ティリア!」
俺は、大きな声で幼馴染の名を呼び、彼女に駆け寄った。
「………り、リュウ?」
メイド姿の少女は、俺の名前を返しながら目を見開き、驚いている。
間違いない。
目の前の少女は、同じ村にいた幼馴染。泣き虫の、そして親友の妹だった。
痛みは一瞬で吹き飛び、この一年で一番嬉しいと呼べる感情が沸き出て止まらない。俺は彼女の両肩に手を置きながら、再会を喜んだ。
「いやぁ! 久々だな! 一体、今までどうしていたんだ!?」
「えっと………その、あの」
相変わらず、口下手ですぐに答えられない所もまた、懐かしい。
「………コルティ」
「はい、御主人様」
「しかし、こんな近くにいたなんて………って、うおぁっ!」
彼女を中心に据えていた視界が、いきなり天井に近付くなり、さらに反転。気が付けば、もう一人の猫メイドに背中の鎧を掴まれて持ち上げられ、先程まで座っていた椅子に強制的に座らせられていた。




