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Lost13 無名の青年が無名で終わる物語  作者: JHST
第四章 初級冒険者、幼馴染と再会する
32/35

⑤無名な犠牲の上に

「よく生きて帰れた」

 冒険解説職(目の前の男)を雇っていなかったら、間違いなく死んでいた。

「いや、待てよ………それじゃぁ何だ」

 そこである一つの事実が浮かび、命の恩人に指を向ける。

「あんたが、その魔獣を倒したのか?」

 周囲に他の冒険者はいなかった。もしあれを一人で倒せるのであれば、彼は相当な手練れという事になる。

 だがショーンは、自分で自分を指さしてから目を大きくさせると、すぐに手の形を変えて左右に振った。

「俺が? まさかまさか! 知ってるだろう? 俺は革鎧に片手剣なんだぞ? あんな奴と戦ったら、一分も()たないさ」


 正直な話と、彼が肩をすくめる。

 あの後、ショーンは二層の奥から現れた冒険者によって助けられたという。その冒険者は、冒険者の中でも有名な十人の英雄『十傑』の弟子だったらしい。

「本人は巌窟王の弟子だって言ってたよ。いやぁ、もう凄い魔法で、ズガーンと一発。それで魔獣が膝をついたのさ」

 身振り手振りで、見てきた事を大袈裟に表現するショーン。その隙を見た彼が、俺を担いで一気に一層まで避難したのだという。

 だが残念ながら、と声を落ち着かせていく。

「俺が戻った時には、その冒険者は魔獣と相打ちだった」

「………その人が、召喚したって可能性は?」

「分からん。彼が自分の失敗の尻ぬぐいをしようとしたのか、それとも純粋に助けに来たのか………判断できるものは何も残っていなかった」

 だが、遺体から回収できた冒険者証から身分に偽りはなかった。ショーンは、それがお互いに助かった結末だと言い終える。


「ギルドには俺から報告してあるし、現場の調査も既に終わっている。お前さんがギルドに報告する必要はないから、心配しないでくれ」

「あ、あぁ」

 そこまでは考えが及んでいなかったが、取り敢えず返事だけは返しておいた。

 兎にも角にも、運が良かった。それだけは確かである。

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