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Lost13 無名の青年が無名で終わる物語  作者: JHST
第二章 初級冒険者、初めて洞窟に潜る
12/21

②皆が俺を馬鹿にする

「へ、坊主。お父さんの言う事は聞いておいた方が良いぜ?」

「うるせぇ、こいつは親父じゃねぇ! ほっとけ!」

 下品な笑いで揶揄(からか)ってくる中年の同業者達。これだから冒険解説職(チュートリアラ―)の同伴は面倒くさい。俺は自分でも褒めてやりたいくらいの我慢さを発揮しながら、腰のポシェットに支給品を詰め込んだ。


 提案を無視されたショーンは、小さな溜息を鼻から漏らすと荷馬車に背中を預ける。

「冒険者になって約一年。主な成果は薬草の収集と野菜等の収穫、小鬼(ゴブリン)や害獣の討伐経験はあるものの、臨時のパーティのみ。それ以外に何度かパーティを組むも、何れも人間関係の不和で維持できず。性格は感情的で利己的、冒険者の頂点に立つと周囲に息まいては、宥めようとする先輩冒険者ですら噛みつこうとする茶髪の問題児」

「おい、こら」

 小さな古いメモ帳を流すように読み始めるショーンを呼び止めた。

「あれ、違った?」

「違わなく………ってそうじゃねぇ! 雇われた側が、雇用主の情報をペラペラと喋るなって言ってるんだよ!」

 一体どこからの情報だと問い詰めると、彼は持っていたメモ帳を静かに閉じる。

「俺が自分で集めた情報だよ。俺は冒険解説職(チュートリアラ―)だ。どんな冒険者が依頼してこようとも、相手がどんな人物か把握できるようにしてある」

 今まで優男のように柔らかかった男の瞳が、うって変わって自信に満ちた表情になっていた。

 一度だけだが、俺は息を飲んでいた。


 ショーンが続ける。

「相手の性格も含めて、適切な助言を送る。それが冒険解説職(チュートリアラ―)さ。リュウ君、君は聞いて学ぶ事よりも、実際に体験して学ぶタイプのようだ」

「………それは、褒めているのか?」

 ショーンは苦笑するだけで、何も答えなかった。

「くそっ!」

 埒が明かない。これ以上怒っても仕方なく、俺は遠ざかる風景を眺める事にした。

 皆そうだ。

 皆、俺を馬鹿にしていく。口では偉そうにしている奴等程、大した事をしていない。

 そんな奴等と俺は違う。

 そう思う事で、それ以上感情的になる事を抑制する。

 鉱山まであと一時間。俺は仮眠を取る事で、無駄な感情を費やさないようにした。

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