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追放された魔術師に声をかけたら異世界から来たチート級の魔法少女でした。~不撓不屈のオルカ~  作者: 堂道廻
【第四章】ラブコンカーズオール

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第34話◆ 超へんたい

【第三章までのあらすじ】


『しがない中年冒険者のロランは、酒場で《ルベウススクァルス》から追放されていた少女を不憫に思い、自分とパーティを組まないかと声を掛ける。少女の名前はイノリ=イナバ。三分もの間、祈りを捧げないと魔法が使えないという不思議な彼女と、ロランはパーティ《不撓テナークス・オルカ》を結成する。

 そして、イノリが異世界からやってきた少女だと知ったロランは、彼女を故郷へ返すための方法を模索し始めるのであった――』

 

 



「ふぅ、今日も終わったか……」


 本日最後の授業と道場の掃除を終えた俺は腰を反らして伸ばす。


 イノリといじめグループのひと悶着から半月が経った。

 いじめっ子のリーダーはイノリとの約束通り、金にものを言わせて強引に奪い取った農地の売買契約を白紙に戻し、特待生のリアナという名の少女は無事に学園に戻ってきて、今は元通りの学生生活を送っている。


 イジメは完全になくなり、商人の娘をはじめ彼女の取り巻きの生徒たちは、これまでのことをリアナとイノリに謝罪した。心を入れ替えた彼女たちは涙を流して後悔していた。


 リアナはすべて許して、イノリもまた彼女たちを許した。


 なんとも度量の大きい子たちだと思う。俺なら一発くらいは余裕でぶん殴っているところだ。彼女たちと比べると自分の矮小さが恥ずかしくなる。



 そして現在、俺の教師生活も板に付いてきて平和になった学園とは、裏腹に街を混乱で賑わせているヤツがいる。


 そいつはマーケットを中心に現れる万引き犯である。


 高価な貴金属や衣類の類ではなく、パンや肉などの食材を狙って盗みを働くそいつは、なんでもまだ年端もいかない少女だそうだ。

 被害者たちの話では、その少女はこの街の浮浪孤児ではなく、どうやら他所から流れ着いた子どもらしい。

 野盗に襲われて焼かれた村から逃げてきたのかもしれない。少女は生きていくために仕方なく、万引きを繰り返しているのだろう。


 なんとも世知辛い世の中だ。


 そして、その少女は神出鬼没でとにかく逃げ足が早くて誰も捕まえることも触れることさえできないそうだ。すでに損害額が馬鹿にならない金額になってきており、困り果てた商店街組合はついにギルドに捕縛を依頼することになったという。



――――――――――

《万引き犯の捕縛》

 クエストランク:F

 報酬:30プラタ

――――――――――

 


 ギルドの壁に張り出されたそのクエストを眼にした俺はやるせない気持ちになった。


 世知辛ぇ……。万引き犯とはいえ少女を捕まえて報酬を得るなんて……。


 このクエストは銅貨数枚の参加料を支払えば誰でも受けられる人数制限なしのクエストだ。万引き犯を先に捕まえたヤツが報酬をゲットできる。難易度の割に破格の報酬のため、多くの冒険者たちは小遣い稼ぎ気分で依頼を受けるはずだ。


 あまりというか、できればやりたくなかったが生活のためには仕方ないと割り切った俺はクエストの参加リストに自分の名前を記載して、参加料を受付嬢に支払った。



  ――で、その日の夕方からマーケットの辺りをウロウロとすることにしたのだが、


「ドロボーっ! 誰かそいつを捕まえてくれ!」


 人混みで賑わうマーケットに肉屋のおやっさんのダミ声が轟いた。


 やれやれ、さっそく現れたか。


 オッサンの喚き声がする方向に体を向けると、薄汚れたローブを羽織った少女が通行人の間を縫うように走ってくるのが見えた。どうやらくだんの少女に間違いはなさそうだ。こっちに向かって走ってくる。幸か不幸か、周囲にいる冒険者は俺だけのようだ。


 両手を広げて進路をふさいだ瞬間、少女が視界から消えた――いや、違う。姿勢を地面すれすれまで低くして俺の足元を駆け抜けるつもりだ。


 早い! 手練れの盗賊シーフ以上の俊敏さだ!!


 少女の上体が右に傾き、右に進むと判断した俺が体重移動をはじめた直後、彼女の頭をすっぽり覆うフードの中から緋色の眼が光り、少女は逆方向に跳躍した。


 フェイント!? こいつは恐ろしいほどの身体能力だ、だが――。


 俺はすかさず後ろに跳んで左にステップを踏む。少女の手首を掴んで引き寄せ、逃げられないように腰に腕を回して持ち上げた。


「ぐぅっ!」少女が呻く。


 体の線が細くて筋肉が柔らかい。年端もいかない少女だという噂は本当のようだ。


「痛いわね、離しなさいよ! この変態! ヘンタイヘンタイヘンタイッ超変態!!!」


 少女は手足を激しく動かしてジタバタと暴れている。変態と連呼されるのは辛いものがある。痛いと叫ぶ彼女より、事情を知らない周囲の俺を見る視線の方がもっと痛い。


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