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追放された魔術師に声をかけたら異世界から来たチート級の魔法少女でした。~不撓不屈のオルカ~  作者: 堂道廻
【第二章】アウトオブザマウスカムズイーブル

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第18話☆ パーリーピーポー

 こんばんは、因幡いのりです。


 今夜はパーティーナイトなのです! レッツパーリー!!


 ……。


 失礼しました。興奮して先走り過ぎました……、ちゃんと説明します。


《紅き鮫》との模擬戦に勝利したわたしはリーネさんとの約束どおり猫鍋亭で祝勝会を開きました。

 開いたといっても、わたしがセッティングしたのではありません。リーネさんをはじめ、マーケットの馴染みの店主さんたちや従業員の方々、わたしの行きつけのお店の店主さんが集まって、みなさんで準備してくれていたのです。


 勝利の興奮冷めやまないままリーネさんに手を引かれてやってきた猫鍋亭で、会場に掲げられていた「残念会」と書かれた横断幕を急いで祝勝会に書き直しているのを見てしまいました。


 ちょっとショックです。


 それでも、みなさんがわたしたちのことを気に掛けていてくれたことには違いありません。

 これだけ多くの人が心配してくれて、そして応援してくれていたなんて、本当に嬉しいです。


「それでは《不撓の鯱》の大勝利を祝して、かんぱーい!」


 冒険者ギルド受付嬢のティナさんの号令で、ジョッキを掲げてぶつけ合います。わたしも見様見真似でジョッキを掲げます。

 これぞ大人のパーティーです。もちろんわたしはノンアルコールのオレンジジュースですけど。


 こんな大勢に囲まれる日が来るなんて、こっちの世界に来たときは想像もできませんでした。毎日を生きることで精一杯で、想像する余裕もありませんでした。


 これもすべてロランさんのおかげです。


 あらためてロランさんにお礼を言うと、彼は「嬢ちゃんの実力だよ」と言ってくれます。けれど、わたし一人ではどうにもならなかったでしょう。ロランさんには助けてもらってばかりです。近いうちにちゃんとお礼をしたいと思います。


「それにしてもたった二人で《紅き鮫》の連中に勝っちまうとは、あたしゃ驚いたよ」


 お肉屋さんの女将さんが言いました。いつもオマケしてくれるお母さんみたいに優しい人です。


「あの人たちが油断してくれたおかげです」わたしは言います。


「いんや、あいつらは腐ってもB級パーティなんだ。油断していたからってどうにかなるもんじゃないさね。それにしてもイノリが変身したあの姿、可愛かったねぇ。今度、あの姿で店の前に立ってくれないかい? そうすりゃ、お客さんたくさん来てくれるわ」


「えっと、ごめんなさい。そんな簡単に変身できないんですよ」


「そうなの? 残念ねぇ」


「俺んとこはそのままのイノリちゃんでいいぞ! 店にいてくれるだけできっと大繁盛だ!」


 赤い顔をした防具屋の店主さんがジョッキを持って近づいてきました。


「あはは……、時間のあるときにうかがいます」


 わたしが曖昧に応えると他の人たちからも声が上がりました。


「なにぃ!? おめぇんとこだけずるいぞ、抜け駆けするな! うちもだ!」

「じゃあ、うちも!」

「こっちはちゃんと給料を払うぞ! イノリちゃんにはそれだけの価値がある!」


「こらこら、あんたら汚い顔で絡むなっつーの、イノリが困ってるじゃない……」


 興奮したおじさんたちに囲まれたわたしを助けてくれたのは、リーネさんです。彼女もだいぶ酔っ払っています。


「き、汚い顔だとぉ!? だいたいだな、給仕のお前が酒を呑んだら料理と酒は誰が運ぶんだ!」

 

 はんっ、とリーネさんは鼻で笑います。


「うっさいわねー、今夜は無礼講よ。あんたが運びなさいよ、自分でね!」


 彼女はそう言って防具屋の店主さんにローキックしました。

 

「うがっ!?」


「それにイノリを一番気に掛けていたのはこの私なんだからね! ねー? イノリー」

 

 リーネさんが抱きついてきました。まるで犬と戯れるようにわたしの頭を撫で回します。お酒くさいです。


「さて、俺は先に失礼するよ」と近くにいたロランさんが席を立ちました。


「どうしたんですか?」


 わたしが聞くとロランさんは苦笑して頭を掻きます。


「久々の対人戦だったから、ちょっと疲れちまってな」


「えー、なにもしてないじゃない?」などとリーネさんが失礼なことを言いますが、ロランさんは肩をすくめます。


「おいおい、ああ見えても気を張っていたんだぜ。それに最後はちょこっと活躍しただろ」


「そうだったかしら?」とリーネさんは首を傾げます。


「あまり遅くならないように気を付けて帰るんだぞ」


 ロランさんはわたしに言いました。

 なんてことのないセリフですが、わたしは彼の様子がいつもと少し違うような気がしたのです。


 胸騒ぎがしました。





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