表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された魔術師に声をかけたら異世界から来たチート級の魔法少女でした。~不撓不屈のオルカ~  作者: 堂道廻
【第二章】アウトオブザマウスカムズイーブル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/52

第16話◆ 試合経過

「おいおい……、正気かよおっさん! 魔術士の、しかも女の背中に隠れるなんてよ! 剣士の風上にも置けねぇな!」


 スヴァンの罵りを合図に観客席から激しいブーイングが巻き起こる。

 気持ちは分かるぜ。少女の後ろに隠れるなんて、傍から見れば最低野郎だ。だけど世の中には武闘派の女魔術士だっているだろうが――。


 そんな野暮なツッコミを考えている俺の前でフードを被るイノリが、ゆっくりした動作で右手を真っ直ぐに伸ばして掌を空に向けた。彼女はスヴァンに向けて突き出した四指を揃えて、くいくいと手招きして挑発する。


「て、てめぇ……上等だ!!」


 途端に顔を沸騰させたスヴァンが弓を引いて矢を放った。

 モーションが小さくて素早い。さすがB級パーティの一員、どうやら口だけではないようだ。

 飛翔する矢が六つに分裂する。これは弓使いのスキル《強欲のかいな》。幻術の類であり、術者の能力に応じて矢の数が増えるが、そう見えるだけで実際には一本だ。


 いたいけな少女の体に鋭利な矢が突き刺さる。誰もが目を覆いそうになった瞬間、コロッセオが静寂に包まれた。


「は……はあ?」


 スヴァンの放った矢をイノリが素手で掴み取っていた。一番驚愕しているのは攻撃した当の本人だ。逆にまったく驚いていないのは、俺と攻撃を受けた本人だろう。


 開いた口が塞がらないのはスヴァンだけではない。他の《紅き鮫》メンバーとスタンドの観客たちも、あんぐりと口を開けている。


 はっきり言ってしまえば、これは人間業ではない。飛翔する矢を躱したり剣で弾ける者はいても自分に向かってくる矢をやじりが体に届く前に掴み取れる人間はいない。ましてや弓使いのスキルで加速した矢だ。通常なら避けることを考える。それが難しいなら剣や盾で防御する。わざわざ掴み取ろうとする人間なんてこの世界に存在しないのだ。


「ボケっとするな! 攻撃魔法だ!」


 切り替えて仲間に指示を飛ばしたのはリーダーのカインだった。


「う、うん!」


 魔術士が杖を構えて火の玉を放つ。

 初歩的な攻撃魔法だが、詠唱の必要がなく連射が可能。ひとつではなく、二つ三つと連続して放たれた火球がイノリに襲い掛かる。


 イノリはワンドを前に突き出した。瞬く間に光のベールが彼女の全身を包み込み、光のベールに触れた火球が音もなく掻き消えていく。


「そんな!? あの一瞬で《魔法盾マジックシールド》を展開させるなんて!?」


 あり得ないと声を上げた魔術士を残してカインは走り出していた。火球を囮にしてサイドから攻撃を仕掛ける戦法だ。さすがB級パーティのリーダー、決断が早くて冷静だ。確かに実力は本物のようだな。だが――。


 大きく振りかぶったカインの一閃を難なくイノリはワンドで受け止めた。さらに力で押し返す。カインがたまらず後ろに跳んで距離を取った。


 ここまでの攻防に一分と掛かっていない。ハイレベルの戦闘であることは誰の目から見ても明らかだ。

 だがそれ以上に、たったひとりで《紅き鮫》を翻弄するイノリの姿に誰もが度肝を抜かれている。


「なんなんだ……この力は、一体どういうことだ……。それに変身しないと魔術が使えないんじゃなかったのか……」


 静まり返る闘技場に、カインの声だけが響いた。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ