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溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜  作者: あいみ
新しい家族

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閑話

 テロイ家のルール。食事は家族で食べること。

 朝と夜だけ。昼は屋敷に私とお母様しかいないから、二人で食べる。


 お父様は王宮務めの仕事をしており、王宮で住み込みも可能だったのに




 「は?なぜ私が仕事を押し付けてくる連中のために家族との大切な時間を割かねばならんのだ?」




 と、ドスの利いた声で疑問をぶつけたところ、見事に全員が黙り込んでしまった。


 王都に住んでいるし、馬車で片道20分もかからないから通いでも困ることはない。


 お兄様二人は学校に通っている。16歳~18歳の貴族は必ず通わなければならない。高校だね。


 親によっては甘やかされるばかりの子息や令嬢が多く、成人を迎える前に常識を教えるために設立された学び舎。

 学園に通ったからと必ずしも常識が身に付けられるものではなく、残念は大人は意外といる。


 中でも代表なのは……。ま、まぁ。その人物のことに関しては聞こえないふりをするのが大人。淑女の嗜み。

 お父様の彼らの話題を極端に嫌う。誤って口にしようものなら、その場にブリザードが吹き荒れるとか。


 時間の流れは元いた世界と同じで、1日は24時間。1年は365日。

 春夏秋冬の四季もある。

 うるう年はないので毎年、決まった月日。

 日本人作家ということもあり、日~月の7日で1週間が作られている。

 週の2日は休日で休みだ。

 家族と過ごせる時間に、お父様とお兄様達はいつも頬が緩む。

 祝日はないものの学校は年に一度、設立記念日は休校。

 あと有給もない。予定は前もってわかっているため、事前に休暇を申請する。

 病気や怪我で急遽休む場合はやむを得ない状況とみなされ、面倒な手続きは必要ない。


 通貨単位はカリン。1カリンが1円。硬貨とお札の二種類。

 銀行もあり、大金が必要になったときは当主の直筆サインと金額が書かれた手形を持っていくとすぐに現金を用意してくれる。


 読者のためにそういう設定にしたのだろう。お金の価値が同じだと難しく考えることなく、物語にも集中しやすい。


 違うのは魔法が使えるかどうか。それ以外はほとんど異なることもなく、何とも私に優しい世界。


 この世界は異世界にジャンル分けされるのでコルセットのキツいドレスばかり着るのかと覚悟していたところ、そうでもなかった。

 体に優しい普通のドレス。日常の服も凝ったデザインではなく、動きやすさを重視している。

 女の子はスカート。なんて古臭い考えはしなくていい。パンツスタイルもアリだ。

 その日の気分で服装を変えるも良し。性別に囚われず誰もが自分の好きな服を着る。


 食事も異世界ならではの独創性はない。

 野菜やお肉も、フルーツも馴染みのものばかり。


 お菓子とケーキもあって、アフタヌーンティー……洒落た言い方だけど3時のおやつ的な?

 お母様と庭園で優雅に、静かで落ち着いたティータイムを楽しみたい。


 紅茶だけではなくコーヒーもあるので内心ではホッとしている。子供にはあまりよろしくない飲み物なので、甘い紅茶を勧められるけど、首を縦に振ることはない。


 香りはすっごく良いんだけどね。

 味も上品。口の中に残るスッキリした後味。


 流石にお茶はなかったけど。諦めて水を飲もうかと考えていたところ、ジュースもあるのでそっちを飲むことにした。


 コーヒーを一心に見つめていると、子供でも飲みやすいようにミルクを入れてカフェオレを作ってくれたので今ではずっとカフェオレ一択。

 アイデアを出してくれた料理長には感謝しかない。


 和食がないのは残念だけど、気兼ねなく食べられるのは本当に助かる。


 ──まだ固形物は食べられないんだけど。


 砂糖や蜂蜜、塩といった調味料は高価で手に入れるのは貴族のみ。たまに裕福な平民が小瓶いっぱいに買うことはある。


 お金に困ることのないテロイ家ではかなりの量を買い置きしていて、切らすことはない。

 いつでも美味しい料理が食べられるということだ。


 たまに仲の良い友達に分けてあげることもある。


 月に一度、領地に送り領民の食事を豊かにもしてくれるので、テロイ領は他領からかなり羨まれていた。


 優しくて頼りになるお父様はカッコ良い。


 「お嬢様。退屈ではありませんか?」

 「んーん」


 食べたい物を食べられない私は厨房への出入りを許可してもらい、料理を作るところを見せてもらっている。


 危ないからダメと言われるとショックを受けた。言葉の意味こそ理解はしたけど、あまりの衝撃に目をパチパチさせる始末。

 コアラの如く、抱っこしてくれたお父様にしがみついて下からじっと顔を覗き込んでいると、考え直してくれた。


 ──上目遣いが効いたかな?


 木箱を椅子の代わりにして座り、運動がてら足をブラブラさせながら。

 少しでも体を動かしていたら体力がつくかもしれない。運動不足の解消にもなる。と、思う。


 食べられなくても匂いだけでお腹は膨れる。

 食材を切る音や水の流れる音。コトコトと煮込み味が染み込んでいく匂い。


 厨房には“料理”がある。


 完成した料理はどれも美味しそうで、見た目も美しい。


 この時間は私にとって楽しみの一つ。


 ──早く食べられるようになりたいな。


 「「(お嬢様。今日もニコニコしてて愛らしいなぁ)」」

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