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溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜  作者: あいみ
最上位魔物

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いっぱい褒めて下さい

 「え!!キングゴブリンに続いて人魚姫(プリンセス)も服従させたのか」

 「させてない。不可抗力だもん」


 夕食が終わり、いつものように談話室に集まる。

 そこで父様が家族に私のことを告げると、ティアロお兄ちゃんが大袈裟に驚く。

 芝居がかっていてわざとらしい。


 オーバーリアクションはどうしてこうも嘘くさいのか。


 聖域云々のことは陛下からの指示を仰がなくてはならないので、告げられた内容は私がヒュドールに真名を教えてもらったことと、港が再開したことだけ。


 「ヴィバル様がいてくれたとはいえ、ユーリをそんな危険な場所に行かせるのは間違いだったわ」


 母様は私を抱き寄せては頭を撫でてくれる。


 「大丈夫!怪我してない!人魚姫(プリンセス)も優しさかったよ」


 本当に人間が嫌いになったのなら、洞窟の入り口は海で塞がれている。


 居場所を追い出されても、友達と離れ離れにされても、ヒュドールは人間を嫌いにはなれなかった。


 一度でも触れ合い、知ってしまった優しさは心を満たす。


 人間を拒絶して嫌いになるのは、自分の心を否定するのと同義。

 好きになったものを嫌いになるのは簡単ではない。


 「ティアロ。明日はレーゼルと留守番をしてくれ」

 「…………何で!!!??」


 本気で驚いている。母様は無反応。父様の決定に従う感じ。


 突然のことにノルアお兄ちゃんは固まるもすぐに動き出す。

 慰めの言葉はない。


 「アクラ山に大勢で行くのは良くないと判明した。それだけだ」


 簡潔に説明されたティアロお兄ちゃんは頭の上に多くの疑問符を浮かべながら、ぎこちなく首を傾げる。


 私もつられて傾げると体はころんと倒れて、すぐに母様が起こしてくれた。


 「お山に行くの?」


 ──説明求む!!


 好奇心旺盛の視線を向ける。


 渋る両親。空気を読む兄。

 何も答えてくれそうにない。


 思い切りほっぺたを膨らませた。


 私だけが除け者なんて嫌だ。仲間に入れてほしい。


 「はぁ……。我が国だけに限ったことではないが」


 観念したように父様が口を開く。


 「年に四回、火山に魔力を送ることで噴火を抑える必要があるのだ」


 火山が噴火したら周辺の街や村が地図から消える。

 遠くの国が過去、たった一回の噴火で滅んだと記録も残されていた。


 長年の調査により火山の噴火は魔力で抑えられることが判明。


 噴火とは。地下に凝縮された自然の魔力が一気に大爆発することである。

 それらを上から抑えるために、魔力の高い人間がアクラ山に出向く。


 この世界のある自然災害は台風と噴火。豪雨。

 雪は降る。積もりはするけど交通の麻痺や建物被害はない。


 魔物によって人為的な地震が引き起こされることはある。魔力量にもよるけど、大抵は地面が揺れるだけ。

 津波はない。海を支配していたヒュドールにその気がなかったから。


 聖域の瘴気が取り除かれ魔力も万全に戻った今、国を飲み込む大津波を引き起こすなんて訳ないだろう。


 「父様。私も行く」

 「ユーリは留守番だ」

 「魔力!!いっぱい!!」


 ドヤ顔で胸を張った。


 忘れているかもしれないが、私の魔力は父様と同じくらいある。連れて行って損はない。


 「だからユーリには話したくなかったんだ」

 「ユーリは好奇心旺盛だもんね」


 移動してきたノルアお兄ちゃんは私の手をブラブラさせる。


 「明日のために欠席届も出したのに」

 「学園は休んでいい。こちらの都合なのだからな」

 「ちぇ。まぁいいや。ユーリは俺と一緒にお留守番だもんな」


 無言で首を横に振った。

 母様の膝から降りて父様にしがみつく。


 私なりの意思表示。


 必殺技、上目遣い攻撃を使うと「くっ…」と本当に攻撃でも受けたかのような声を出す。


 魔力は出してないよ?きっと……多分。


 「ま、まぁユーリがいたら不測の事態になっても大丈夫か」

 「え!!ズルい!俺も!!」

 「ティアロ。ワガママを言うんじゃありません。リミックが決めたこと。ちゃんと意味があるのよ」

 「う……。でも」

 「お兄ちゃんの分まで頑張ってくる!」

 「うぅ、ユーリ……」


 泣きそうな声で強く抱きしめられた。


 苦しい苦しい。ギブ!!


 「ユーリ。アクラ山には多くの魔物が生息する。勝手な行動をしないと約束してくれるか?」

 「…………うん!!」

 「なら連れて行こう」

 「わーい」

 「父上はユーリに甘すぎます!」

 「家族みんなが甘いのだからリミックだけを責めても無駄よ」

 「そ、それは……」


 心当たりがあるようで口ごもる。


 私に援護射撃を期待されているけど、私は行きたい派なのでティアロお兄ちゃんの味方にはなれない。


 ──ごめんね。


 心の中で謝った。


 「でもさ。ユーリは魔力のコントロールが出来ないから、参加はしないんだよね」

 「あ、あのね!そのことなんだけど」

 「いや。ユーリはもうコントロール出来ているだろう」


 私が言うよりも先に父様が言った。


 しばしの沈黙。


 私は魔力コントロールについて何も話していない。リンシエにも秘密にしてもらっている。


 はて。父様はなぜ、確信を持っているのか。


 「これまでのユーリは魔力が体から漏れていたが、今はもう収まっている。魔力をコントロールするということは、無駄な放出を抑えることでもあるんだ」


 魔力感知に長けている父様ならではの見分け法。

 私から発表して驚かせたかったのに。


 こうなったら仕方がない。拗ねても意味がないので開き直ることにした。


 「褒めて!!」

 「「え?」」

 「コントロール出来たから、褒めて?」


 お願いするかのように首を傾げては、撫でやすいように頭を差し出した。


 「ユーリはすごい!天才!!」


 ティアロお兄ちゃんがわしゃわしゃと撫でると、後に続くようにノルアお兄ちゃんにもみくちゃにされる。


 さっきまでの不機嫌さはどこへやら。


 何を言っても覆ることがないと諦めたのか。吹っ切れたティアロお兄ちゃんは手加減をしてくれない。


 髪の毛がボサボサになっていく。


 兄妹のじゃれあいを微笑ましく見守る両親は助けてくれそうにない。


 リンシエなんて目を潤ませては口元を手で隠す。


 「それにしても。一体どうして、急にコントロール出来るようになったのかしら?」


 当然の疑問だ。父様でさえその原因はわかっていない。


 家庭教師はつけてもらっていないけど、私は天下のテロイ家の面々に教えてもらっていた。

 皆が成功させたやり方をだ。それなのに私だけが出来なかった。


 自分の仕事で忙しい父様は、合間を縫って原因を調べてくれたり、お兄ちゃん達は学園の図書室で調べてくれていた。

 母様も交友関係を駆使して、各家門の魔力コントロールの方法を聞いてくれて。


 家族一丸となって私のために頑張ってくれていたのに結果は出なかった。


 「ホワイトドラゴンがね。私の魔力が多すぎるんだって」

 「なるほど。そういうことだったのか」


 いや、早いな。理解するの。

 説明らしい説明なんてしてませんけど。


 「私の魔力は成長するにつれて増えていった。潜在魔力が高いからだ。レーゼル達の魔力も高いが、覚醒する6歳より前からこれほどまでの魔力は持っていなかった」


 ようやく二人から助けてくれた父様は優しく手に触れた。

 それはアネモス達の魔法陣が浮かび上がる場所。


 「ユーリの魔力は多すぎるが故にコントロールが出来なかった。だからこそ、魔力を減らしてやれば自在に操れる」

 「減らすって魔道具を付けるとか?」

 「最上位魔物の魔法陣に魔力を流すんだ。そうすればユーリの魔力は減るし、そのまま命を延ばすための寿命にもなる」


 そうなんだ、へぇー。……え?

 それってつまり、咄嗟の判断とはいえゲールの魔力を使ってしまったから、寿命を減らしてしまったってこと?


 魔物の寿命が人間より長いとはいえ、人様の命を使ってしまったことに恐怖した。


 だ、大丈夫。ゲールは生きている。体内にある牙がそれを教えてくれた。


 ──借りた分は返さないと。


 ご飯をしっかり食べて栄養を摂り、睡眠を取れば魔力は回復する。空っぽになってしまった私の魔力が全快するまでは時間がかかるかもしれないけど。


 最悪、魔力を回復する薬があるらしく、それを飲めば明日に支障はない。

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