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溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜  作者: あいみ
初対面

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大好きな家族です

 「父上!!冗談も大概にして下さい!!」


 とんでも発言にリアクションに困っていると、お父様が私を奪い返し守るようにギュッと抱いた。


 「ユーリは私の娘です。いくら父上だろうと次、そのような発言をするなら容赦はしません」

 「安心しろ。冗談でこんなことは言わん」

 「つまり今日が命日になってもいいということですね」

 「ハッ。お前に魔法や剣術の基礎を教えたのは誰だと思っている」


 赤い魔力を纏う。お互いに。

 おじい様も炎魔法なんだ。


 大地を揺るがすほどのぶつかり合い。


 止めに入ったらところですぐさま灰になるのがオチ。


 「リミック!!」

 「あなた!!」


 誰もが一歩下がる中で二人の魔力に恐怖しないお母様とおばあ様がキッと睨む。


 「いい加減にして下さい。ほら、ユーリが怯えているわ」

 「まだこんなにも幼いのに二人の魔力に当てられたのね」

 「よしよし、ユーリ」

 「もう大丈夫だぞ」


 いえ。震えは別の意味です。

 失言してしまったかもと、恐怖におののいていただけ。


 家族総出で慰めてくれる。どさくさに紛れて頬をもちもちされるのは嫌なんだけど。


 「す、すまない。ユーリ。怖がらせるつもりはなかったんだ」

 「全く。バカ息子のせいで」

 「元はと言えば父上が」

 「まだやるの?」


 鶴の一声。感情のこもっていないおばあ様の声に二人は黙り込む。


 「おじい様。お気持ちは嬉しいのですが、私はテロイ家がいいんです。テロイ家の家族でいたいです」

 「私もテロイなのだが」


 ──ですよねぇ。


 当主を引退したからといってテロイの名前までもが変わるわけでもない。


 「おじい様のことが嫌いってわけじゃなくて。私は……お父様とお母様。お兄様達と一緒にいたいんです」

 「そうか」

 「でもでも!おじい様とも会いたいですし」

 「ユーリ。そんな堅苦しい呼び方じゃなくて、もっと親しみを込めて呼んでくれないか」

 「え?えっと。じゃあ……じぃじ?」


 おじい様の表情が一気に蕩けた。

 へにゃりと、威厳がなくなる。


 「あらあら。じゃあ私は、ばぁば、かしら?」


 むしろ気品溢れる淑女をそんな風に呼んでいいのかと聞きたい。

 声が弾んで喜びに満ちているから、嫌ではないのだろうけど。


 呼ぶ私が恥ずかしいよ。


 「じぃじとばぁば」

 「ユーリ!俺達のこともお兄ちゃんって呼んでいいんだぞ!」

 「え、あ……うん……?」


 急にどうしたんだろ。真剣さと、ちょっとのいじけ具合。

 呼び方に関して不満があるなら、もっと早くに行ってくれてら良かったのに。


 お兄様で定着しているのに今更……。

 無邪気な子供なら気兼ねなく、すぐにでも呼び方を変えられるんだろうけどさ。


 吹っ切れていない状態では私が小っ恥ずかしいだけ。


 「ふふ。私達のことはパパとママね」

 「え……?」


 ──ごめんなさい。それは勘弁して下さい。


 口には出せないので首を横に振るだけ。

 前世の記憶がなければ喜んで呼ばせてもらっただろう。


 「んーと。父様と母様じゃダメ?」


 堅苦しい呼び方が好きじゃないなら少しだけマイルドにしでよう。

 こっちのほうが私も呼びやすいかも。


 「私達のことは、にぃにって呼んでいいからね」


 この家族は私を2歳児と思っているのかな?

 4歳児と大差ないかもしれないけど、その呼び方を求められても困る。


 ノルエお兄様は穏やかなまま、私がそう呼ぶと信じて疑わない。


 無言で目をパチパチさせる。

 やんわりとお断りしていることは伝わったようだ。


 「お兄ちゃんでもいいよ」

 「ん。6歳までそう呼ぶね」


 もう諦めて吹っ切れてみよう。

 2年後にはまた、呼び方を戻せばいいだけのこと。


 「ずっとでいいんだぞ!」

 「ううん。6歳まで」


 魔法が覚醒する歳。人生においての節目。既に魔法を使える私にとって6歳の誕生日が特別な日になるかはさておき。


 むしろ死ぬはずだった4歳を過ぎた5歳の誕生日こそ、特別になるのでないだろうか?


 というか私。自分の誕生日を知らないね。季節さえも。

 知っているであろう人達に聞いても、話しかけてくるなと一喝されて終わり。


 お父……父様に助けられた日を誕生日にしてもいいのだろうか?


 「おじい様!!私がおじい様の娘になってあげます!!」

 「ラ、ラーシャ!?何を言って……」


 慌てふためくリードルア。夫人もラーシャのとんでも発言に焦っている。


 当の本人はそんなことお構い無しにキラキラの笑顔。

 原作通りミトン家から出ようとしている。


 「おじい様はそんな“ななし”より私のほうが好きですよね」


 悪意なく爆弾を投げ込んでくるラーシャに刃物のような視線を飛ばす家族。


 「ユーリはユーリだよ。“ななし”じゃない」

 「“呪われた子”の分際で気安く話しかけないで!!汚らわしい!!」


 私を庇ってくれたニカルに暴言を吐き、冷たく蔑む。


 ニカルの顔には生まれつき痣がある。額から目元にかけて広範囲で。

 ただそれは呪いではない。

 潜在魔力が多い子供は生まれる前に死なないように、母親のお腹の中で自己防衛本能が働く。

 魔力を体外に出し命の危険性を遠ざける。そのときに魔力が痣となってしまうのだ。

 上級貴族の子供にはたまに見られる現象。腕や足。背中や胸。どこに痣が現れるかは一定ではない。

 ニカルはそれが顔だった。それだけ。


 父様だって肩に痣がある。


 普段から目にしてしまう場所に赤黒い痣があれば、内気になるのも当然。

 魔力量が多ければ多いほど、痣は濃くなる。


 ニカルに浮かび上がった痣は皮膚が見えない濃さ。


 それでも。ニカルが呪われているなんて、誰も思ったことは一度としてない。


 温厚なリファラ叔父さんはラーシャの発言に怒り心頭中。

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