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溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜  作者: あいみ
初対面

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41/53

約束はしないといけません

 今日の晩ご飯はお肉をワインで煮込んだ料理だ。

 お肉の定番、豚、鶏、牛ではない。一口食べると、それが鴨であるとわかった。

 ホロホロで柔らかい。ソースもしつこくない味。一緒に入っている野菜にもしっかりと味が染み込んでいる。


 パーティーで食べたお肉とはまた違った美味しさ。


 「お父様。このお肉は?」

 「鴨肉だ。ユーリにはなるべく違う料理を食べてもらいたいからな。料理長に頼んで作ってもらっている」

 「お肉は鮮度を保つのが難しいんじゃないの?」

 「へぇー。ユーリは物知りだな」


 感心するティアロお兄様には笑顔を返す。

 そうだ。私に知識がありすぎたらおかしいんだった。

 ついつい優里としての発言が目立つ。


 ──これからは喋る前によく考えないとな。


 「肉も野菜も魔道具で保管しているか大丈夫だ」


 便利だな魔道具。冷蔵庫の役割は鮮度を保つためではなく冷やすための物。

 しかも公爵家のように大きな家には食材をストックする食糧庫もあり、どんな急な来客にも対応出来るようになっている。

 今のは語弊があったな。どんなに大きな家でもお金がなければ意味がない。

 ミトン家は爵位と屋敷は立派だけど、それだけ。お金があまりないらしく、日々の贅沢を控えなくてはならないところまできている。

 お金がないと言っても、平民よりかはあるのではないだろうか。その辺も感覚の違いが出ているはず。


 「お食事中、失礼します。旦那様。客人が尋ねて来たのですが……」


 困ったように耳打ちをして、その人物が誰かを知らされる。

 聞こえなかったふりをせず、聞いた上で敢えて無視してワインに手を伸ばす。


 ──誰が来たんだろ?


 聞いていい雰囲気ではないので、食べることに集中した。

 執事のあんなに困り果てた顔も珍しい。普段はキリッとして頼もしいのに


 お父様の客人に勝手な判断をするわけにもいかず指示を待つ。


 「客室で待たせておけ。勝手に屋敷をウロつかないように見張っておいてくれ。部屋から出ようとすれば拘束していい。私が許可する」


 ふんわりと物騒なことを命令した。


 「かしこまりました」


 優秀な執事は疑問に思うことなく命令を承る。

 拘束だからギリ許されるのか。


 応接室があるのに客室もある理由は何で?用途は同じなんだよね。


 聞いてもいいのかな。ずっとタイミングを見計らっていると食事が終わってしまった。


 「ユーリ。デザートはケーキでいいか」

 「うん!みんなの分もある?」

 「ニカルがくれた土産は家族全員分だったよ」


 私が家族と食べることを見越して人数分を持ってきてくれたんだ。

 優しい人の周りには、どうしてこんにも優しい人ばかりが集まるのか。


 「ええ!じゃあリファラ叔父さんも来てたの!?」

 「私達も会いたいのに」

 「来週には会えるだろう」

 「そうですけど……」

 「はいはい。リファラは遊びに来たわけではないんだから文句を言わないの。それよりほら、食べましょう。ユーリが待ちくたびれているわ」


 ガーーン。お母様に食いしん坊と思われていた。


 お皿に移されたケーキが運ばれてくる。苺のショートケーキは生クリーム多め。

 小さな口を大きく開けて頬張る。甘くて美味しい。


 「あらあら、ユーリ。ついてるわよ」


 お母様が微笑みながら自分の頬を指す。手で拭ってもクリームは取らない。


 「こっちだよ」


 ノルアお兄様がナプキンで拭いてくれた。逆だったのか。


 子供っぽさには恥ずかしくなり、誤魔化すように笑った。


 「う……!!」


 突然、胸を抑えて苦しみ出した。

 突発性の病気!?


 「ユーリが可愛すぎる」


 …………大丈夫そうかな。顔色も悪くないし。

 心配して損したと思うことはない。その逆で病気じゃなくて良かった。


 ケーキも完食して、一息ついているとお父様が全く動く気配がない。

 私もデザートを楽しみすぎたけど、お客さんが来ているのだから行くべきでは?

 来客を忘れているなんてことはないだろうに。


 「はぁ……」


 ため息をついた。嫌そうに。

 行きたくないのかな?


 「少し行ってくる」


 ようやく立ち上がった。執事が知らせに来てから、かれこれ1時間以上は経っている。


 相手の心が広いなのか、約束もなく勝手に来た無礼者に礼儀を尽くす必要はないのか。


 お父様はどういうつもりで、わざわざ時間をかけたのか考えてはいけない気がした。


 「お母様。応接室と客室ってどう違うの?」

 「うーん、そうねぇ……」


 頬に手を当てて首を傾げた。困っているポーズだ。


 「父上が嫌いな奴を通すのが客室だよ」

 「ティアロ。言葉を選べ」

 「だって本当のことじゃん」

 「だとしてもな」


 これほどわかりすい説明はない。お母様も言い換えるつもりはなかった。


 ──嫌いな人か。


 お父様の知り合いは貴族。平民がいたとしても彼らこそ、礼儀を重んじる。

 だとすると。貴族が礼儀を無視して尋ねて来たことになる。


 自分に置き換えて考えてみた。家族や仲の良い友達なら会えるだけで嬉しい。大歓迎。

 大して親しくもない元クラスメイトや会社の同僚。しかもご飯時に来ては勝手に居座る。うん、嫌だな。

 お父様のあの態度にも納得。


 口添えしてあげたいけどなにぶん、貴族の知り合いはほぼいないからな。

 誠心誠意謝って、同じ過ちを繰り返さないと約束したら許してくれるだろう、きっと。…………多分。

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