出会い《はじまる》
さて、どんな出来事にも始まりというものが必ずある。
数字は1から数えるし、太陽は必ず昇って朝がくる。
そして学生の始まりといえば新学期、特に新学年なわけで。
今年高2になる俺と千夏だが、1年から2年になるのは中学から高校にあがるのに比べたらやはりインパクトに欠けるわけで。
「ん・・・ふわぁぁ・・・」
「ちょっ、やめてよ、みっともない。」
のんびりと登校しながらアクビなんかをしていたりする。
「出るもんは出るんだ、しょうがないだろ?」
と、返す俺。
むしろ我慢できる人間は人間じゃない気がする。
だって、ホラ、くしゃみとかと同じだろ?
しかしマズいな。
このままじゃ説教トークが始まってしまう。
それは精神衛生上よくないし先手を打とう。うん。
コイツの小言は長いしな。
「だいたい、アン「なぁ千夏。お前不思議に思ったことはないか?」
「………なにをよ?」
出鼻をくじかれた千夏は不機嫌そうにしてたし、事実イラッとしただろうがそれでも返事を返してくる。
「なんで4月が始まりなのかって話しさ。」
「…はい?どうゆうこと?」
「だってそうだろ?普通、数字は1から………まぁ0ってヤツもいるかもしれねーけど……数え始めるもんだろ?なんで始まりの季節が4月なんだよ?」
「そりゃあ春が4月だからでしょう?
冬みたいなもの悲しい季節に始業式なんか誰もしたくないだろうし。」
「いやいや、その発想はおかしいぞ?」
「どこがよ?」
「なんで1月を冬にしたかって所だよ。始まりを決めたのは自然じゃなく人間だろ?
暦を作ったのは人間なんだから。」
「………」
「んだよ、そんな可哀想なものを見る眼すんなよ。」
「はぁ…………それで?」
「ため息もやめて、お願いだから。
………でよ、冬を1月にしたのはいいとしよう。
俺らの祖先のセンスではそれが当たり前だったとしよう。
――――――――理解はできないがな。
そうするとだ。
俺らの先祖様達は季節の変わり目ではない所になんらかの『節目』を感じてたってことになんだろ?」
「なんでよ?」
「真冬に始まって真冬に終わるんじゃ正確な区切りができないだろが。
基準がないんだから。」
「あー、なるほどね。・・・・それで?」
「いや、おしまい。」
「はぁっ!?なにそれ?落ちは!?」
「いや適当に喋っただけだし、落ちとか期待されても・・・・」
「・・・最悪。マジ、つまんないんですけど。
ちょっと真面目に聞いてた私の気持ちをどうしてくれるの!?」
「ちょっとしか真面目に聞いてなかったくせに偉そうだなおい!?」
「・・・ちぇー。あんたって本当に頭良さげなフリしてひょうひょうとしてアホな話するわよね。昔っから。」
「悪かったなーアホで。・・・・・でもさー。」
「なに?続けるの?」
「とりあえずの落ちはあんだよ。俺らのご先祖が何を考えてたかは知らねーよ?
だけどよ、そいつらのせーで今の世の中は結構4月が始まりで3月で終わる気がすんだよ。俺はさ。でもそれじゃーよ、3が終わりで、4が始まりになるんだろ?
それじゃまるで・・・・。」
『『まるで【終わり】が始まるよーじゃねーか?』』
「「!?」」
突然俺のセリフに知らないこえが被さってきた。
驚いた俺らが前方を見ると校門のところに一人の男が立っていた。
見たことない顔だな・・・
でもうちの学校の制服着てるしタイが青いから3年のようだ。
ちなみにうちの学校は制服が男女ともブレザータイプでタイの色で学年がわかるようになっている。
俺と千夏は2年だから赤。1年は黄だ。
でもいくら先輩でもよー・・・・
「・・・あんた誰よ?」
ちょいと敬意を払えそーにはないな。
「いきなり人の会話に混ざってんじゃねーよ。感じ悪いぜ?」
軽く睨んでみる。
「ちょ、ちょっと、やめなさいって!」
と千夏は慌てて止めに入るが・・・・
ソイツは俺に反応を返さず頭を振っていた。
?
おかしいな?
こいつ、俺を知らないのか?
こいつがこの学校の生徒なら俺を知らないわけがないのだが・・・?
「嘆かわしいな・・・」
「は?」
「君は少年漫画は読まないのかね?」
「・・・・・・」
こいつマジなに言ってんの?
「セリフが被せられたら『・・・・ハッ!!』って返すのが礼儀だろうが!
それとも君はあの名作を読んでないのかね!?」
あ・・・やばい、こいつ会話ができないタイプの人間だ・・・。
「おい、こいつ誰よ?」
「ばか、この人は生徒会長よ。」
「あー、そういわれたら顔は知ってるなー。でも学校の生徒会長なんてその程度の認知度が当たり前だろ?」
「あんたは基本的に人の顔を覚える気がないだけでしょが?」
「そうかもな。でもこんな頭がイッちゃってる奴が生徒会長でいいのか?」
「・・・・華麗にスルーしてくれてるところ悪いんだが、遅刻しておきながら私の前でその態度はあまり賢いとは思えないぞ?そして今の発言はいたく傷つくからやめてお願い。」
「遅刻?そんな、まだ8時20分ですよ?」
そう、早い登校とは言えないが遅刻してるとは絶対に言えない時間である。
ちなみに最終登校時間は8時30分。
「しかし今日は始業式兼入学式だということを忘れているようだね?」
「あー・・・・・・」
沈黙する千夏。
ニヤリと笑う生徒会長。
そういやなんか新入生の出迎えの準備のために登校時間が変更とか言われたっけ?
「遅刻1分につき校庭1周、もしくはそれに準ずる罰ってのがルールだが・・・?」
「・・・・・・・・」
「ちなみに今日の最終登校時間は8時10分だから校庭10周だね。」
「会長!会長ってチョーかっこいいですよ!
でも見逃してくれたらもっとかっこよくなると思うんです!!」
「なにぃ!?」
こいつ!!プライドがない!!
「ハハハッ、そうかね?
いやぁ、私もうすうすそうではないかと思っていたのだよ。」
そしてコイツうざいっ!!
「じゃ、じゃあ通してくれるんですか!?」
と喜色満面になる千夏だが・・・。
「しかしタダで通すのも面白くない、ここはひとつ勝負をしないかい?」
との提案をする会長様。
タダで通す気はないらしい。
「勝負ってなにするんですか?」
「簡単なことだ、すぐに済む。
私にジャンケンで勝てばいい。君たち2人が1回ずつ挑んでどちらかが勝てばここを通してあげるよ。」
「・・・ずるいですよ会長、それって通さないって言ってるのと同じじゃないですかぁ・・・。」
え?なんだそれ?
「どうゆうことだ千夏?
俺かお前が勝てばいいんならかなり勝率あるんじゃねえか?」
単純に勝率を五分五分としても俺か千夏のどちらかが勝つ確立は75%
4回やりゃ3回は勝てるんだからかなりのサービスに思えるんだが・・・・?
「・・・・会長はね、普通じゃないのよ・・・。
この会長はただの一度もジャンケンで負けたことがないことで有名なのよ。」
いや意味わかんねーし。
「ちなみに、ジャンケンで他の候補者全員に勝って生徒会長になってるわ。」
「いや意味わかんねーし!?」
大丈夫かこの学校!?
「さぁさぁ、早くしないと始業式が始まってしまうよ?君たちに選択の余地はないと思うんだが?」
「くっ・・・仕方ない!奇跡を起こすわよ!!」
そんなにおおげさなことなのか!?
ジャンケンに勝つことってのは!?
「ってか起こしなさい、隼人!」
「俺かよ!!」
「隼人・・・?どこかで聞いた名前だな・・・?まぁいい、なら隼人君からかかってきなさい。」
いい笑顔で、ちょいちょい、と手招きしてきやがる会長様・・・。
・・・はぁ。
「しょうがねーなー、・・・・んじゃさっさとやろうぜ。」
「んっふっふっふ・・・・ひとつ予言しよう。君は『必ずチョキを出す』」
「いや、そういう心理戦とかいいから。」
「・・・君、友達少ないだろ?」
「悪いかよ?」
「・・・・・・」
「ほらいくぜ?じゃーんけーん・・」
ポンッ
会長は読んでた(?)とおりにグーを出していた。
俺は・・・・
「・・・嘘っ!?すごいっ!!隼人!!見直したわ!!」
「・・・まぁな。」
俺はパーを出していた。
「これでチャラだよな?会長?」
俺はニヤリと笑いながら、くやしさがってる会長の顔を見てやろうと会長に目をやった。
だが会長はくやしがってなんかいなかった。
会長は・・・・・
「なん・・・・だ・・・と・・・?」
くやしいなんて感情は微塵もなく。
ただ信じられないものを見た、という反応をしていた。
「・・・あのー、会長さん?」
あまりの会長の反応に千夏が声をかける。
が、どうやら耳に届いていないらしく一人なにやらぶつぶつ呟いている。
「・・・・いやなんだよその反応。たかがジャンケンに負けただけだろ?」
俺も声をかけてみるが反応はない。
・・・まぁ、いいか。勝ったんだし約束は守ってもらおう。
「いこう、千夏。本当に始業式が始まってしまったら勝った意味なくなるし。」
「う、うん。」
足早に会長の隣を抜ける俺ら。
・・・・もう真っ直ぐ体育館に行ったほうがよさそうだな・・・。
「・・・待てよ小僧。」
そんなことを考えていたらいつの間にか会長が復活していた。
・・・つか、なんか口調変わってね?
「・・・・なんですか?会長?」
「ふん、とぼける気か?
・・・・まぁいいさ。名前とクラスを答えろ。」
・・・ちぇー。
「・・・クラス発表はまだ見てねーよ。名前は永妙寺 隼人だ。」
「永妙寺だな?よし、約束は守る。さっさと行け、始業式まで後5分しかない。」
自分で呼び止めたくせに・・・偉そうに。
あ、コイツ偉いんだった。
「んじゃ、失礼します。千夏、行こう。」
再び歩き始める。
・・・が。
「ねぇ、なに今の会話?
あんたなんかしたの?イカサマ?」
と道すがら千夏が尋ねてくる。
・・・まぁ、当然か。
「ジャンケンだぜ?イカサマもクソもねーよ、気にすんな。
俺にもよくわからん。だけどあの会長には気をつけとけ。なんか電波入ってるみたいだし。」
「う、うん・・・。」
幾分か不満があるだろうが、具体的にどこを疑えばいいかわからない千夏は不承不承引き下がってくれた。
空気の読める幼馴染である。
それにしても・・・・
「あのさ、俺らの住所とかって会長なら連絡網とかでわかっちまうかな?」
「そりゃわかると思うけど?」
「そか。あんがと。」
だとしたらますます面倒だな・・・・。
・・・・それにしてもいきなりすぎるだろ。
面倒事は嫌いなんだがなぁ。
運命っていうのか?こういうのって?
「はっ、まったく・・・冗談じゃねーっての。」
まぁ、なるようになるさ、
とこの時の俺はそう簡単に考えていた・・・。
ってことで第1話です。
単純に「なん・・・だと・・・・」を言わせたかっただけ・・・・・なんて事実はありませんw
酷評でもなんでも受け入れますので、感想とか書いてもらえたら踊って喜びます。
ガチで遠慮は要りませんので思ったままを教えてください。
まぁ、強制ではありませんが。
そんなわけで(嘘)次回予告を!!
次回!「負けず嫌い!!!」
なんとジャンケンは会長の得意種目ではなかった!!
というわっかりやすい言い訳を引っさげて今度は指相撲を挑んでくる会長!
「喰らえ!ダンシングサム!!(踊る親指)」
「ば、ばかな!?親指の動きが速すぎて見えないだとぅ!?」
お楽しみに!!