虫の声
身を蝕むような暑さから雨が降り、そして夜間も比較的涼しくなった
息も絶える暑苦しさから秋に差し掛かったような気配がする
声は鈴虫とエンマコオロギ?
アオマツムシも?
他にも聞こえるが何の虫かは特定できない
虫に詳しくはないから
今はただひたすらに虫が発する音が聴こえてくる
ドアを開けて網戸のみだと実によく音が部屋に通る
鳴いているとは言っても羽を擦りあわせて音を出しているらしく実際に口から音を出している訳ではない
昆虫は気持ち悪い容姿を持つため近寄りがたいが羽の音色は綺麗だ
耳からストンと心の中に落ちてくる
ただ生きているだけで疲れてくる現代の騒音は精神を痛めるものでしかなく
その中に混じり立っている自分
溶け込めるほど適応力があるわけでもなく
ひたすら時間の経過を見続けるだけの生き方
多少の変化と繰り返される流れ
虫の発する音を聴いて癒されるというのはどういう事だろう?
ザラザラな感覚が無くなっていく事
生きている息苦しさが少しは和らぎ大きく息を吸い込みたくなる
虫の声はピタリと止んだ
止んだ静寂の時間
静かなる事はそれはそれで癒しの時間だ
暫くしてまた虫達の音色が聞こえてくる
いつまで鳴き続けるのかは知らない
癒しの一つである眠りの刻
目を覚まし夜が明ける頃
遠くから微かに蝉の声が聞こえてくる