第3章「拳で叩け、魔法の門──王立学院、殴り込み」
王都の中心、「王立魔導学院」。
その門は、一般人には“永遠に開かれない”。
血筋、資産、魔力。すべてが揃った者だけがくぐれる、魔法貴族たちの聖域だ。
だが、その門の前で──
「門、固すぎだな。よし、開けるか」
巨漢が、筋肉で拳を構えた。
ドゴォォォン!!
重厚な魔力障壁付きの扉が、爆音と共に吹き飛んだ。
唖然とする学生と教師たちの前に、全身を鍛え上げた男──ガルド・ストラグルが仁王立ちする。
「今日からこの学院で学ぶ。俺は“魔拳士”だ!」
……数分後、教師陣が血相を変えて駆け寄り、騒ぎは収束。
だがガルドの“入学”は認められた。なぜなら、入学試験の魔力適性測定で、上級魔導士すら超える数値を叩き出したからだ。
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◆ セリーネとの出会い
「あなた……一体どこでそんな“魔力”を手に入れたの?」
授業後の訓練場で、銀髪の少女が話しかけてきた。冷ややかな瞳を向けてくる、完璧な容姿の才媛。
「俺か? スラム出身だ。拳で何とかしてきたら、いつの間にか出てた。魔力」
「……冗談でしょ? 魔力は才能。血筋。そんな偶然で扱えるものでは──」
「なら、実力見せてやる。俺の魔拳、止められるか?」
その挑発に、セリーネ・フォン・リューネハイムは応じた。王立学院主席、氷魔法の天才と呼ばれる少女だ。
「《氷結陣・氷矢乱舞》!」
空気中の水分が一瞬で凍りつき、氷の矢が無数に発射される。
誰もが避けきれないと言われる必中の魔法──
だが。
「魔拳──《雷閃バックブロー》!」
ガルドの回し蹴りが空気を裂き、魔力が雷鳴のように爆ぜた。
周囲の氷が蒸発し、矢は砕け、セリーネの魔法は完全に無効化された。
「……ッ!」
驚愕するセリーネ。
だが、その表情にほんの僅かな“笑み”が浮かんだのを、ガルドは見逃さなかった。
「あなた、ただの脳筋じゃないのね」
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◆ ライバル、ジュリオとの対立
数日後、学院内でガルドはついに“貴族の象徴”と呼ばれる存在とぶつかる。
金髪で整った顔立ち、強いカリスマ性を持つ青年──ジュリオ・ヴァン=グレイス。
「スラムの猿が、魔法を語るとはな。滑稽にもほどがある」
「そうか? なら、その滑稽な拳で、お前のプライドごと殴るまでだ」
学院公認の決闘が開始された。
ジュリオの“聖光剣”が輝き、魔法の光刃が唸りを上げる。だが、ガルドは受け止め、拳で押し返す。まるで魔法すらも物理でねじ伏せていくように。
「こいつ……何なんだ!? 魔法を、力で……!」
「拳は嘘つかねぇ。てめぇの魔法は、薄っぺらい!」
激突の末、ジュリオの剣は砕かれ、ガルドが勝利する。
その瞬間、学院の価値観がわずかに揺れた。
“血筋だけではない力”が、存在すると。
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◆ 仲間たち
日を追うごとに、ガルドの存在は学院で異彩を放つようになる。
お調子者の風魔法使い・ラウルは、「面白そうだから」と共に行動を始める。
「お前の拳、マジで痺れるわ。最高にバカで最高に強い!」
また、無口な少女シェルカが何も言わず隣に座ってきて、いつの間にか一緒に昼飯を食べるようになった。
「ガルドの……ごはん、うまい」
「お、おう……ありがとな?」
セリーネも、最初は冷たく接していたが、ガルドの真っ直ぐな姿勢に少しずつ心を開いていく。
「あなた、本当に不思議な人ね……拳で世界を変えようとするなんて」
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◆ そして、影が忍び寄る──
学院の地下、封印区画で“魔族の気配”が探知されたという情報が入る。
「これは……百年前に滅んだはずの魔族が、目を覚ました?」
学院を揺るがす異変の中、ガルドたちはそれぞれの力と誓いを胸に、仲間として動き出す。
魔法だけでは守れないものがある。
筋肉と拳と仲間を信じて、彼らは“真の戦い”へ歩を進めるのだった──




