第2章「魔拳流、爆誕す──筋肉と魔法の融合」
目を覚ました時、天井が見えた。石造り、どこか静かな空間。
ガルドは跳ね起き、反射的に拳を構える。
「安心せい。お主を殺す気などない。むしろ……救ったのじゃよ」
そこに立っていたのは、白髪と赤い法衣を纏った老人だった。片目に眼帯をしており、杖を突いている。
だが、ただ者ではない気配を放っていた。
「ワシの名はレクス・ヴィーゼル。王立魔導研究所の元導師じゃ」
「……あんたが、俺を助けたのか」
「うむ。あの魔力の暴走、並の体ならとっくに消し炭よ。だが、お主の筋肉は常識をねじ伏せた。感服したぞい」
ガルドは、夢ではなかったことを知る。
自分が“魔力”を、確かにその身から放ったことを。
「でも……俺は魔法なんて使えねぇ。呪文も陣も知らねぇ。あんなの、ただの暴発だ」
「そうかの? ワシには、確かに見えたぞ。**“魔力を、筋肉で制御していた”**ようにな」
レクスは言う。魔法には精神統一や詠唱が必要だが、ガルドは違う。
肉体の収縮・緊張・動作によって魔力の流れをコントロールする、前代未聞の適応。
「つまり、俺は……筋肉で魔法を使えるってことか?」
「名付けるなら、“魔拳流”じゃな。拳と魔を合わせ持つ流派……いや、流派の始祖じゃ、お主は」
レクスの元で、ガルドは修行を開始する。
筋トレと魔力制御を組み合わせた、異常すぎる鍛錬の日々が始まった。
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数週間後──
「よし、見てろレクスじい。これが……魔拳・炎咆ナックルだ!」
筋肉を収縮させながら拳を振り抜くと、拳の周囲に火の魔力が発生し、爆音とともに岩の標的を粉砕した。
「ふぉっふぉっふぉ! 成長速度が常識外れじゃな!」
詠唱なし。魔法陣も不要。
筋肉だけで魔力を呼び起こし、拳に宿す──それがガルドのスタイル。
「ガルド、お主の魔核は“肉体”と“魔力”を融合できる特異体質。おそらく、貴族の中でも滅多にいない」
「だが、今のままじゃ終われねぇ。アイツら、ミーナを狙った貴族はまだ生きてる」
ガルドの瞳が燃える。
力を得たからこそ、責任も背負う。守るために、拳を、魔力を振るう。
そして──
「レクスじい、俺……王立魔法学院に行く。そいつらの本拠地で、奴らのルールをぶっ壊す」
「ふぉっふぉ。よかろう。入学資格は“魔力適合者”にある。お主はそれを、拳で証明したのじゃ」
次なる舞台は、魔法至上主義の牙城。
そこへ、筋肉の男が殴り込む。




