6.侯爵として……
私に侯爵の爵位がやってきた。お母様の遺品だと思うと感無量。お父様の堕落のせいで一時は爵位がなくなりかけたけど、無事に私の物になりました!
「お前はまだ、爵位を受け取れる年齢じゃないだろ?」
そう、侯爵代理だったお父様は言うが……。
「陛下と宰相閣下のご判断で、時期を早めたのです」
領民から苦情が来る(王宮に)ような侯爵代理じゃぁねぇ?
お父様も強くは出られない。
なぜなら……私の背後に屈強な冒険者(人相が悪い)が数名立っているからです。いい人達なんですけどね。
「借金など、お父様が個人的に作ったものについては侯爵家で責任を取りません。これも陛下と宰相閣下が決めたことです。どうぞ、これまで豪遊して作った借金とお義母さま、義弟妹とともに侯爵家から出ていってくださいな」
お父様達は苦虫を噛んだように悔しそうに邸を後にした。
さて、次は使用人達の大掃除。
はぁ?信用ならないとか前から勤めていた使用人を一掃したの?あの人たちの頭の中はどうなってるのかしら?
前から勤めていた使用人を探さないとね。
今いる使用人?
使えないわよ。皆、キロルの友人とかよ?あり得ないでしょ?
現・料理長の料理。正直、冒険者の野営の時の料理の方が美味しいと思う。料理長として味覚はどうなってるの?
領地経営もしながら、使用人の選定。
かなりハード。
でも、仕方ないよね!
「お嬢様~‼お久しゅうございます!」
探し当ててくれたのね、昔からの執事。重要ポジションよ。事情を説明した。
「このキルが何としてでも優秀なものを見出して見せます!」
と、やる気になってくれたので、使用人の選定を任せられるようになった。これで領地経営に専念できる。
たまーに金の無心に元・家族が来るけど、家の前にいる屈強な冒険者(人相が悪い)を見ると帰ってるわね。いい人なのに。お酒が飲める年齢になったら一緒にお酒を飲みたいわ。
「お嬢様!酒は飲んでも飲まれるな!ですよ!」
この執事は心の内を読めるんだろうか?恐ろしい。名前も怖いけど。
こうして、侯爵家は新しく生まれ変わった。
馬車で侯爵家の前を通りすがると、門番として冒険者(人相が悪い)がいつもいるので、侯爵家が生まれ変わったことが社交界でも周知された。
「ダッシュ、困った。夜会の招待状が届いた」
「どこから?」
「筆頭公爵ブライアン家」
「あー、断れないやつか……」
「いつ?」
「3か月後」
「つまり、3か月で準備をしろって事でしょ?」
「まあ」
「筆頭公爵かぁ、俺の顔知ってるよなぁ?そして記憶力もいいんだよな。高位貴族って」
「ダッシュにパートナー頼もうと思ったんだけど?」
「いいぜ?俺ならマナーとか覚えてるし、まぁ大丈夫だろう」
3か月本気で準備をした。ドレスなんてほぼ持ってなかったから、採寸からスタート。国で評判という仕立て屋さんに頼んだ。
「お嬢様は何か鍛えてらっしゃる?すごく引き締まった体つきをしていますね」
スイマセンねぇ、貧乳で。鍛えるも何も冒険者やってたから、勝手にこういう体つきになったんです!
冒険者で乳がデカかったら邪魔でしょう?戦闘の時とか。褒めるところがなかったんでしょ!すいませんねぇ、女性らしい体つきじゃなくて!
なんだかんだで薄緑色のマーメイドラインのドレスになった(銀糸で刺繍が施してある)。
アクセサリーはエメラルドを多用。
ついにやった!って感じですね。